人民新報 ・ 第1426統合519号(2023年10月15日)
  
                  目次

● パレスチナ・イスラエル紛争 早期停戦を!

     中東の事態が示す軍事力抑止論の虚妄

          軍拡に走る岸田政権と闘おう

● 許すな!再びの核汚染水海洋放出

     ALPS処理汚染水放出差止訴訟の提訴

● カガルリツキーの不当逮捕・拘束をやめろ

● 事故続きのオスプレイ

     配備反対・撤去の声ひろげよう

● 再エネ100%と公正な社会を世界の仲間と共に一歩を踏み出そう!

● セキュリティ・クリアランス法案=拡大秘密保護法案

     日本の経済軍事化・「死の商人国家」化阻止!

● 日本は「死の商人」になるのか

     殺傷武器の輸出に反対する共同声明

● せんりゅう

● 複眼単眼  /   『明日は今日よりも』






パレスチナ・イスラエル紛争 早期停戦を!

     
中東の事態が示す軍事力抑止論の虚妄

          軍拡に走る岸田政権と闘おう

 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは、イスラエルに対する大規模な攻撃を行った。イスラエル軍は猛反撃し、短期間に双方に驚くほど大きな犠牲者が出ている。今後も戦闘は拡大し、民間人の大量殺害、社会的インフラの根底的な破壊という悲惨の拡大が心配される。長期にわたる流浪と迫害、とりわけナチスのホロコースト迫害などによりパレスチナの地へのユダヤ人入植者がつづき、1948年にイスラエルというユダヤ人の国ができ、多くのパレスチナ人がイスラエルの建国で故郷を追われた。その後、パレスチナ人の国家となるとされた東エルサレム・ヨルダン川西岸・ガザ地区にたいしても、イスラエルは軍事力を背景に支配地域を強権的に拡大している。これに対する怒りがパレスチナ人そしてアラブ諸国にひろがったが、西側先進国とくにアメリカは中東支配の要としてイスラエルを支持してきた。
 近年、イスラエル・ネタニヤフ政権は右傾化しパレスチナ人排除の政策をつよめ、イスラエル極右政権とパレスチナ人との軋轢はかつて無いほどの局面に入った。ハマスの今回の行動にはこうした背景がある。だが、ハマスは、ガザの住民を含めてパレスチナ人全体を代表してはいない。ハマスの民間人を含む殺戮作戦は許されることではない。同時に、イスラエルの反撃も同様である。

 憎悪の連鎖、暴力の連鎖をやめさせなければならない。アメリカ・バイデン政権は一方的にイスラエルへの支援を行おうとしているが、緊張を高め戦闘を激化させるだけである。
 岸田政権はアメリカの政策に追随してはならない。
 イスラエルは不法な入植活動を撤回し、1967年の国境線に基づき、東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家を樹立することこそが根本的な解決策であろう。そのことによってパレスチナとイスラエルが平和的に共存する局面を作り出さなければならない。なにより早期停戦のために各国による仲裁の努力が求められているのである。

 ハマスの攻撃は、全世界を驚愕させた。イスラエルの軍隊と情報機関「モサド」は優秀だと自他共に認められてきたからだが、それは幻想だった。強力な軍隊・警察と網の目のように張り巡らされた諜報網は攻撃を防止するのに有効に働かなかった。日本の大軍拡による周辺国に対する抑止なるものも、いざ戦争となれば同様に無効である。中国、ロシア、北朝鮮を念頭にアメリカを背景にした際限ない軍拡競争への突入は、戦争を防止するものではない。各国間、地域間などに問題があれば、粘り強い交渉と双方が譲歩しあうことこそが第一に必要なのである。

 「台湾有事は日本有事であり日米同盟の有事だ」これは安倍晋三の言葉だが、10月11日に自民党の萩生田政務調査会長は訪問先の台湾でこの言葉を繰り返した。前日10日、蔡英文総統は演説の中華民国「国慶日」祝賀式典演説で「平和は両岸(台湾と中国)にとって唯一の選択肢であり、現状維持を各方面の最大公約数とすることが平和を確保する上で極めて重要な鍵となる」と強調し、対中批判のトーンダウンと報じられたが、萩生田など日本の右翼政治家は台湾海峡での戦争を扇動・熱望しているようだ。来年一月には台湾総統選挙があるが、注視していかなければならない。

 岸田政権は、安倍政治をいっそう増幅させて戦争する国づくりに拍車をかけている。岸田政権は、「安保3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)の具体化、軍拡財源確保法の成立の強行、「武器輸出三原則」の大転換で殺傷能力のある武器輸出を解禁しようとしている。鹿児島から台湾周辺に至る南西諸島へのミサイル群の増強・配備、イージス艦発射のトマホークミサイルの導入などを許してはならない。

 戦争の危険と正面から向き合うべき時である。さまざまな反戦の課題を掲げた闘いを展開すると共に、それらを憲法改悪反対のもっとも広範な運動に合流させて、岸田大軍拡政治と闘うときである。国政選挙補選で勝利ため奮闘しよう。10月5日、「九条の会」は、東京・なかのZERO大ホールで「九条の会大集会―大軍拡反対! 憲法改悪を止めよう」を開き、満席の1200人が参加する熱気あふれる集会となった。呼びかけ人の澤地久枝さん、松下玲子さん(武蔵野市長、全国市長九条の会共同代表)、田中優子さん(前法政大学総長・九条の会世話人)、中野晃一さん(上智大学教授・市民連合運営委員)、総がかり行動青年プロジェクトチームなどからの発言が続き、参加者はこれからの大軍拡阻止・憲法改悪反対・岸田政権打倒の運動前進への決意を固めた。

