人民新報 ・ 第1422号統合515号(2023年6月15日)
  
                  目次

● 軍事国家化・経済軍事化にひた走る岸田政権

        市民と野党の共闘強化で反動政治に反撃を

● 共謀罪を廃止せよ!

        共謀罪の適用を阻止の闘いを

● 2023 国会ピースサイクル

        反戦・反核、平和、人権、環境保護のために

● 「ALPS処理水」も「汚染水」だ

        海洋放水を絶対に許さない

● 再審ルールを確立させよう

        袴田事件などの冤罪事件を根絶させよう

● KODAMA

     世界をかけた音楽(二人の歌手と作曲家を追悼する) / 空腹と戦争 / 果たせぬ夢

● せんりゅう

● 複眼単眼 / 憲法審で結論を急ぐ改憲派

● 夏季カンパの訴え






軍事国家化・経済軍事化にひた走る岸田政権

        市民と野党の共闘強化で反動政治に反撃を


 岸田政権の暴走が止まらない。安倍・菅と続いてきた「戦争する国」作りに向けて、反動的な政策を矢継ぎ早に出してきている。国際的にはアメリカの一極覇権体制維持のための尖兵となって走り、この第211通常国会では諸悪法を強行成立させるために躍起となっている。市民と野党は反対運動を強め、国会周辺での集会や各地での様々な抗議行動が闘われている。岸田は早期の国会解散・衆議院議員総選挙をもくろんでいて、市民と野党は共闘を強め、総がかりの岸田政治に対抗する闘いを展開していかなければならない。
 5月19日から21日までの第49回先進国首脳会議(G7広島サミット)での岸田の役割は、中国やロシアに対抗する軍事ブロックの強化、世界の分断、軍事対決状況の拡大の方向で会議を先導したことである。 安倍の遺産である「自由で開かれたインド太平洋」戦略の軍事的具体化がすすんでいる。中国包囲網の構築を狙う米バイデン政権の軍事戦略に日本を組み込み、日米の軍事一体化を攻守同盟に進化させ、日本経済と産業の軍事化を推し進めるものだ。昨年末の安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の強引な決定と軍需産業への支援や秘密保全体制の強化などは、かつての軍部の「高度国防国家建設」を彷彿させ、「新たな戦前」への局面の突入だ。この体制作りは、排外主義煽りにつながり、入管法改正の強行では日本に暮らす外国人の人権を無視し、命を危険にさらすものだと反対運動が大きく広がった。またマイナンバー法改定、高齢者医療保険料増額法、GX原発推進なども体制作りの一環構成部分としての意味をもつ。
 今国会で成立強行が狙われているのが軍拡2法案「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案」と「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」である。軍事産業支援法案は、「我が国を含む国際社会の安全保障環境の複雑化及び装備品等の高度化に伴い、装備品等の適確な調達を行うためには、装備品製造等事業者の装備品等の開発及び生産のための基盤を強化することが一層重要となっていることに鑑み、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びこれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものとするための取組を促進するための措置、装備品等に関する契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設等の取得及び管理の委託に関する制度を定めることにより、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とする」される。軍拡財源法案は、「令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するための特別措置として、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例に関する措置を講ずるとともに、防衛力強化資金の設置等について定めるものとする」ものである。
 国内での戦争体制作りだけではなく、岸田は広島サミットで打ち上げたような冷戦的軍事的対決外交を進めている。日米軍事同盟を強化し、またクアッド(日米豪印)から韓国、カナダなどとも軍事連携をつよめている。自衛隊は合同軍事演習を頻繁に行っている。そして日本をNATO(北大西洋条約機構)と結合させようとしている。NATO条約第5条は「締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。したがつて、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第五十一条の規定によつて認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する」ものであり、欧米での戦争に自動的に参戦するものだ。外務省欧州局政策課「北大西洋条約機構(NATO)について」には、「我が国と基本的価値を共有する欧米諸国をメンバーとする集団防衛組織」と解説されるなど、世界的な規模の冷戦構造に自ら飛び込んでいく姿勢を明らかにしている。
 いま戦後史の大きな転換点にある。軍拡2法案は、戦後憲法体制を破壊し世界の平和を破壊するものであり断固反対の闘いを進めなければならない。
 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は、「現況における安全保障政策についての市民連合の基本的な考え方」を発表した。それは「立憲主義、民主主義に則った国家として、日本が、日米同盟と自衛隊を憲法によって制御する安全保障政策の自己決定力を回復すること」こそが、日本の将来になら無ければならないと強くアピールしている。
 岸田政権が国会解散・衆院総選挙を急ぐのは、広島サミット人気でが、息子秘書官のスキャンダルの拡大、なによりごり押し岸田政策の財政問題や対決あおりの結果など内在的な矛盾がやがて暴露させることになるのを心配しているからである。自民党と公明党の関係も安定的なものではなくなった。立憲野党は岸田の反動政策反対の基本的姿勢を堅持し、断固としてその政策を宣伝し、支持を拡大していくべきである。市民と野党の強固な共闘の形成こそ闘い前進の保証である。粘り強い活動・工作こそが必要である。
 岸田内閣の反動政策を阻止しよう!  
 岸田内閣を打倒しよう!

