人民新報
 ・ 第1453統合546号(2026年1月15日)

                  目次


● 支持率低落の不安に駆られての衆院解散

        高市政権の戦争準備政策阻止!

               
● 【市民連合緊急声明 2025年12月28日】《私たちは憂慮します―歯止めなき「戦争準備」に抗して》

● 米国のベネズエラ武力攻撃を許すな!

         帝国主義的侵略を公言するドンロー主義

● 日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地への多機能な複合防衛拠点整備計画

         呉市を戦争の準備基地にさせない!  標的のまちにさせないぞ!

● 官邸幹部の「核保有」発言に抗議

         高市首相は直ちに罷免せよ

● 北村滋『 国家安全保障とインテリジェンス』

         警察国家化をねらう官邸ポリス

● 今月のコラム  / 本を読め!最低3冊は読め!-斎藤美奈子著「絶望はしてません」を読む- ②

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  復活する天皇制の亡霊






支持率低落の不安に駆られての衆院解散

        高市政権の戦争準備政策阻止!
 
高市の「強い国作り」政策

⇒2026年はトランプ政権によるベネズエラ武力攻撃とマドゥロ大統領の拉致、さらなる攻撃対象国の拡大という波乱の幕開けとなった。昨年の第二期トランプ政権の登場以来の世界的激動はいよいよ天下大乱の様相をしめしはじめている。 日本でも高市政権の成立によって軍備増強・戦争する国づくりが加速しようとしている。
 元日に発表された高市の年頭所感や1月5日の伊勢神宮での年頭記者会見で、「日本列島を、強く豊かに」というスローガンのもとに基本政策を述べた。「力強い経済」と「強い安全保障」を両軸に、経済政策では、デフレ完全脱却と「年収の壁」打破、AI、半導体、宇宙、エネルギーなどへの、リスクをチャンスに変える「戦略的投資」を官民一体で進め、約160兆円の経済波及効果を目指す。社会政策では、少子化・子育てへの具体的支援、ベビーシッターや家事支援サービスの負担軽減。そして 外交・安全保障では、さらなる対中強硬姿勢、台湾民進党政権との関係強化、特定の国に依存しないサプライチェーンの構築、日本の農産物の輸出拡大、防衛力と国土強靭化、そして憲法改正や皇室典範の議論の積極化を強調した。これらの政策を自民党と日本維新の会の連立合意を基礎としつつ、国民民主党など野党にも協力を拡大しながら実行しようとする。だが、高市政権は高い支持率を維持しつつも、アベノミクスをさらに極端化した幻想的な経済理論や硬直した外交姿勢やのゆえに重大な弱点・リスクをかかえている。
 積極財政と金融緩和を重視する「サナエノミクス」は、円安・インフレを加速させ、人びとの生活コストを押し上げている。高市の存立危機事態発言、経済安全保障などにみられる中国敵視外交は、日中関係を冷却化させ、レアアースの禁輸など日本経済にとっての「チャイナ・リスク」を増大させた。また、歴史認識問題や靖国神社参拝などの持論をめぐって日韓関係がを再び緊張化させる可能性が高まる。こうした高市の挑発的な外交姿勢はトランプからもお叱りをうけることになった。
 高市自身を含めて依然として続く自民党とカネの問題、旧統一教会との関係の持続などがあり、石破派や旧岸田派の流れなどの党内の反高市勢力、連立相手の維新の会や国民民主党などとの調整が出来るのかどうかが問われている。

軍事拡大路線を進める

 高市政権の防衛・外交政策は、キーワードを「自律と抑止」とし、軍事力だけでなく経済的なレジリエンス(復元力)を安全保障の一部と捉え、防衛費のGDP比2%超えを目標の前倒しで予算を投入し、極超音速兵器やドローン部隊の配備など、先端技術への投資を強化する。なお防衛費増強のため所得税を27年1月から増税するとしている。
安保3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)の2026年末までの見直しをスタートさせた。経済安全保障の深化では、AIや半導体、重要鉱物のサプライチェーン確保を「経済の自衛」と位置づけ、他国への過度な依存を排除する。対中・対台湾政策では、国会答弁において、台湾有事が日本の「存立危機事態」に該当し、対中戦争に参戦するとの認識を明示した。中国による輸出規制などに対しては、同志国(G7や豪州など)と連携して対抗措置をとる姿勢を鮮明にした。日米同盟では、日本が主体的な役割を果たす同盟関係を目指すとした。防衛費の増額や「80兆円(5500億ドル)対米投資」の具体案を提示することで、トランプ政権のご機嫌を伺いながら、対中包囲網の多角化を図ろうとしている。靖国参拝については時期を慎重に検討しながら機会を狙っている。高市政権は、存立危機事態発言のあともその対中姿勢は対決の姿勢を強めるばかりである。