 10月20日から臨時国会が始まる。総がかりの運動をすすめて、スキャンダル・失政つづきで、内閣改造でも支持率低下の岸田内閣をおいつめ打倒しよう。


許すな!再びの核汚染水海洋放出

     
ALPS処理汚染水放出差止訴訟の提訴

増え続ける核汚染水

 10月5日、国内外の根強い反対・抗議の声にもかかわらず、核汚染水の海洋放出を再開された。前回1回目では7788トンだったが、2回目も17日間で約7800トンを放出するとしている。東京電力は、今年度来年3月末までに、3万1200トンを放出する計画である。現在原発で貯蔵する量の約2%に当たる。東京電力のホームページの「汚染水対策の状況」も「山側から海側に流れている地下水や破損した建屋から入る雨水などが、原子炉建屋等に流れ込み、建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることなどで汚染水は増加します。汚染源を『取り除く』、汚染源に水を『近づけない』、汚染水を『漏らさない』の3つの基本方針にそって、地下水を安定的に制御するための、重層的な汚染水対策を進めています」とし、「汚染水とは」ではは「原子炉を冷やすために注入した水や、破損した建屋から入る雨水、山側から海側に流れている地下水が、原子炉建屋等に流れ込み、溶融した燃料に直接触れたり、原子炉建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることなどで汚染水となります。汚染水は段階的に放射性物質を取り除き、リスク低減を行った上で、敷地内のタンクに保管しています」と。
 「凍土壁」などの対策が十分な効果をあげていないことなどで福島第一原発の建屋内への地下水の流入はとまらず、汚染水は増え続けているのが現状だ。

批判の国際的な広がり

 国際的にも中国や朝鮮、ロシア、ソロモン諸島などの政府、また韓国など各国の民衆からの汚染水海洋放出への反対・危惧の声が広がっている。中国は汚染水の放出が始まって以降、日本産の水産物の輸入を全面的に停止し、中国向けで65・7%減少し、産地では影響が広がっている。2回目の海洋放出に際して、中国外交部の報道官コメントはつぎのようなものだった。「中国側の日本の福島原発汚染水海洋放出における立場は一貫して明確であり、我々は日本側の一方的な海洋放出に断固として反対する。海は全人類の共有財産だ。日本政府は国際社会の懸念に全面的に応え、誠実な態度で周辺諸国と十分に協議し、責任ある方法で原発汚染水を処理すべきであり、国際社会は長期的かつ効果的な国際モニタリング計画の構築を推進し、日本周辺の隣国などの利害関係者の確実な参加を保証すべきであることを改めて表明したい」(「人民網日本語版」10月7日)。