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現況における安全保障政策についての市民連合の基本的な考え方(要旨)


(前略)

 今般、ウクライナ戦争を奇貨とし、さらに「台湾有事」を煽り、民心の不安に乗じて、いよいよ立憲民主主義による統制を完全に反故にする軍事強化を進めようと、岸田政権が昨年12月に安保3文書を改定し、敵機基地攻撃能力の保有などのために防衛費の大幅増額に乗り出したことを受けて、市民連合では、全国意見交換会や拡大運営委員会での議論を経て、現況における安全保障についての基本的な考え方をまとめました。今後、これを広く市民社会に共有し、立憲野党の選挙協力の共通基盤となるよう働きかけ、さらにはより具体的なオルタナティブとなる安全保障政策の構築に向けて、いっそう議論を深めていきたいと考えます。

憲法をないがしろにした軍事力の強化は抑止を高めず、日本の安全を保障できない(略)

憲法をないがしろにして日米同盟を強化することで、日本の安全は保障できない(略)

民主国家として憲法の制御下に自衛隊と日米同盟を戻すことで、日本の安全を保障する

 米国に依存しその言いなりに、抑止効果も望めない軍事力の強化へと漂流する日本政府の姿勢は、常に「安全保障環境が厳しさを増している」という常套句によって正当化されているが、日本のそうした軍事強化路線が北東アジアにおける軍備競争を加速させ、安心供与を行う外交の道を閉ざし、かえって安全保障環境をいっそう悪化させていることを認識すべきである。日本は安全保障環境の悪化の一方的な被害者でもなければ傍観者でもなく、現状ではその加担者になってしまっている。そしてそのことによって自らの首を絞める愚をおかしかねない。
軍備競争の激化と戦争リスクの増大を招く抑止一辺倒の安全保障政策は、日本の安全を保障するという本来の政策目標から逸脱し、政策としての実効性を欠いている。加えて、経済安全保障法や土地利用規制法、あるいは軍事研究の推進や日本学術会議人事への政府介入などのように、従来の防衛政策以外の他の広範な政策分野までもが「安全保障化」「軍事化」されていくことによって、国内政治において、野党や異論が国家を危険に晒すものと封じ込められ、立憲民主主義のチェック機能が失われつつある。癒着した政官業メディアによる何のアカウンタビリティもない支配体制が築かれ、採算が取れる見通しもない軍産学複合体の形成が推し進められている。また、こうした「有害な男らしさ」むき出しの軍事化を通じて、母性の強調など性別役割分業の固定と再強化が行われ、さらにそのことを隠蔽するために軍事化のシンボルとしての女性性の利用(右派女性政治家の象徴的登用や防衛省の「萌え絵」使用など)やフェミニストたちへの攻撃が繰り返される。
感染症や気候変動など地球規模での安全保障上の危機が身近に迫っている現実に目を背け、核大国同士の覇権争いで世界が軍事同盟の対決で真二つに割れてしまうことがないよう、唯一の戦争被爆国であり、アジア太平洋戦争の反省を踏まえて「平和国家」として戦後再スタートした日本が果たせる役割、行える国際協調外交がある。それこそが、日本が北東アジアでの戦争を回避するためのリアルな生存戦略である。立憲主義、民主主義に則った国家として、日本が、日米同盟と自衛隊を憲法によって制御する安全保障政策の自己決定力を回復することこそが、日本の安全保障を強化し、個人として尊重される日本国民の生命、自由および幸福追求の権利を守り、戦争を未然に防ぐ相互のレッドラインの認識を可能にし、ひいてはアジアにおける平和と繁栄に資する。

   2023年5月

          安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合


共謀罪を廃止せよ!