トランプとの思惑の違い

 「台湾有事は日本有事」と高市は主張するが、トランプは「ディール(取引)」と「経済的実利」を重視し、「台湾は米国のチップビジネスを奪った」と批判的で、防衛についても「米国から遠く、中国に近い台湾のためになぜ米軍が犠牲を払うのか」というコスト意識が強く、防衛を「取引のカード」にする傾向がある。一方で高市は「台湾有事は日本の存立危機事態」と明言し、安全保障上の死活問題として捉え、「国家主権」と「価値観・安全保障」を最優先する傾向があり、よりタカ派色彩が強い。トランプ大統領は、歴史認識問題にはほとんど関心がなく、日本が歴史問題で中国や韓国と揉めることは「米国の東アジア戦略の邪魔」と捉えている。
トランプ政権は、台湾防衛に「軍事力排除せず」と言及していたバイデン政権の東アジア政策とは大きく変化しているのである。もっとも米国政権や議会の中には対中強硬派もいるし、トランプ自身も意見を急転換させる可能性もあるが、トランプ政権の間は対中関係の安定化が図られる可能性は高いだろう。高市政権は、こうした情勢の変化のなかで、より対中強硬政策をとるという「戦略」をもっている。また台湾の民進党政権も日本の右派勢力との連携を強めようとしている。

通常国会冒頭解散の暴挙

 通常国会は1月23日に召集される予定だ。この国会では、日中間の緊張緩和、国際的にはトランプの暴走をどう止めていくのか、防衛力整備の在り方、物価高対策などの議論が行われるべきだ。だがここに来て通常国会冒頭の衆院解散・総選挙の動きがにわかに強まってきている。いまのところ高支持率を維持している高市政権にとって、通常国会の中で、物価高の長期化、防衛増税、中国による本格的な経済報復による日本経済への打撃の深刻化、ベネズエラ侵略の支持などについて議論が本格化すれば、支持率が低下する。その前に「勝てる選挙」を行う―それが高市政権の本音である。だが、政策優先の言葉と裏腹に高市が解散を断行するには、あまりにもその前にたちはだかる壁は高い。


 解散・総選挙の日程がいつになるにせよ、ボロを出し始めた高市極右政権に対して人びとの大きな団結による総がかりの行動で反撃しよう。市民連合は昨年12月28日緊急声明「私たちは憂慮します―歯止めなき「戦争準備」に抗して」(別掲)を発表した。市民と立憲野党との共闘を強化・拡大し、高市極右政権の早期退陣を目指して闘おう。