汚染水放出差止訴訟


 9月8日にALPS処理汚染水放出差止訴訟が提訴された(第2陣の提訴は10月末に行う予定)。弁護団共同代表の海渡雄一弁護士は「ALPS処理汚染水放出差止訴訟の概要と訴えのポイント」で次のように指摘している。――今回の海洋放出は、福島第一原発事故の被害者に対して、故意に二重の加害を加えるものであり、決して許されるものではない。被告東電は「敷地内に汚染水を収容するタンクを新たに建設する土地がない」「海洋放出は、デブリの取り出しのために必要不可欠」と説明しているが、明らかに事実に反している。汚染水を収容するタンクを新たに建設する土地は確かにあり、デブリの引き上げなど、いつできるか全く見通しも立っていない話だ。汚染水が海洋放出されれば、損害については、補償するとしているが、まさに、補償しなければならない事態を招き寄せる「災害」であることを認めている。一般住民である原告との関係では、この海洋放出行為は、これらの漁業生産物を摂取することで、将来健康被害を受ける可能性があるという不安をもたらし、その平穏生活権を侵害する行為である。海洋を汚染する物質を他に選択肢があるにもかかわらず、また緊急の必要性もないのに、汚染者自らが環境汚染を拡大することは、環境法規や環境条約にも反する違法行為だ。原告らの差し止め請求の根拠は漁民については、漁業行使権と漁業にかかる人格権であり、他の漁業関係者と一般市民は人格権(生業を核とする生存権・汚染されない環境で平穏に生活する権利)である。
 政府が「処理水」とする水は、取り除かれるべきもののすべてが取り除かれているわけではなく、そもそも国の汚染基準を満たしていない汚染水であることを認識しなければならない。この汚染水を薄めるから、定められた基準を下回るとして環境に放出することは、どのような毒物も薄めさえすれば、環境中に放出して良いとする考え、海を廃棄物処理場とする考えに基づくものであり、暴挙そのものだ。このような安全性の確認できない放出行為によって、消費者が日本近海の福島をはじめとする太平洋沿岸の海域で採れた漁業産物の買い控えを行うことは、「風評被害」などと呼ぶべきではなく、極めて正当な、合理的な根拠を有する自衛行為である。汚染水の放出は、一般市民に対する関係においても、市民が平穏に生活する権利を侵害している。このような消費者による行動の結果として、この地域の漁業、水産物加工業、水産物関連の飲食業は、壊滅的な打撃を受けることになることは間違いない。
 また、ALPS処理汚染水の放出は被告東電自らが原告らを含む関係者に行った約束に反している。被告東電は福島県漁連に対して、「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と約束した。海を汚染する海洋放出措置は福島をはじめとする太平洋沿岸の漁業、水産物加工業、水産物関連の飲食業の従事者に理解されておらず、未だ上記契約の「関係者の理解」という要件は充足されていない。汚染の責任者にはより環境に負荷をかけない代替策を採用すべき義務がある。 被告らはIAEA報告によって海洋放出を正当化しようとしているが、IAEA報告の内容は、海洋放出計画を是認したものではない。これは、影響評価のみであり、海洋放出の政策にお墨付きを与えたものではない。IAEAは、日本政府の求めに応じて作成された報告書においてIAEAの報告書は、日本政府の放出計画について「推奨するものでも、支持するものでもない」と一定の距離を置いている。
 原告らは、被告国が令和4年7月22日付で行った東京電力ホールディングス株式会社に対する福島第一原子力発電特定原子力施設に係る実施計画の変更認可が、原子炉等規制法64条の3第3項、並びに、わが国の批准したロンドン条約1996年議定書の3,4条、国連海洋法条約の194条、207条などに反し、重大かつ明白な違法があるものとして無効確認し、他に適当な方法がないことから、当該変更認可の取消しを義務付ける判決を求める。 また、原告らは、被告国が令和5年5月10日付で行った東京電力ホールディングス株式会社に対する福島第一原子力発電特定原子力施設に係る実施計画の変更認可と令和5年7月7日付でした使用前検査終了証の交付を、原子炉等規制法64条の3第3項、並びに、わが国の批准したロンドン条約1996年議定書の3,4条、国連海洋法条約の194条、207条などに反し、違法なものとして取り消すとの判決を求める。
 さらに、原告らは、それぞれが有する漁業行使権、漁業者の人格権、一般市民の平穏生活権にもとづいて、妨害排除請求として、被告東電に対して、ALPS処理された汚染水の海洋への放出をしてはならないとの判決を求める。

 汚染水の海洋放出をやめさせよう。
 原発推進策の停止、全原子炉廃炉への政策転換を実現させよう。


カガルリツキーの不当逮捕・拘束をやめろ

プーチン政権は国内反戦運動への弾圧をやめろ!

 ロシアプーチン政権によるウクライナ侵攻から1年半が経過した。世界的な侵略に抗議するウクライナ連帯の行動とゼレンスキー政権の粘り強い反撃が続いている。こうした中でロシアでは2022年2月24日、侵略当初からプーチン政権に抗議するデモや集会があった。マスコミ報道の中で「侵略反対 プロパガンダを信じるな」のプラカードをもって訴える女性も出てきた。
 こうした中で多くの人がボリス・カガルリツキーはどうしているのだろうという想いでこのロシアの反戦運動を見ていたのではないだろうか。私もその中の一人であった。1990年に来日し、日本各地でロシアの社会主義運動の現状について報告していた。同年10月31日、関西でも講演と交流がもたれた。「社会主義」社会がますます国家資本主義へと変容していく中で変革を求めていく運動への期待と関心が持たれていた、それらの一端をモスクワ人民戦線で著名な一人であるボリス・カガルリツキーが表していたといえる。当時、ロシア社会を分析していくうえでカガルリツキーの視点や発言は大きな影響をもたらしていた。その後多くの社会主義を目指す政治グループが活動をしていくがカガルリツキーは労働党として運動展開していく。

ボリス・カガルリツキーへの不当逮捕、拘束をやめろ!
 2023年7月26日、ロシアの政治経済関係の全国紙コメルサントはロシア当局が「テロ行為容認」としてボリス・カガルリツキー氏を拘束し、コミ共和国の首都、スイクトイフカレに移送し逮捕したと報じている。地図で見るとよく探さないとわからないモスクワを遠く離れた極北の地である。「著名な社会学者をウクライナのテロ容認で逮捕」となっている。こうしてカガルリツキー氏は健在であることが社会的に明らかになり、ウクライナ侵略に批判的であることがわかってきた。

ボリス・カガルリツキーの2014年クリミヤ半島での独立運動への対応

しかし、カガルリツキーの逮捕については釈放運動の展開について賛否両論の議論がなされているようである。2014年のドネツク州、ルハーンシク州で独立運動があった時にボリス・カガルリツキーは独自の世界システム論からこれを支持した事実があった。
 なぜ独立運動を支持したのか? 結果的にはプーチン政権の領土拡大路線に包摂されることになったのではないかと思われる。この要因としてはこの親ロ派市民による独立運動がロシアによって直接コントロールされた運動であるとの見方と民衆の自発的な運動であるとの見方があり、カガルリツキーは後者の見方であったとする分析もある。その後、停戦に入っていくが長期的にみるとロシア・プーチン政権の領土拡張につながった感が強い。こうしてカガルリツキーはテレビ報道の解説などに登場するようになり、当局側ではとの印象を持たれた時期があったようである。