        
共謀罪の適用を阻止の闘いを

 2017年、安倍政権によって強引に成立させられた憲法違反の共謀罪法は、市民社会を抑圧するものである。その前年には、刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立し、盗聴法(通信傍受法)の対象犯罪の大幅な拡大と手続の緩和,他人の犯罪を証言することにより自己の犯罪を免れることができる司法取引の導入など、捜査権限が格段に拡大強化されており、共謀罪の適用を容易なものとしている。それは戦争準備と改憲に暴走する自民党政権に対する大きな巨大な市民・野党の共同による運動への恐怖であり、運動の弾圧を狙うものであり、共謀罪はまさに現代の「治安維持法」としての役割を果たすものだ。団体を言論・人・資金から規制するものとして、岸田政権による「戦争する国」づくりへの重要なてことして、市民団体や労働組合などへの共謀罪の適用の動きが強まっていることに反対していかなければならない。

 6月6日、衆議院第二議員会館で、「秘密保護法」廃止へ!実行委、共謀罪NO!実行委の共催で、「共謀罪廃止!秘密保護法廃止!監視社会反対!6日行動」が行われた。共謀罪NO!実行委員会の角田富夫さんが主催者あいさつし、許すな!憲法改悪・市民連絡会、国民救援会、日本山妙法寺、共通番号いらないネットからのアピールが行われた。

 集会後の衆議院第一議員会館会議室での院内集会「共謀罪と組織犯罪処罰法」では、山田大輔弁護士が報告した。組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)は、第1条(目的)で「この法律は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることに鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を実施するため、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例等について定めることを目的とする」とあり、共謀罪法が成立する前は、重大な犯罪として以下のような15の犯罪について刑罰を加重していた。封印等破棄、強制執行目的財産損壊等、強制執行行為妨害等、常習とばく、とばく開帳図利、殺人、逮捕監禁、強要、身代金目的略取等、信用毀損・業務妨害、威力業務妨害・詐欺・恐喝・建造物等損壊。このように当時は、暴力団や組織的な詐欺集団などの犯罪行為を組織的に行う団体への規制などだった。ところが、共謀罪法施行後には、上記に加えて、共謀罪法により、300以上の犯罪について、共謀罪を付け加える内容を含むものになり、多数の犯罪について共謀罪を創設するものになった。
共謀罪の問題点としては、成立させる必要性(立法事実)がなかったということだ。「テロ等準備罪」とはなにか、また政府が口実としていた国際組織犯罪防止条約の締結のために必要だったのか。そして、国民の権利侵害の可能性があり、曖昧、広範な処罰規定、刑罰によってまで抑止しなければならないもの以外のものが多く含まれていることである。犯罪は、一般に、(共謀)→予備→実行の着手(未遂)→結果の発生(既遂)という順序に進むのである。日常的な監視活動がなければ、立件しえないので、日常的な監視活動の正当化される。また表現行為への規制もある。
 共謀罪の内容だが、なにより条文の曖昧さがある。共謀罪の(定義)は第二条で「この法律において『団体』とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
 要するに「要件」として、@団体のうち、組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行する組織により行われる犯罪の計画であること A計画の後、準備行為が行われたこと、とされる。
 こうした曖昧な規定では、市民への適用が懸念されることになる。例えば、次のような市民の活動に、共謀罪が適用される危険性はないかということである。@沖縄の基地建設反対、ダム建設反対、マンション建設反対や、政権を批判するデモや座り込みに、共謀罪を適用できないか(組織的な威力業務妨害罪)。Aコーラスサークルやオーケストラサークルなどが、楽譜をコピーして使ったり、有名なキャラクターなどを無断で使って広告を作ったりした(著作権法違反)場合。B冤罪を主張している被疑者、被告人に対し、弁護人や親族、支援団体が、被告人に有利な証人を見つけ出し、証言をしてもらう過程で、一緒に食事をして飲食費等を支出する行為(証人等買収罪)となる危惧が濃厚だ。
 政府が行った解釈の通りに運用されれば、市民に共謀罪を適用することはできないことになることになるはずだが、しかし、戦争への準備の一環としての共謀罪が新設されたのであり、いざとなったら、政府は共謀罪を使うことに躊躇はしないということに目を向けて行かなければならない。