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【市民連合緊急声明 2025年12月28日】

私たちは憂慮します―歯止めなき「戦争準備」に抗して

【高市首相の台湾「存立危機事態」発言】
 高市政権は、先の「台湾発言」によって、中国との本来無用な外交的摩擦を引き起こしました。それは当然、「質問した野党が悪かった」わけでも、「中国政府の情報戦」によるものでもありません。高市氏の発言は、歴代の自民党政権も強固に共有していた外交的配慮や日中関係の歴史的文脈を踏まえず、きわめて軽率なものでした。その意味で、この度の問題では、高市氏の首相としての資質も問われたと言えます。
【対外脅威論の高まり】
 しかし、この日中関係の悪化をむしろ「奇貨」として、さらなる排外主義や、軍備拡張を正当化しようとする声も、SNSなどを通じて聞こえてくるようになりました。私たちは、そ
←のことをきわめて憂慮します。隣国への不信を煽り、「戦争への準備」をすればするほど、相手もまた同じ「戦争への準備」を加速させ、結果的に誰もが望まない戦争へと向かってゆく。その「安全保障のジレンマ」について、私たちは歴史に学んだはずです。しかし高市政権は、自らの誤りを正すのではなく、むしろこのような台頭する対外脅威論や不安に便乗する形で、自政権の正当性を維持・拡大しようとさらに危険な道につき進んでいるように見えます。「少数与党」という弱った政権が、対外脅威を必要以上に叫び、不安に苛まれた大衆がこれに喝采を送るようになれば、「戦争」まではあと一歩です。
【歯止めのない戦争準備】
 私たち市民連合は、2015年の「安保法制」強行採決という、憲法学者の多くが反対した歯止めのない政府の「戦争準備」に抗して立ち上がりました。その後、2022年の「安保関連三文書」の(国会審議も経ない)閣議決定、23年にはこれを具体化するための「軍拡財源法」や「軍需産業支援法」が成立、その後も、「経済秘密保護法」、「能動的サイバー防御法」、「改定地方自治法」、「改悪国立大学法人法」、「日本学術会議解体法」など、国家の統制を強め、学問の自由や地方自治、市民の知る権利を制限する悪法が次々と強行されました。そして高市+維新の現政権では、「スパイ防止法」や兵器輸出の緩和、そして憲法9条2項削除や核武装論までが飛び出すようになっています。私たちは気がつかないうちに、いつの間にか、はるか遠くに来てしまいました。ここで再び歴史に学べば、社会全体、国全体が「戦争」へと向かうとき、「中道」であること(真ん中にいること)は、必ずしも戦争に抗することを意味しません。
【市民連合と「共闘」の原点】
 私たち市民連合は、これまで立憲野党に共闘を呼びかけ、政権交代を目指し、実際に自民政権を追い詰めてきましたが、その根幹には、平和憲法の原則遵守、そして「安保法制」にはじまる政府による戦争準備への反対という大原則がありました。政府が繰り返し唱える「安全保障環境の変化」を、私たちは必ずしも否定しません。しかし、その個々の「現実」認識において多くの相違があるのみならず、政府がその「安全保障」の「環境」自体を積極的に変えてゆく外交努力を怠っていること(むしろそれを悪化させることに手を貸していること)に強く抗議します。日本国憲法は、まさに新しい平和外交の力によってその国際的な「環境」を創造していくことを政府に命じています。米中という軍事大国のはざまにあっ
←て、単に一方の軍事同盟の論理に拘泥することなく、新しい東アジア外交を創造することこそ、きわめて困難でありながらも、真に次世代の平和を実現するために日本に課せられた使命に他なりません。
【「中道」の落とし穴――立憲民主党へのメッセージ
 戦争準備に突き進む高市政権のみならず、私たちと歩みを共にしてきた立憲野党、特に立憲民主党もまた、政権奪取や多数派形成という政治の大事を理由に、このもっとも大切な原則を忘れることがあってはなりません。昨今、立憲民主党の一部幹部からも、「安保法
制には違憲部分がない」、あるいは「原発リプレイスは条件付きで容認できる」などの発言があったという報道がなされています。これらはいずれも、他の「中道保守」政党と連携するための政治的判断であると容易に想像することができます。しかしそれは、そもそも政権交代後にどのような政治(国家)を実現するのかという政策理念の根幹に関わる問題であり、これを歪めてしまえばまさに「本末転倒」にほかならず、これまでの「共闘」の基盤をも根底から揺るがすことになります。多党化時代に、永田町政治の左右の「中間」で、野党が政権交代を目指して多数派工作を目指す時、社会や政治全体が「右」に移行すれば、いつの間にか批判をしていたかつての「右」と自らが同化することになってしまうでしょう。
市民は、そんなことを望んではいません。

 政党や共闘が、そもそも何のために結成されたのか、今はその原点に立ち帰る必要があります。私たちは、政治の無原則化を憂慮します。立憲野党は、単に短期的な自党勢力の拡大や表面的な「左右」の立ち位置ではなく、国民、市民、生活者の真のニーズをしっかり
←と読み取り、次世代を見据えた新たな「信じられる未来」を創造しなければなりません。また、その道筋でしか、真の「政権交代」は実現しないという事実を、私たちは強く訴えたいと思います。世界が戦争や暴力へと向かう大きな歴史的文脈の中で、すべての立憲野党関係者がのちの歴史に恥じることのない、賢明な判断を選択することを強く望みます。


米国のベネズエラ武力攻撃を許すな!