プーチン政権のウクライナ侵略に対するボリス・カガルツキーの反戦行動
 上記のような態度を取ったカガルツキーの考え方については理論上検討の余地が残るが今回のウクライナ侵略に対しては鮮明である。若者の反戦活動に対するプーチン政権の弾圧に対する批判、プーチン体制批判、ベラルーシ・反ルカシェンコ抗議行動支持、アレクセイ・ナヴァルヌイを防衛する抗議活動支持、2月24日ウクライナ侵略に対しては「破綻を運命づけられた行動」と主張しユーチューブ・チャンネルで反戦コメントを流しているということである。
 プーチン政権はウクライナ侵略をやめろ!
  ロシア国内の反戦活動への弾圧をやめろ!
  ボリス・カガルリツキーへの弾圧をやめ釈放せよ!

参照
 ロシア紙 コメルサント
 れんたい1992年11月1日 佐久間邦夫氏インタビュー
 週刊かけはし2023年9月11日 アンドリュウ・モフチャン氏(ウクライナ人)
 週刊かけはし2011年5月16日 ボリス カガルツキー分析
 週刊かけはし2014年12月1日 小林秀史氏 分析
                                        (蒲生楠樹)


事故続きのオスプレイ

    
 配備反対・撤去の声ひろげよう

 米中対決の激化を加速させる岸田政権の戦争する国づくり政策は、日米軍事一体化をもたらしている。その一環としてオスプレイのへの配備がある。防衛省・自衛隊は、対中最前線として南西諸島への部隊配備を強化している。「島嶼防衛」を十分に行うためには、南西諸島への部隊配備だけではなく、島嶼が侵攻を受けるような場合にいち早く駆けつける能力の整備も必要だとして、陸上自衛隊は輸送航空隊を新編し、V22オスプレイを17機装備し、主として水陸機動団を迅速に島嶼に輸送する任務をになうとする。本来の配置先は佐賀空港が最適とするが、佐賀空港の施設整備が整うまでの間の暫定的な配置として、木更津駐屯地に部隊を配置している。木更津駐屯地には、2020年7月10日に、1機目が飛来し、現在、14機目までが配備されている。
 「陸上自衛隊V22オスプレイの暫定配備に係る考え方について」(2019年5月)は、「オスプレイの安全性」【基本的な考え方】で、「オスプレイは、米国政府が安全性・信頼性を確認した上で量産されたものです。政府は、米オスプレイの普天間飛行場への配備に先立ち独自に安全性を確認しています。米オスプレイと同型機の陸自オスプレイを導入することを決定した際、改めて、安全な機体であることを再確認しています」としているが、全く事実とは違う。
 オスプレイが開発段階から構造上の欠陥を指摘され、改善を求められてきたのにもかかわらず、日米両政府はその事実をまったく認めず、対策を講じないまま配備・飛行を強行し続けているのだ。
 オスプレイは機体の構造上、着陸時に強い下降気流を発生させるが、その際に地面等の砂塵等の粒子を大量に巻き上げるため、その粒子がエンジン・フィルターで完全に除去されずにエンジン内に吸い込まれて燃焼不良を起こし、失速・墜落するリスクをはじめ国内外で緊急着陸や墜落事故等さまざまなトラブルが相次いで発生している。

 オスプレイは欠陥機と言うべきものであり、その安全神話は崩れ去っているのである。

 最近でも、米軍普天間飛行場所属のMV22は9月14日に4機、16日、21日に各1機が奄美空港などに不具合による着陸した。8月31日にも陸自V22オスプレイが静岡県焼津市の空自静浜基地に予防着陸をしている。このままでは、事故による大惨事は避けられないだろう。

 オスプレイ配備への怒りの声が広がっている。
 9月12日に、オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会とフォーラム平和・人権・環境は、首相、外相、防衛省にあてた「要請書」(別掲)を手渡した。 10月4日には、地元の千葉県木更津市の「オスプレイ来るな いらない住民の会」が、陸自V22の飛行停止のほか、V22オスプレイをはじめ全オスプレイの飛行停止を防衛省と木更津市に求めた。