2023 国会ピースサイクル

       
 反戦・反核、平和、人権、環境保護のために

 5月19日、午前8時30分より市ヶ谷駅近くの公園で2023年国会ピースサイクルの出発式を行いました。午前中は曇り空でしたが午後からは小雨の1日となりました。コロナは下火になってきましたがマスクはつけて行動しました。
 @9時より市ヶ谷防衛省において要請行動をしました。昨年は地方から大分、広島の仲間がかけつけましたが、今年はG7サミットが広島で開催される日程がピース国会と日程が重なり、また、地元での反対集会の取り組みもあって来ることが出来ませんでした。要請行動を行う前に集会が行われ、各地域からの報告がありました。千葉の仲間からは沖縄の映画を多く制作してきた三上智恵監督の講演会と上映会を開催して沖縄との連帯を地域から取り組んでいることを報告がされました。神奈川からは戦闘機訓練が硫黄島に移転はしたが厚木基地騒音訴訟は継続しており、現在も軍用機の訓練が激しくなっていることが報告され、もう一人の仲間からは横須賀ノースドック新基地では米軍機能が増設されていると報告されました。三多摩の仲間からは横田基地の騒音問題や大型の無人偵察機「グローバルホーク」が5月から一時配備される問題などの報告がありました。最後に、要請書「沖縄・普天間基地の県内移設を撤回し、オスプレイの配備・訓練に反対する」が読み上げられ防衛省職員に手渡れました。この後、自転車組と徒歩組はそれぞれ都庁に向かいました。
 A10時45分から都教育委員会への要請行動があり、議会棟会議室で行われました。会議室使用では岩永都議会議員(生活者ネット)に用意して頂きました。都教委からは総務部広報統計坂井課長、渡辺課長代理の2名が出席しました。要請、質問項目は多岐にわたり、「10・23通達」に基づく教職員の戒処分についてを始め、平和教育、英語のスピーキングテスト導入、通信制学校の通学回数券廃止の支援について、GIGAスクール構想による通知書のIT化について、教職員の働き方改革についてなどの要請をしました。毎回のように広報課から回答を受けているがダイレクトに回答を得られずにいる。回答責任者を出さずにして言質をとられないようしている都の「危機管理」ではないのでしょうか。ここでの要請時間は約1時間で終了しました。昼食は1階の食堂でしたが今年もコロナ影響で食堂は閉鎖中で弁当を利用しました。この後、小雨が降るなか自転車組と徒歩組は新橋にある東電本店へ向かいました。
 B東電本店前で新潟の仲間3名と合流し要請を行いました。14時15分過ぎから始まり1時間を超過する質疑時間となりました。質問項目は、「3・11被害者に対する補償問題と事故に対する責任問題でどれだけ迅速・誠実に対応されたか」を始め、「子供の健康被害や甲状腺がん裁判、除染作業に従事してきた労働者へ、どれだけ心を配った補償と対応をしてきたのですか」、「柏崎刈羽原発の再稼働のためには、あまりにも多くの障壁があり、『再稼働断念』を表明するときではないですか」、「『汚染水』(猛毒水)問題や『核燃料デブリ』など廃炉に向かっての対策をどれだけ前進させることが出来たのですか」、「原発依存症から脱却し、「再生可能なエネルギー政策」に大転換する英断を示すべき時に、GX対策との触れ込みで原発積極推進政策を閣議決定しました。このような逆行する対策で、気候危機による地球温暖化対策として、2050年までの温室ガスゼロに向けた対策を推進できるのですか」の5点にわたり質疑が出されました。このほか新潟の仲間からの質疑があり、「柏崎刈羽原発の地盤は豆腐の上の原発といわれてきたが、15個の断層データがあり、断層データを明らかにせよ」、「7号機の循環水系配管の穴などの質問に東電はセキュリテイの関係で、答えられないというが住民との話し合いを持ち、説明せよ」、「規制委からの運転禁止継続の命令を報じる「新潟日報」の報道を示し、原子力事業者として、東電は資格がない。企業体質に問題がある」などと追及しました。
 C内閣府へは16時10分から岸田文雄首相宛の署名「『新たな戦前』を準備する岸田政治は許さない」(922筆)を提出しました。従来の署名受け取り担当者が不在で代理がきましたが失礼なことに道路上で受け取ろうとしたので署名の取り扱いとして敷地内でやるべきだと抗議しました。
 D外務省への要請は「戦前、朝鮮半島から強制動員した徴用工への謝罪、賠償について、『請求権協定』だけで解決済ですか」を事前提出していたが今回、外務省はサミット対応のため、受け入れ困難との返答があり後日回答が来ることとなりました。
 1日の行動を終え、総括会議を参議院会館会議室行いました。会議では「署名について活動期間が短いのでもう少し長めにした方が良いのではないか」や「要請は実際の運動とリンクした内容の伴ったものが必要ではないか」などが出されました。この後、19日国会前行動に参加して散会となりました。


「ALPS処理水」も「汚染水」だ

       
 海洋放水を絶対に許さない

 岸田政権は、東京電力・福島第一原発事故により発生したタンク貯蔵汚染水の海洋放出を強行しようとしている。ALPS処理水関係閣僚等会議は、今後30年をかけての海洋放出の時期は「本年春から夏頃」としている。
 経済産業省は、「ALPS処理水」と「汚染水」は異なるものだと強弁し、「多核種除去設備(ALPS)などを使って「汚染水」からトリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで取り除いたものが「ALPS処理水」で安全性の面で大きく異なるもの、としている。だが、トリチウムなど放射性物質を含む水そのもので、「ALPS処理汚染水」というべきものだ。
 そもそも2015年に、政府と東京電力は福島県漁連や全漁連に「関係者の理解なしには如何なる処分も行わない」と文書で約束しているのであり、それを一方的に反故にする暴挙だ。福島県内の水産業者をはじめ全国の消費者、そして国外からも批判する声が上がっていた。