         帝国主義的侵略を公言するドンロー主義

石油利権の強奪

 1月2日から4日にかけて、アメリカ軍陸軍特殊部隊デルタフォースがベネズエラの首都カラカスを含む複数の地点を爆撃し、マドゥロ・ベネズエラ大統領夫妻を拘束・拉致した。
 3日午後、トランプ大統領は記者会見で、軍事作戦を正当化し、大統領夫妻をニューヨークで裁判にかけると述べた。そして、「安全で適切かつ賢明な政権移行が完了するまで、米国がベネズエラを運営(Run)する」と明言した。ベネズエラ石油利権について次のように述べた。米国の石油企業がベネズエラのエネルギー・インフラに数十億ドルを投資する。再建費用は石油企業が直接支払うが、後で償還される。石油を本来のように流れる状態に戻す。これまで閉ざされていた巨大な石油資源が米企業に開かれる。
 記者会見では、麻薬取締り、犯罪組織TDA(トレン・デ・アラグア)の壊滅、米国の安全保障、石油インフラの再建で正当化しようとしているが民主主義の回復や選挙の正統性については触れられなかった。すなわち、ベネズエラ武力攻撃は石油利権のための行動だったということだ。
 また、トランプは、今回の侵略を契機に、モンロー主義をトランプ流に再解釈したドンロー主義(Donroe Doctrine)なるものを言い出した。これは昨年12月に発表された『国家安全保障戦略 2025』の「西半球における米国の絶対的覇権」確立の暴力的実行宣言である。モンロー主義は、欧州と米州の相互不干渉が基調だったが、ドンロー主義は、米国は介入するが他国の介入は拒否するという覇権主義的なものであり、中南米を「米国の裏庭」とし、それら諸国の体制転換・資源確保・軍事介入による中露排除を正面から掲げる帝国主義政策そのものだ。

世界に広がる侵略への批判

 グテーレス国連事務総長は、米国の行動に対し「深く憂慮している」「危険な前例を作る」と表明し、国連憲章の尊重を強調している。中南米諸国は、ほぼ全面的に反対し、欧州は「国際法の枠組み」を重視し、米国の行動を積極的に支持していない。ロシア・中国・イランは強い非難をしている。はっきりと攻撃を非難したのは、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイ、およびスペインの六カ国共同声明で、①一方的軍事行動への拒絶、②平和的解決の追求、③平和地帯としての地域維持、④天然資源の管理・収奪への懸念、をあげた。スペインがこれほど明確に米国を批判した意義はおおきい。トランプは、この声明に対して、声明に参加したコロンビアやメキシコに対し、次の軍事介入の可能性を示唆して脅しをかけている。

侵略支持する高市のX投稿

 日本の高市政権は、「外交的一貫性(法の支配)」と米国・トランプへの配慮との板挟みとなり、極めて苦しい対応を迫られている。高市は、国際法(軍事作戦の法的妥当性)」については沈黙しながら、マドゥロ政権による「人権侵害や不正選挙」に焦点を当てる論点をずらしを狙っている。読売新聞は、「米国のベネズエラ攻撃、高市首相は支持も批判もせず…『情勢の安定化に向け外交努力進める』とX投稿」と報じた。だが、それは正しくない。高市のX投稿(2026年1月4日)には次のようにある。「ベネズエラ情勢については、日本政府として、これまでも、一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきました。」この意味は、マドゥロ政権は、民主主義ではなかったという意味だ。また「ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります。」というのは、政権交代を要請することであり、トランプ政権のベネズエラ攻撃と大統領夫妻拉致を認めることに他ならない。現在のトランプの暴走は「法の支配」という看板そのものを破壊しており、高市外交の前提条件が失われそうになっていることをみなければならない。

広がるトランプの侵略地域

 トランプの暴走は続いている。1月9日のニューヨーク・タイムズのインタビューやSNSでの発言は衝撃的だ。「国際法は必要ない」「私を止められる唯一のものは、私自身の道徳観であり、私自身の考えだけだ」などの妄言が続いている。ベネズエラにとどまらず、コロンビア、キューバへの攻撃を示唆し、中南米にとどまらずにイランへの攻撃やデンマーク自治領のグリーランドの領有そしてカナダを米国の51番目の州にするとかのプランを語っている。
 まるで、朝鮮そして中国を支配下に置くために無謀な対外侵略戦争をはじめて惨めに撤退した晩年の豊臣秀吉をみるおもいだ。
 トランプのドンロー主義に反対する全世界の人びとと連帯して、闘い抜こう!