 オスプレイの飛行停止と撤去を求めて闘おう。
 岸田は大軍拡と対中国敵視・緊張激化政策をやめろ。

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要請書

 日々のご精励に心より敬意と感謝を表します。
 オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会とフォーラム平和・人権・環境は、オスプレイには1つの航空機で垂直離着陸と水平飛行の両者ができるという極めて高度な目標をめざしたことに伴う構造的な欠陥があるとの観点から、飛行訓練への反対や日本への配備をしないよう求めて、これまで11回にわたって要請を行ってきました。
 さて2022年6月8日にカリフォルニア州の砂漠で訓練飛行中のMV22オスプレイが墜落し、搭乗員5人全員が死亡した事故に係わる事故調査報告書が2023年7月21日、公表されました。そこには、「ハード・クラッチ・エンゲージメント」(以下HCE)なるクラッチの不具合が発生し、それに対処するすべもなく重大な事故に至ったことが記され、パイロットの操縦ミスなどの人為的要素や悪い自然条件もなく、ひとえに機体の問題であることが明記されています。これまでの事故は、ことごとくパイロットミスで起きたことで、機体そのものに問題はなかったとされてきたのと比べると、今回の事故調査報告書はかつてないものです。これまでの米軍、防衛省の説明を根底から覆すもので、オスプレイの安全性への国民の懸念はますます深まっています。
 振り返れば、昨年8月17日、米空軍が、クラッチの不具合を理由にCV22オスプレイ全機を飛行停止し、問題の究明にあたるとしたにもかかわらず、2週間ほどで飛行再開となり、あたかも問題はなかったかのように平常な飛行が継続されてきました。しかし、カリフォルニア州での事故調査報告書は、問題は継続し、むしろより深刻なものであることを示しています。日本政府は、飛行再開に当たり、HCEによる墜落事故は起きてい
ないこと、米海兵隊によりHCE22の対処法が確立しているので飛行に問題はないと説明してきました。それと、今回の事故報告書は整合するのでしょうか。米空軍の飛行停止という判断のわずか2か月前に、HCEが原因で墜落事故が起き、確立されていたはずの対処法は何ら有効に機能せず、5人もの米兵の生命が失われていたのです。
さらに、今回の事故が、200〜300フィートの低空飛行訓練中に起きたことは、2023年7月7日に日米で合意した「高度200フィートでの低空飛行訓練実施」が極めて危険であることを示しています。さらにそうした中、8月27日には、オーストラリアでMV22オスプレイの事故が起き、3名が死亡したとの報がありました。
 ことは、基地周辺や飛行ルート下の住民の生活と命にかかわり、陸上自衛隊員の安全にもかかわる重大な問題です。この際、日本政府は、少なくとも自衛隊のオスプレイはすべて一旦飛行停止とするモラトリアムを実施し、その間に、今回の事故調査報告書を精読して問題の本質を究明し、これまでの自らの説明の問題点を明確にし、それを国民に説明する責務があるはずです。そこで、これらを踏まえ、以下要請します。

 記

 要請項目
 1 陸上自衛隊V22オスプレイについて、飛行停止すること。
 2 米軍のすべてのオスプレイの飛行を停止するよう、米海兵隊、米空軍に申しいれること。
 3 200フィートでオスプレイの低空飛行訓練を行うという日米合同委員会合意について破棄すること。
 4 8月27日にオーストラリアにおいて発生したMV22墜落事故について、事故が起きた経過、事故機の所属などについて米軍に問い合わせ情報提供すること。


再エネ100%と公正な社会を世界の仲間と共に一歩を踏み出そう!

               『ワタシのミライ』

 今年の夏は世界平均気温が史上最高となるなど深刻な環境破壊・気候災害が進んでいる。

 9月20日には米ニューヨークで開かれている国連総会で、各国の代表が気候危機への対応について議論する「気候野心サミット」がひらかれた。これに向けて、世界各地で、市民によるさまざまな行動がとりくまれ、日本各地でも各地で取り組みが行われた。グテーレス国連事務総長は、「人類は地獄の門を開いた」と危機的な状況に警鐘をならし、「加速化アジェンダ」の具体的な行動提案を提示した。OECD諸国は2030年までに、その他の国は2040年までに、石炭の使用をフェーズアウトする。化石燃料に対する補助金を取りやめる。気候行動を支援するよう多国間開発銀行をオーバーホールする。緑の気候基金の補充を行い、1000億ドルの資金提供の約束をする。来たる気候変動枠組条約COP28において、「損失と被害基金を実施可能な状態にする。会議の最後に、最後に、グテーレス事務総長は、イベントは「気候野心サミット」として始まり、「気候希望サミット」として終わったと述べた。だが、各国政府の取り組みは依然として消極的なものであり、事態は深刻さを増すばかりであり、気候変動対策の抜本的強化を求める運動を強めていかなければならない。

 9月18日、代々木公園B地区の野外ステージ・けやき並木で、原発も気候危機もない公正な再エネ1000%の未来を求める市民の意思を示すため、「再エネ100%と公正な社会を目指して 世界の仲間と共に一歩を踏み出そう!『ワタシのミライ』イベント&パレード」(共催:ワタシのミライ、さようなら原発1000万人アクション、Fridays For Future Tokyo)がひらかれ、8000人が参加した。

 トークショーでの鎌田慧さん(さようなら原発)の発言―「さようなら原発1000万人アクション」は、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔の9人で始めたがいま残っているのは3人になってしまった。老人ばかりの運動と言われたが、今日は若い人たちがいてほっとして本当にうれしい。福島原発事故の翌年2012年7月の『さようなら原発10万人集会』のあいさつで、大江健三郎さんは、中野重治の短編『春さきの風』から「私らは侮辱のなかに生きています」という一節を引用した。岸田政権のやっているのは人びとを侮蔑することだ。人間性を抹殺されている。汚染水なのにマスコミが処理水で統一されている。これから30数年やっていくという。もう原発は止めようと声を大にして運動してきたが、再稼働を進め、汚染水を流していく。岸田政権は原発を限りなく使っていく、軍備の大増強・戦う態勢づくりをやり、麻生副総裁は闘う決意とまであおっている。原発対、軍事強化、武器輸出に反対する闘いをつよめて、それを若い人たちに引き継いでもらいたい。
 小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所)の発言―2011年3月の破局的な福島原発事故から12年半が経つが、大変な苦難が続いている。多くの人が強制避難させられ故郷を追われ流浪化した。何万人もの人がいまも帰れない。岸田は安倍以上の原子力の回帰を強行している。福島の放射能汚染水は、国の基準値の10倍のどんな処理をしても取れないトリチウムが含まれているれっきとした汚染水だ。汚染水は海に流さなくとも、加工や東電の敷地内でいくらでも処理できる。現実的で可能な方策はたくさんあるのにそれをしていない。汚染水放出は実害だらけだが、海洋投棄がだめになると六ヶ所村の原子燃料サイクル施設も否定されることになる。汚染水の放出に対する闘いは政府の原子力推進の基本との闘いである。