 海洋放水を絶対に許してはならない。強引な海洋放出の中止を政府、東京電力、国会に要求し、世論を盛り上げるために、5月16日「汚染水を海に流すな!東京行動」(呼びかけ団体・これ以上海を汚すな!市民会議、さようなら原発1000万人アクション実行委員会)が行われた。
 午前10時半からは、東京電力本店への要請行動、昼からは衆議院第二議員会館前で「汚染水を海に流すな!国会前集会」、つづいて、政府と国会に要請・院内集会がおこなわれた。
 18時半からは、日比谷野外音楽堂で「汚染水を海に流すな!5・16東京集会」が開かれた。
 はじめに最初に、ルポライターの鎌田慧さんが主催者あいさつ。岸田政権はGX(グリーントランスフォーメーション)で地球温暖化や環境破壊、気候変動などを引き起こす温室効果ガスの排出を削減し、環境改善を行うという。そして、原発汚染水を処理して安全になったとして海洋放出しようというのだ。汚染水の排出は、まさに地球全体の汚染だ。ドイツでは原発全廃を実行したのに、日本は、利権のための原発推進政策を実行している。汚染水海洋放出に反対でおおきく協力していこう。
 これ以上海を汚すな!市民会議(「これ海」)の織田千代さん(福島県いわき市)は、内閣総理大臣であり原子力災害対策本部本部長である岸田文雄首相への要請「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」について報告。それは、放出の中止を強く求めるとともに、6月16日までに誠意ある回答を求めるもので、次のように要求した。@海洋放出について、福島第一原発事故及び汚染水発生の原点に立ち返り、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のないまま汚染水の海洋放出は行わないこと。A情報公開と放射線影響評価の見直しについて、政府は東京電力に対し、放出する全放射性核種の濃度、総量などの全情報を公開し、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックを再評価して、原子力規制委員会に改めて補正書を提出するよう求めること。B汚染水対策について、地下水の止水、大型タンク長期保管案やモルタル固化保管案等の検討、トリチウム分離技術の実用化など、汚染水についての抜本対策を早急に確立すること。C説明・公聴会について、福島県はじめ全国で本件の説明・公聴会を東京電力とともに開催し、汚染水対策について国民的議論を行うこと。
 「これ海」の片岡輝美さん(福島県会津若松市)は、福島県知事および大熊・双葉の両町長など「関係者の声を届けるハガキ作戦」などの活動について報告した。
 小名浜機船底曳網漁業協同組合の柳内孝之さんは、政府・東電は「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」との約束をまったく無視しての海洋放出は絶対に認められない、漁業者は納得していない、と怒りの言葉を述べた。
 環境まちづくりNPO元気力発電所(東京都練馬区)小出律子副理事長は、太陽光市民発電所の設置や「ハガキアクション」などの活動について発言し介。
 「放射能汚染水の放出に反対する北区の会」の大束愛子さんは、「海は広いな大きいな」の替え歌で駅前集会に取り組んでいることを報告した。
 海外からは、韓国「市民放射能監視センター」が参加した。国会からは、社民党の福島瑞穂参議院議員、立憲民主党の川田龍平参議院議員が参加し、汚染水海洋放出を中止させようとアピールした。
 集会の最後に、「これ海」共同代表・佐藤和良さんがこれからの運動について行動提起。7月にも予定されている海洋放出を止めるために、各自治体議会の6月定例会は重要な闘いの場になる。そこでは、海洋放出中止の請願をかけつさせよう。これまでにもまして福島県知事・県議会議長あてのハガキやスタンディングなどによる請願を行おうと諸行動への参加を訴えた。
 集会の後は、銀座デモで、汚染水の海洋放出中止を訴えた。


再審ルールを確立させよう

       
 袴田事件などの冤罪事件を根絶させよう

 日本の警察・検察の横暴ぶりは世界的にもよく知られている。そのため冤罪事件が多いことも有名だ。だが、闘いも進んでいる。放火殺人犯として死刑まで宣告されていた袴田巖さんが再審を認められ47年ぶりに釈放されたこと、これまでにも足利事件、布川事件、東電OL殺人事件、東住吉冤罪事件などが、再審によって無罪となっている。冤罪を正し、冤罪被害者救済の法的整備は急務だ。