日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地への多機能な複合防衛拠点整備計画

   呉市を戦争の準備基地にさせない!  標的のまちにさせないぞ!

 2024年の3月5日、突然の報道発表で知ることとなった日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地への防衛省による「多機能な複合防衛拠点」整備計画が進んでいる。2025年12月20日、呉市において、“呉を再び「軍港」にするって、ほんとにいいの?―呉の未来を考える12・20集会”が開催されました。
 集会は、戦争をさせない・9条壊すな!ヒロシマ総がかり行動実行委員会、総がかり行動呉地域協議会、日鉄呉跡地問題を考える会、戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク(沖西ネット)の4団体によって開催され、地元呉、広島県内、神奈川、大分、熊本などから400名が参加しました。
 開会あいさつでは、11月の呉市長選挙で3期目の当選を果たした新原市長が「自衛隊は市民の誇り」「呉が抑止力の要として世界から頼りにされる存在となる」と、防衛省計画の推進を述べたことに触れて、市の軍事基地依存姿勢を批判しました。
 また、中国新聞社が実施した「日鉄跡地へ複合防衛拠点の整備」についての意識調査の結果は、呉市では、賛成が44%、どちらかといえば賛成22%、どちらかと言えば反対5%、反対1%で、66%の賛成は、広島県全体より13・8ポイント高い数値でした。
 この数値からも明らかなように、今の呉市では批判が出しづらい空気があるが、呉の未来に向けての取り組みをおこなうと発言がありました。
 次に、呼びかけ人の有田芳生衆議院議員は、「2016年から、軍備の南西シフトが広まっている。戦争へとむかっている。2026年は、ネットワークを強めて、高市政権打倒を闘おう」と訴えられました。
 現地、呉市の考える会からは、「呉は、1950年の軍転法で平和産業港湾都市を目指してきた。今再び、軍都になるのか、平和産業港湾都市になるのかの岐路にある。子供に孫に誇れる呉を作っていきたい」と訴えられました。
 続いて、神奈川から横須賀基地の整備状況が、熊本からも長距離ミサイル配備反対の取り組み報告があり、その後、集会アピールが提案・採択されました。
 閉会挨拶では、久しぶりの集会には全国各地からの参加があった、2015年の安保法制から10年、今、日本は、どんどん軍事要塞化している、再度、安保法制を闘って行くとの訴えがあり、沖西ネットの運動を全国化するなど3点の行動提起が呼びかけられました。
 最後に、全員で「軍事拠点はNO!N0!N0!」などと書かれたアピールボードを掲げてシュプレヒコールをおこないました。
 その後、参加者は会場の警固屋体育館をスタートし、予定以上の急ピッチで解体整地作業が進む日鉄呉跡地沿いを、冬晴れの空のもとにシュプレヒコールの声を響かせながら、海上自衛隊潜水艦桟橋までの1・8㎞をピースウォークして集会を終えました。

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集会アピール 

 私たちは今日、呉と日本の未来をしっかりと見つめ直すためにここ呉の地に集まりました。

 かつて呉には鎮守府が置かれ、「東洋一の軍港」、「海軍工廠のまち」として栄えました。しかしその繁栄は、悲惨な戦争を支え、遂行する力となりました。そして、米軍の度重なる空襲により、まちは焼け野原となり、多くの命が失われました。

 その痛みと教訓を胸に、戦後の呉は「旧軍港市転換法(軍転法)」を市民の圧倒的な総意で成立させ、「平和産業港湾都市」としての道を歩み始めました。それは、戦争のまちから平和のまちへの、勇気ある転換でした。

 しかし今、私たちは再び岐路に立たされています。防衛省による「 多機能な複合防衛拠点 」 整備計画が進められ、 大型弾薬庫や武器製造・整備機能の導入が現実のものとなろうとしています。新原呉市長は「自衛隊は市民の誇り」「呉が抑止力の要として世界から頼りにされる存在となる」と語り、防衛力=軍事力に依存する市政を進めています。

  ←けれども、私たちは問いたいのです。 それは本当に、呉の未来にふさわしい道なのか? 再び「軍港」となり、「標的のまち」になることを、私たちは望んでいるのか?