 集会終了後、渋谷と原宿の二コースでパレードが行われ、原発推進政策からの抜本的転換をアピールした。

 若者の参加も多く、運動の幅が大きくひろがる形となり、世代交代を感じさせる活気に満ちたものだった。


セキュリティ・クリアランス法案=拡大秘密保護法案

     日本の経済軍事化・「死の商人国家」化阻止!


 「セキュリティ・クリアランス」が、米中対立などに伴う経済安全保障強化の一環として、日本でもアメリカの基準に合わせての法制化が議論され始めた。
 参議院常任委員会調査室・特別調査室の「セキュリティ・クリアランス制度導入の方向性と主な論点〜技術流出の防止等による国力向上を目指した制度構築に向けて〜」によると、セキュリティ・クリアランス制度とは、国家における情報保全措置の一環として、@政府が保有する安全保障上重要な情報を指定することを前提に、A当該情報にアクセスする必要がある者(政府職員及び必要に応じ民間の者)に対して政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセス権を付与する制度であり、B特別の情報管理ルールを定め、当該情報を漏洩した場合には罰則を科すことが通例であるとされる。
 また、内閣官房経済安全保障法制準備室の6月6日の「中間論点整理」によると、「こうした情報保全の強化は、同盟国・同志国との間で必要な国際的な枠組み整備とあいまって、既に情報保全制度が経済・技術の分野においても定着し活用されている国々との協力を推進し、ひいては、国家安全保障戦略が示す我が国の安全保障に関わる総合的な国力の向上にも資する」としている。
 高市早苗経済安全保障担当大臣は、「現状では、ほかの法律でも調査を行っているが、対象の多くは国家公務員で、民間事業者は非常に少ない。経済安全保障上の重要な情報を扱う民間事業者にも対象を広げるとなると、それなりの人員と規模感を持った組織が必要だ」と述べ、十分な調査を行うことができる体制づくりが必要だとして、セキュリティークリアランス関連法案についてこの秋にも与党などとの調整が始められるように検討を急ぐ考えである。そして来年の通常国会に法案を提出しようとしている。
 要するに、セキュリティ・クリアランス制度とは、先端技術の流出を防ぐため、重要な情報を扱う人の信頼性をあらかじめ確認することであり、2022年12月閣議決定で改定された国家安全保障戦略等安全保障三文書による戦争する国作りの一環としての科学技術の国力・戦争目的への取り込みを図る政策であり、岸田大軍拡政策の軸となるものであり、戦争反対の闘いの重要な課題である。

 9月15日、文京区民センターで、「秘密保護法の大改悪を許さない! 日本を「死の商人国家」とするセキュリティ・クリアランス束ね法案に反対する 市民大集会」が開かれた。

 井原聰東北?学名誉教授は、「セキュリティ・クリアランス制度の法制化の問題点」と題して基調報告をおこなった。セキュリティ・クリアランス制度化が急がれるのは、日米兵器共同開発・日米兵器及び兵器体系のシームレス化への対応であり、米国からの強い要求である。
 米国の軍需産業の保全プログラムとそのマニュアルの模倣は日本の産業構造に大きな変化をもたらすとともに、国家による管理・統制強化は「防衛力の基盤整備」と称して産業の軍事化を推進することが危惧される。
 オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国など英語を共通言語としる機密情報共有の枠組みファイブ・アイズの「情報保全」に通用するものとして、マニュアルまで米国と一体化するとは、もはや独立国とはいえない。 
 特定秘密保護法を本格的セキュリティ・クリアランス制度へ転換は、民間人・研究者・技術者・事業者・セキュリティ・クリアランス保有者の上司及び管理者へ対象者の拡大だ。これは研究者の発表の自由はく奪、研究環境の隔離である。研究者の身上調査(SCSC・適性評価)と研究施設の適性評価を実施することを可能とするのもセキュリティ・クリアランスの法制化の目的の一つだ。適性評価は「@暴力的な政府転覆活動・テロ等への関与、A外国との関係、B犯罪歴、C民事訴訟歴、D情報通信関係の比違歴、E物の濫用、F精神の健康状態、Gアルコールの影響、H信用状態、I知人の連絡先家族・同居人に対して氏名、生年月日、国籍、住所、社会保障番号等」というものだ。研究者本人の同意を得てとはいうものの、本人につながる同僚、上司、家族、親族、同居人、隣人にまで調査が及び、基本的人権や思想信条の自由に関わる問題があり憲法に抵触する内容でもある。研究設備・研究環境が適性でなければ、適正な環境を有する施設に移転が求められる。当然ながら、研究の自由や発表の自由、国際交流が規制されます。さらに外国人研究者や留学生の受け入れにもかかわり、研究・教育上の規制が大きくなる。