 5月19日、参議院議員会館で、@再審のためのすべての証拠の開示A検察官の不服申立ての禁止B再審における手続きの整備で「再審のルールを作ろう」をスローガンに活動する「再審法改正をめざす市民の会」の結成4周年記念集会「袴田事件の再審確定 つなげよう再審法改正へ」が開かれた。
 西嶋勝彦・袴田事件弁護団団長が袴田事件についての報告。袴田巌さんは、お姉さんの秀子さんと一緒に登壇した。秀子さんは、長いことかかったが再審開始になったのは皆さんのおかげだ。皆さんも再審開始になっていただきたい、と述べた。
 日本弁護士連合会の松田純一副会長が激励のあいさつをした。
 つづく対談「袴田事件から再審を考える」では、静岡地裁で袴田事件の再審開始決定が出されたその時の裁判長であった元裁判官の村山浩昭弁護士と市民の会運営委員で元裁判官の水野智幸法政大学教授が、当時の決定を出すに至る判断状況や今回の高裁決定などについて話した。
 冤罪事件を扱った作品もある映画監督の周防正行(市民の会共同代表)が対談についてのコメント。
 他の冤罪事件の元東住吉事件、日野町事件、今市事件、名張事件の再審請求の活動、冤罪犠牲者の会、大崎事件弁護団からのアピールが続いた。

 なお日本弁護士連合会は、「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書」(2023年2月17日)で、刑事訴訟法及び刑事訴訟法施行法の一部にたいして逐条的な改正案を発表している。

 警察・検察の横暴・独走を許すな!
 再審制度を確立しよう!
 冤罪事件をなくそう!

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袴田事件の再審確定、つなげよう再審法改正へ(要旨)


 本日、袴田事件の再審が始まろうとする歴史的なときに、私たちは、法律家、研究者、市民そして立法府の議員の参集を得て、再審法の改正を実現するための集まりをもちました。
 袴田巖さんの、半世紀を超える不屈のたたかいは、冤罪という、国家権力を背景とした人権破壊の恐ろしさを、あらためて白日にさらしました。
 平穏に働き、暮らし、明日も同様の日々を迎えることを疑う理由のなかった人が、ある日、突如あらがう術もない強権のカで、自由も尊厳も剥奪され、人生を踏みにじられる。
 こうした冤罪の理不尽が、いかに大きな犠牲や辛苦を意味するのか、さらにはそこから解放されるためのたたかいが、それに倍する苦難の年月を要求するのか、袴田秀子さん、西嶋勝彦弁護団長のお話から、あらためて考えることができました。
 また、村山浩昭元裁判長と水野智幸弁護士の対談からは、2014年、静岡地裁での再審開始決定が、今日の再審確定にいたるために、なぜ9年の年月を費やさなければならなかったのか、この疑問にもせまりました。
 一方、大崎事件の即時抗告審決定日も、来月5日(福岡高裁宮崎支部)と通知されました。なぜ、95歳の原口アヤ子さんが、3度もの再審開始決定を「ぬか喜び」とされ、いまだに無罪の二文字を待ちわびていなければならないのか。再審開始決定に対する検察官の不服申立てが、いかに理不尽な再審妨害かも明らかです。
 袴田事件再審開始決定の2週間前、2月27日には、大阪高裁でも日野町事件の再審開始決定がありました。こちらは、検察が最高裁特別抗告する暴挙に出たため、死後再審を求めている阪原弘(ひろむ)さんとご家族は、またしても無罪判決から遠ざけられました。
 …いずれも証拠のネガフィルム等が開示されて、改ざんやねつ造があぶり出されました。再審には証拠開示のための規定や制度がなに一つないことで、無罪証拠が闇に葬られるだけでなく、こうした証拠改ざん、ねつ造、隠ぺいの背景ともなっていることは、幾度となく指摘されています。
 このように、個々の再審事件における地を這うような努力から、再審制度の致命的な欠陥が明らかにされ、再審法改正のための立法事実として、かくも積み上がっています。
 袴田事件再審無罪は、一つの冤罪事件のゴールではありません。それは、無実の人を絞首台からかろうじて救済しえた唯一の法的手段である再審制度が露呈させた欠陥から眼をそらすことなく、ただちに改革にとりかかること、再審法改正のための入口にすぎません。
 法改正は、いうまでもなく立法府の力なしに実現することはありえません。…本日を起点として、「一人の不正義は万人に対する不正義」と心に刻み、再審法改正の声を高めていきましよう。

   2023年5月19日

        再審法改正をめざす市民の会結成4周年記念集会
        袴田事件の再審確定つなげよう再審法改正へ参加者一同


KODAMA

世界をかけた音楽(二人の歌手と作曲家を追悼する)