 「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目(ママ)となる」というのは、1985年、ヴァイツゼッカー西ドイツ元大統領の言葉です。

 私たちは、過去を見つめ、 現在を見極め、 未来を選ぶ責任があります。 呉の未来を、平和のまちとして守り抜くために、今こそ声を上げましょう。

 私たちは、声を上げ続けます。市民の声を無視したまま未来を決めることは、決して許されません。平和を願う市民の力を結集して、呉の未来をつくっていきましょう。

 今日のこの集会とピースウォークが全国に広がる平和の波となり、さらに一層大きなうねりとなりますように。ともに歩き、ともに考え、ともに未来を選びましょう。

2025年12月20日 

呉を再び「軍港」にするって、ほんとにいいの? ―呉の未来を考える― 12・20集会参加者一同


官邸幹部の「核保有」発言に抗議

         高市首相は直ちに罷免せよ

→昨年12月18日、高市政権の安全保障政策を担当する首相官邸関係者が、「日本は核保有すべき」と発言したと報道され、国の内外に衝撃をあたえた。高市の存立危機事態発言と同様に、政権の本音を思わず口にしたものだと言える。 ←非核三原則を国是とする政府の担当者として、核保有発言は絶対に許されるものではない。
 発言者については、当初匿名の「官邸幹部」だったが、後に元航空自衛官(第24代航空自衛隊補給本部長・最終階級は空将)の尾上定正・内閣総理大臣補佐官(国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当)と判明した。 ←被爆地(広島・長崎)からの強い反発はもちろん、直ちに罷免すべきだという声がひろがった。日本原水爆被害者団体協議会談話「政府高官の核兵器保有の発言に断固として抗議する」(別掲)、原水爆禁止日本国民会議声明「首相官邸関係者による核保有発言に抗議するとともに、高市政権の核兵器政策の転換を求める」、原水爆禁止日本協議会談話「官邸安保担当による核保有発言に断固抗議する」など多くの反核団体が声明などを発表し、高市官邸の核保有発言に怒りの声をあげた。立憲民主党や公明党、共産党は罷免を求め、自民党内からも中谷元・元防衛相のは「本当だとしたらけしからん。しかるべき対応をすべき」との批判もでた。メディアでは朝日や毎日、東京は国内外での影響を懸念し、発言の撤回や更迭を求めた。読売新聞は「社説」を書かずスルー、産経は「高市首相は罷免要求に応じてはならない。国民を守るための自由な論議を封殺することになるからだ。…官邸筋の発言がオフレコ破りで報じられたのは残念だった。…石一部のメディアや政党の二重基準のような振る舞いには疑問を抱かざるを得ない」と発言を支持した。
 中国、朝鮮、ロシアからも批判の声が上がった。一方、米国は、国務省報道官が「日本は核不拡散と軍備管理の世界的リーダーだ」だとしながらも、日本を公然と批判することも避け、日米同盟の枠内で議論を封じる「火消し」の姿勢だ。
 高市政権は「辞任や罷免などの要求には応じない姿勢」である。尾上は安保政策のブレーンであり、切れば政権の中枢が揺らぐことになり、また更迭は高市の「任命責任」問題に直結する。その上に高市と同郷の奈良出身で「側近中の側近」でもある。高市政権は、今回の事態を「個人の見解」「オフレコ」を盾に罷免なしで押し切る可能性は高い。
 核兵器廃絶、核兵器禁止条約への参加の世論を喚起し、通常国会での厳しい追及で更迭に追い込まなければならない。