 海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団・経済安保法に異議ありキャンペーン)は「秘密保護法の大幅な拡大をもたらし、日本を「死の商人国家」とするセキュリティ・クリアランス束ね法案(拡大秘密保護法案)に強く反対する」と題してリモート報告。セキュリティ・クリアランス制度の法制化は「拡大秘密保護法」そのものだ。6月6日の「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議・中間論点整理」が想定している法制度の改変がもたらす問題点は、以下のとおりである。
 最大の問題は、国や軍需産業だけでなく、デュアルユース研究まで、厚い秘密のベールで覆う、膨大な束ね法案すなわち「拡大秘密保護法案」となるということである。これにより、日本経済の国家統制が強化され、軍産学共同の軍事国家化が進むことになり、産業の自由な発展が阻害される。
 広汎な分野の情報が秘密とされ、それを監視するシステムが構築され、監視社会の出現とともに、さまざまな問題を公に議論の対象とすることが難しくなり、知る権利や表現の自由、発表の自由が侵害されることが危惧される。原子炉等規制法も対象とされており、次世代革新炉の研究開発などが秘密のベールに覆われて、その批判が難しくなる。
 また、サプライチェーンや基幹インフラのような、膨大な産業分野で働く労働者(研究者・技術者、実務担当者等)及びその家族・友人・同居人・隣人等が、セキュリティ・クリアランス制度の対象とされ、適性評価(信頼性の確認)を受けることになる。秘密情報を取り扱う担当者ばかりでなく、関連する広範な人々までがプライバシーを侵害されることが危惧される。適性評価は「任意」とされるが、拒めば、会社が取り組む情報保全の部署から外されたり、退職を迫られたりする可能性がある。この守秘義務は、部署を離れても、退職しても機密が解除されるまでは一生続く。研究者や技術者の場合、自らの専門分野を活かした転職は難しくなり、研究発表や研究交流、特許取得も難しくなる環境下で、軍事に関連する分野で働き続けるしかなくなることが危惧される。ここで、戦前の秘密保護法制の拡大の経過を振り返っておく。
 「軍機保護法案」が「旧軍機保護法」の改正法案として第70帝国議会に提出されたのは1937年2月であり、陸軍によるクーデターで多数の要人が殺害された2・26事件の1年後であった。日中の全面戦争の端緒となった盧溝橋事件の4か月前のことである。この法案は、海軍省、内務省、司法省の協力を得て陸軍省が作成した。「軍機保護法案」は、軍部、とりわけ陸軍の支持を受けた林銑十郎内閣により、議会に提出された。議会では、臣民の権利義務に重要な関係を有する事項は命令ではなく法律で定めるべきではないか、死刑を科すような重大な刑罰法規の構成要件を陸海軍の大臣の命令にゆだねるのは不思議である、スパイだけでなく善良な国民でも引っかかりうる、このような法案が厳格に適用されたら、「うっかり話もできない、新聞や雑誌に書くこともできない、一般国民は省令にあるかどうかなどわからないなどの正当な批判によって審議はストップしていた。
 しかし、1937年7月の盧溝橋事件の勃発によって8月には法が成立し、内閣情報部が設置された。1938年には国家総動員法が制定された。1939年には国民精神総動員運動が政府主導で本格化し、軍用資源秘密保護法が制定され、国民徴用令が公布された。1940年には、要塞地帯法が改正され、その適用範囲が拡大、規制が強化された。
 1937年の改正軍機保護法には秘密の指定制度はなかったが、対象範囲は、特定秘密保護法に相当する。1938年の国家総動員法は、2022年に制定された経済安全保障法と同様の機能を持ち、また、大半の事項が政令に委任されている点も似ている。1940年改正要塞地帯法は、2021年に制定された重要土地規制法と同様の立法目的と規制手段を有している。1938年軍用資源秘密保護法は、経済安全保障法さらには今回制定が計画されているセキュリティ・クリアランス制度法案と規制内容が共通している部分がある。このように、秘密保護法制は、いったん拡大を始めると止まらなくなる傾向があることに留意する必要がある。現時点では法案そのものは上程されていないが、中間論点整理からは、秘密保護法の経済安保分野への大幅な拡大をもたらすセキュリティ・クリアランス束ね法案、すなわち拡大秘密保護法案が出てくることは容易に想定でき、このような法案が、2024年の通常国会に提出されることは確実である。
 そして、そのような法案は、日本経済の軍事化につながる。日本を「死の商人国家」にしてはならない。


日本は「死の商人」になるのか

     
殺傷武器の輸出に反対する共同声明

 岸田政権は、大軍拡の一環として殺傷能力のある武器の輸出解禁を強行しようとしている。自民・公明の与党実務者協議は、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しをめぐる中間報告を7月にとりまとめ、議論は「秋以降」始めるとされていたのを前倒しでおこなおうとしている。歴史的大転換の暴挙だ。絶対に許してはならない。反対の声がさまざまに起こってきている。
 