 世界的に有名な音楽家があいついで他界した。
 日本の坂本龍一氏(3月28日、71歳)とアメリカのハリー・ベラフオンテ氏(4月26日、 96歳)である。

 坂本龍一氏は「戦場のメリイクリスマス」での俳優、映画音楽や「ラストエンペラー」のテーマ音楽の作曲家として知られていた。また東北震災時の活動や原発問題や沖縄問題へも積極的に発言していた。
 また最近では神宮外苑の再開発による樹木伐採に反対する発言もしていた。
 ロシアによるウクライナ侵略へも思いを寄せウクライナのヴァイオリニストのイリア・ボンダレンコさんに「イリアのための平和」を作曲している。
 幼少のころからピアノ演奏を修練し、バッハやベートーヴェンの曲に親しみ作曲も本格的に研究していたようである。私などにはまったく理解出来ないが自分自身をドビュッシーと思うほどの傾倒ぶりだったようである。こうしたクラッシックを基礎にジャズ、ポップス、フォークとその領域は広がっていった。アメリカのフォーク・ミュージックはアイルランドやスコットランドの音楽が変形し、南部の黒人音楽の要素も入っているという指摘は面白い。その後YMOの結成によりテクノロジイとアートの結合と呼ばれる80年型の音楽を生み出したということである。クラシックを踏まえて演奏や作曲と他領域に広げていく流れと多彩な演奏家、作曲家、映画監督、演劇人との出会いは個人史であると同時に日本の音楽や文化史の一面をも表しているのではと思う。
 他方で問題意識の旺盛な坂本氏は都立新宿高校から東京芸術大学の時代にかけて社会運動にも熱心に参加していた。大学時代にはリーダーとして仲間たちをデモにさそっているシーンは同氏のこうした面をしらなかった私には興味を誘うところである。いずれにしてもよくこの本を残してもらったと強く思う。興味ある方は是非一読下さい。

 ハリー・ベラフォンテ氏は私たちの世代には「デーオ」で始まる「バナナボート」で知れ渡っていた。ただその歌がジャマイカの労働者の叫びであるとは知らずに歌っていた。荷役労働者(もしくは奴隷)がバナナを船に積み込み朝を迎えるときの喜びなのかなと思われる。その後に私的には「マチルダ」を口ずさんでいた。透き通った高い明るい音声が引きつけるものであった。その後のフオークリバイバルを支えている。
 核兵器、人種差別、戦争に対するプロテスト、公民権運動、ベトナム反戦、アフリカ飢饉サポートと多角的に行動している。公民権運動に積極的に参加しキング牧師との公民権運動での写真を見ることが出来るだろう。
 もう1人の公民権運動に影響力のあったマルコムXの周囲にカシアス・クレイ(モハメド・アリ)がいたのと対照をなしている。この時点では同氏の自叙伝を読んでいないので今後の課題としたい。(蒲生楠樹)

 参照 「音楽は自由にする」坂本龍一著 新潮社(2009年)
 参照 ウイキペディア ハリー・ベラフォンテ

空腹と戦争

 1945年(昭和20年)、日本がアジア侵略戦争に敗北してから7年後、私は盛岡市清水町の遠山病院の産婦人科(盛岡産院)でこの世に生を受けた。
 当時は食べるものにも困った食糧難で米屋の初孫として生まれたのにもかかわらず、いつも腹を減らしていた。オフクロは早くから近くの銀行へ勤め始め、正社員になると残業時間も長くなり、いつまでたっても晩飯にありつけない日が増えていった。
 空腹に耐えかねて縁側から裏庭を涙しながら眺めていると、米をしまう蔵の一階にあった四畳半ほどの一間を若夫婦に貸していたがそのおかあさんがトロロかけごはん飯を私の前にさしだしながら、「よっぽど腹がへっていたんでしょう。これ食べんさい」といわれ、私は食べたこともないそれを涙といっしょに腹の中へ流し込んだ。その時のトラウマだろう、私はいまだにトロロご飯は口にできないでいる。刻んだトロロは酒の肴にはしているが。
 仏教では「御飯台」という行事がある。僧の説教があり、その後に食事が出される。この日は小学校を休んでまでもそれを食べに行ったものだ。
 小学校と言えばなにより給食時間である。GHQがくれた脱脂粉乳の他にも旨いモンがたくさん口にできるので、これが終わると帰ってしまう小学生がたくさんいた。かくいう私もその一人であった。(R・T)

果たせぬ夢


 かれこれ今から三年ほど前のことだったろうか。
 「ひめゆり祈念資料館」(沖縄県糸満市)から次のような内容な手紙が送られてきた。「沖縄展示会を岩手で行うのはとてもいいことだと思います。『平和教材パネル』31枚の貸し出しを行っており、2週間送料のみで利用でき、写真とキャプションを通して沖縄戦とひめゆり学徒の概要が把握できます」。
 私はこれに応えようと思い、老骨に鞭をいれるようにあちらこちらと必死になって走り回った。
 だが、訪れた県庁、県立図書館、県立女子高などは、すべてが公の組織であり多くの人の命が失われたという戦争という真実を明らかにすることは、控えておいた方がよいということなのか、残念ながら実現できずに見果てぬ夢となったままでいる。
 歴代自民党内閣は基本的には「あの侵略戦争はなかったとにしよう」という点で一致しており、この国の人びとの戦争をはじめ歴史認識・感情はひんまがったままになっている。
 あれこれを手を出さずに果たせぬ夢を見ながら生きている今日この頃であるが、いまの政権は最悪の政策を次々と出してくるのに怒り心頭というところだ。(R・T)