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政府高官の核兵器保有の発言に断固として抗議する

2025年12月19日

日本原水爆被害者団体協議会 事務局長 濱住治郎

 日本の安全保障を担当する政府高官が、「日本は核保有すべきだ」との発言を行ったと報じられている。
 発言は、被爆者(原爆被害者)の存在を無視し、核戦争を容認するものであり、絶対に許すことはできない。
 日本被団協は、ふたたび被爆者をつくるな、核戦争を起こすな、核兵器なくせと国の内外で訴えてきた。原爆は人間として死ぬことも人間として生きることも許さない、
←「絶滅」だけを目的とした「狂気の兵器」である。
→昨年のノーベル平和賞受賞スピーチで、「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく核兵器は1発たりとも持っていけないというのが原爆被爆者のこころからの願い」と述べた。
 日本被団協が半世紀前から国際社会に訴えてきた悲願の核兵器禁止条約が2021年に発効して以来、条約への日本政府の署名、批准を強く求めてきたが、政府は締約国会議へのオブザーバー参加すらしていない。「唯一の戦争被爆国」と自称するのであれば、一日も早く核兵器禁止条約に参加し、核兵器廃絶に向けて世界の先頭に立つべきである。


北村滋『 国家安全保障とインテリジェンス』

        警察国家化をねらう官邸ポリス

 官邸の中で警察官僚の発言力が急速に強まっている。警察官僚の地位と影響力は、第2次安倍政権以降、極めて高い水準で推移している。国家官僚の影響力の源泉は、財務省が 予算(カネ)、経産省が政策案(知恵)、警察庁が 情報と危機管理(権力の実効性)とも言われる。かつては「予算を握る財務省(大蔵省)が最強」とされてきたが、現在は「人事と情報を握る官邸(+警察庁)」が実質的な決定権を持つ構造になってきている。警察官僚は単なる「治安の維持」を担う存在から、「国家戦略の策定者」へとその役割を拡大させた。その中心人物のひとりが、杉田和博(1941~2025)で、神奈川県警察本部長、内閣情報調査室長、内閣情報官、内閣危機管理監、内閣官房副長官兼内閣人事局長などを歴任し、日本学術会議会員の任命問題の人事介入で有名だ。もうひとりが、北村滋(1956~)で、警察庁警備局外事情報部長、歴代最長の内閣情報官、安倍晋三首相から特に信頼を受け、「官邸のアイヒマン」と称されるほどの影響力があり、情報機関のトップ(内閣情報官)と政策機関のトップ(国家安全保障局長)を両方歴任したことが力の源泉であるとされる。
 元警察キャリアが書いたとされるリアル告発ノベルの幕蓮著『官邸ポリス 総理を支配する闇の集団』(講談社)は、このふたりをモデルにしている。警視庁(とくに公安部)の所掌・権限は、公安事件(内乱、外患、政治団体、テロ等)、要人警護(SP)、そして政治家・官僚・記者の動向把握だが、これらを使っての影響力拡大が描かれている。本の帯に「92%現実」とあるが、文科省事務次官のスキャンダル、近畿財務局による国有地の不当売却、財務省の公文書改ざんなどをうかがわせる事件での警察(官邸ポリス)の動きをリアルに描いているように思われる。
 北村滋には、『情報と国家―憲政史上最長の政権を支えたインテリジェンスの原点』中央公論新社、『経済安全保障 異形の大国、中国を直視せよ』中央公論新社、『外事警察秘録』文藝春秋、『国家安全保障とインテリジェンス』中央公論新社の著書があり、日本の公安・外事警察の「活動報告」となっており、とくに経済安全保障、スパイ防止法などについて日本政府への強力な提言が行われている。なお『安倍晋三回顧録』中央公論新社の監修もおこなっている。
 2025年7月に刊行された『国家安全保障とインテリジェンス』の目次は、1章 内閣総理大臣官邸の意思決定とインテリジェンス、2章 我が国に突きつけられた3つの安全保障課題、3章 異形の大国、中国を直視せよ、4章 カウンター・インテリジェンスの歩み―外事警察史を中心として、5章 内閣の情報機構の現状と課題―現代戦におけるインテリジェンスの重要性を踏まえて、6章 経済安全保障とインテリジェンス、7章 モバイル・エコシステムとサイバーセキュリティ、8章 能動的サイバー防御、となっていて、警察官僚そして高市内閣が目指す国家像が提起されている。日本を警察監視国家にしようとする彼らの意図は明白だ。
 安倍政権期において、北村は「官邸の情報・安全保障の中枢」をほぼ独占していたとも言われるが、2021年に退官して以降とりわけ安倍政治の継承を自認する高市内閣時代になってその影響は強い。北村は現在も「経済安全保障の専門家」として、経済安保に関する講演を多数実施、経済安保法制の有識者会議委員を務め、また経済安保の専門会社(北村エコノミックセキュリティ合同会社)の代表(CEO)である。制度的な権限はすでに持っていないが、政策領域(とくに経済安保)における思想的人脈的影響力は依然として大きい。
 高市は経済安保担当大臣として北村とともに、経済安保制度を創設した。高市政権の「経済安保政策」は北村が築いた枠組みの延長線上にあるといえるだろう。
高市は、経済安保を国家戦略の中心に据え、トランプ政権との経済安保協力を強化し、またスパイ防止法制定やセキュリティ・クリアランス制度を推進しようとしている。
 スパイ防止法制定策動の中での北村の役割は、制度設計の源流としてスパイ防止法の必要性を語り、制度の方向性を示す思想的キャンペーンの中心にいると言うことだ。
 スパイ防止法が成立した場合、官邸(内閣官房・国家安全保障局)と警察庁(公安・外事・警備)の権限は著しく強化され、官邸ポリスのもくろみは実現することになる。
 戦前戦中の軍部・右翼は「高度国防国家の建設」のスローガンで侵略戦争に突き進んでいったが、いま「高度治安警察国家化」(特高警察国家化)が戦争準備と一体となって進んでいる。だが、防諜・治安対策の偏重は警察権限肥大化、民主主義の後退、外交判断の質がの低下などをすでにもたらしている。戦争を支える警察国家化を決して許してはならない。