 10月3日には、室蘭工業大学の清末愛砂教授、非政府組織(NGO)ピースボート共同代表で「平和構想研究会」代表の川崎哲さんたち憲法学者や市民団体の有志ら22人は、日本を「平和国家」から「死の商人国家」へと転落することに反対して共同声明を発表した。 
【日本は「死の商人」になるのか 殺傷武器の輸出に反対する共同声明】
 (前略) 殺傷武器の輸出解禁は、集団的自衛権の行使容認や、敵基地攻撃能力の保有など、積み重ねられてきた解釈改憲の延長線上にあるものです。日本が「戦争をする国」となり「他国に殺傷武器を輸出する国」にまでなれば、平和憲法は完全に空洞化します。
 一連の動きの背景には「防衛基盤整備」と称して、国内の軍需産業を強化しようという流れがあります。軍需産業は、破壊と死傷を生み出し、不信と対立を世界に広げる一方、社会の実質的発展には貢献しません。私たちは、日本が、他国に尊敬される「平和国家」から「死の商人国家」へと転落することを、許容することはできません。
 私たちは、次のことを求めます。
 武器輸出の運用指針見直しに関する与党実務者チームをただちに解散させ、閉会中審査を含め、国会で期限を設定せずに徹底した議論を行うこと。
殺傷武器の輸出を解禁しないこと。
 第三国輸出による戦争への加担と不可分である次期戦闘機の日英伊共同開発そのものを中止すること。
武器輸出に多額の税金を投入する軍需産業強化法を廃止すること。
 その上で、私たちは、日本が厳格な武器輸出全面禁止の原則を改めて採用し、現行の防衛装備移転三原則をその方向へ改定することを求めます。そして、国際協力において「紛争を助長しない」原則を改めて確立し、軍事的な協力ではなく、軍縮、緊張緩和、難民受け入れ、気候危機、貧困の克服、災害救援など、人々の命を脅かす問題の解決に非軍事で尽力することを求めます。


せんりゅう

     トマホーク早くはやくとキシダ顔

           猫にマタタビ自民に統一

     菊・鶴・星・統一…呪縛のありか

           世襲大臣王族の如し  

     認知症薬できた総理症薬ほしい

           格差の壁あつあつガンジョウ

     海外のゼネストの声なつかしい

           マルクスのその革命はこれからだ

                            ゝ 史

 2023年10月


複眼単眼

     
 『明日は今日よりも』

 「解散風」が吹いている。 「風」というが、結局、岸田首相らの発言をメディアがあれこれ忖度して垂れ流すから、それが「解散風」になる。

 そうこうするうち、岸田首相から驚くべき発言が飛び出した。
 岸田首相は10月3日、自民党の役員人事と第2次内閣改造を行った。
 そして翌日、官邸で記者団から意気込みを問われ、「『明日は今日よりも良くなる』と誰もが感じられるような国を目指して、経済、社会、そして外交・安全保障の3つの柱のもと政策を進めていきたい」と述べた。
 これを聞いた各方面から「寝言は寝てからいえ」など、怒りの声が飛んでいる。 首相があげた経済、社会、安全保障、このいずれも、において、「今日より明日がよくなる」と「誰もが感じられている」だろうか。
 だれがこの首相発言のゴーストライターかは知らないが、首相は得意げに語った。よもや山田邦子・川中美幸の「明日は今日より」の歌が下敷きになっているわけではあるまいな。

 「明日は今日より」で山田と川中は歌う。

 ♪明日は今日より笑っていましょう♪。
 ♪悲しいことは忘れる♪。

 SO! 忘れるの♪。

 ♪雨上がりの青空に 虹が掛かるような 明日になるから笑っていましょう♪

 「笑っていましょう」。岸田さん、これか?ほとんどやけっぱち状態ではないか。
 「誰もが」だって?、冗談じゃない。ごく一部の支配層に属する者を除けば、誰もが首相が挙げた3つ。 このいずれをみても、昨日より今日が悪くなり、今日より明日が悪くなると感じている。
 経済は物価高が庶民を襲い、鳴り物入りで謳われた賃上げも、実質賃金は低下している。
 日銀は舵取り能力を喪失し、貧困と格差は拡大している。
 首相についたあだ名が「聞く耳を持たない」「増税メガネ」で、かつてない庶民の怒りをこめたもの。
社会には差別が横行し、コロナは第9波といわれるほどに収まらず、生活の不満と不安は増大している。
 新内閣に世襲議員を中心に女性を5人入れたと自慢したと思ったら、その直後に発表された54人の、副大臣と政務官はみんな真っ黒っけ。
 安全保障は戦争の危険が増大する一方で、隣国との外交は行きづまっている。麻生副総裁はわざわざ台湾に行って「戦争を覚悟しろ」といい、政府は米国の中古のトマホーク・ミサイルを前倒しで大量に購入する。庶民にはJアラートで地べたに伏せさせる一方、強靭化と銘打って、各地の自衛隊基地にシェルターをつくる。
 それでいて現実と極度に乖離してしまった憲法のくびきを取り払おうと、改憲の画策はやめない。

 岸田首相に提案がある。
 「明日は今日より必ず良くなる」ためにも一刻も早い退陣を」
 国会解散、上等!    (T)


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