せんりゅう

     「繰返しませぬ」ビジョンに見当たらない

            神々のなかに並ばされG7

     自民党そのまんまヒロシマ宣言

           虚武装虚予算巨財界キシダ

     死に至る病の国の首相かな

           雑草の溢れ種地のめぐみ

     アヂサヰも多々顔のありどれも良い

                         ゝ 史

2023年6月


複眼単眼

        憲法審で結論を急ぐ改憲派


 いま岸田改憲の動きは「新たな戦前」をめぐる分水嶺にある。
 国会の憲法審査会では緊急事態条項改憲と自衛隊挿入改憲がひんぱんに語られ、改憲原案作成準備への布石としての議論がハイスピードで進んでいる。
岸田首相(自民党総裁)は5月3日に産経新聞のインタビューに応じ、憲法改正の賛否を問う国民投票の早期実施に意欲を示した。自身が表明している2024年9月までの総裁任期中の改憲実現について、「強い思いはいささかも変わりない」。「現行憲法は時代の流れの中でそぐわない部分、不足する部分が生じている。先送りできない課題だ」と強調した。党が改憲4項目として掲げる9条への自衛隊明記▽緊急事態条項▽参院選「合区」解消▽教育環境の充実−について、「いずれも現代的な喫緊の課題だ」と説明した。
また、「できるだけ早く国民に選択してもらう機会を設けるために尽力しなければならない」とも述べた。
第211通常国会が最終盤に近づくにつれて、憲法審査会(特に衆議院)の議論が乱暴になった感じがする。改憲派は緊急事態条項改憲と自衛隊挿入改憲の結論を急ぐために、繰り返し議題に取り上げた。
5月18日の衆院憲法審査会と31日の参院憲法審では改憲派と一緒に早稲田大学教授長谷部恭男氏を招いて参考人質疑をした。長谷部教授は2015年の安保関連法案(戦争法)の衆院憲法審査会での議論の際に、与党の推薦であったにもかかわらず、「違憲」と明言して、世論の動向に大きく影響をあたえたいわくつきの学者で、今回は立憲民主党の推薦で参考人として出席した。
 5月18日当日の長谷部教授の陳述には大した議論にならなかったにもかかわらず、5月25日と6月1日には改憲派の委員から一斉に批判が出た。
 国民民主党の玉木雄一郎委員は「長谷部先生のような研究者と私たち国会議員との間には根本的な認識の差がある。学者は既存の条文の解釈を出発点にして体系的に学説を組み立てていくのに対して、私たち国会議員は立法者であって、それゆえ、たとえ蓋然性が低くても、可能性がある限り、国民の生命や権利を守るためにあるべき法制度を構築する責任を負っている。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではない。それは、国民の生命や権利を守る責任を負った私たち国会議員にほかならない。私たちが決めない限り、答えは出ないのだ」と。
 なんと学者をなめ切った意見か。「長谷部さんがいるときに言えよ」と言いたくなる。そこまでいうなら、再度、長谷部授を招請し質疑したらどうか。
 維新の会の小野泰輔委員も「やはり憲法学者の先生方と、そして実際に国民の生命財産を守る政治家の間では大きな認識の違いがあったなということを実感した」などと言い放った。
 これらの乱暴な意見に対して立憲民主党の中川正春委員は「(議員任期の延長を議論する際には)長谷部参考人の立憲主義に基づいた見解に留意する必要がある。議員任期の延長を可能とすれば、時の政権がそれを悪用して、選挙で民意の審判を受けることを避けていつまでも権力の座に座り、緊急事態を常態化せてしまう危険があるということだ」と議員任期延長論の危険性を指摘した。
いずれにしても、憲法審査会の議論は大詰めに来ている。(T)


夏季カンパの訴え

        労働者社会主義同盟中央委員会

 岸田政権は、安保3文書の強引に決定し、マイナンバー、入管行政、社会保険料、原発推進、とりわけ軍事費激増と軍拡2法案などで戦争する国作りに拍車をかけています。物価高と低賃金の挟撃で人びとの暮らしは厳しいものとなってきています。それにもかかわらず、アメリカの覇権主義体制を守る冷戦構造に積極的に参加し、自らの権益増大を図ろうとしているのが岸田内閣です。総がかりで政治変革の流れを加速させましょう。みなさんに、夏季カンパを訴えます。