今月のコラム

        本を読め!最低3冊は読め!
                 -斎藤美奈子著「絶望はしてません」を読む- ②

「小池百合子の『女帝』扱いにひそむ盲点」(③20年8月)
 「都知事選の直前に出版された石井妙子『女帝 小池百合子』が20万部のベストセラーになっている―略―特に『リベラル系男性論客』の激賞ぶりはスゴかった」「しかし、彼らはこの本をほんとにまじめに読んだのだろうか」。他の小池百合子についてのオーソドックスな評伝では「行動的な頑張り屋さんの女の子」だし、環境大臣時代の業績を評価しているものもある。「私は小池百合子の政策も思想も支持していないし―略―彼女が卓越した政治家かどうかはわからない。しかし、であればこそ、実名を出さない人たちのネガティブな証言だけを集めてモンスターのような小池百合子像に仕立て上げていく『女帝』の手法はフェアといえず、ノンフィクションとしての質が高いともいえない―略-とりわけ問題なのは、この本がきわめて質の悪い予断に添ってストーリーを組み立てている点だ。石井がことさらにこだわるのは小池の頬のアザである」「対象が敵でも味方でも、ひとりの人物像を描く上で身体上の欠陥を起点にするのは完全にルール違反、人権にかかわる悪しきルッキズムであろう」

ジャニーズ事件から学ぶ「ビジネスと人権」(④23年11月)
 ジャニーズ事件が大騒動になるきっかけになったのは、23年8月4日、国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会が発表した調査報告だ。内容は多岐にわたるが、ジャニーズ事件については「同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と明言、メディアの責任にも言及した。ジャニーズ事務所の対応は真摯とはいえず顰蹙を買ったが、この件で人権にかかわる重要な論点が顕在化した。
 ジャニーズ研究会編著「増補新版ジャニーズ50年史」は類書の中でジャニーズ事務所の負の部分も公平に検証している例外的な本。それによればジャニーズがレコードレビューした1964年ごろにはジャニー喜多川の性虐待がすでに始まっていた。67年に授業料やスタジオ使用料などの未払いを学院の代表者が提訴した際の裁判で、喜多川の性加害が公になった。〈この時、徹底的にホモセクハラを社会的に追及しておけば、その後も続くジャニーズのホモセクハラは起こらなかったかもしれない、と考える関係者は少なくない〉その後告発キャンペーンを張った「週刊文春」を名誉棄損で訴えた裁判で04年に最高裁が喜多川の性虐待(セクハラ)を事実と認定した。「しかしメディアの反応は鈍かった。要はたかだか芸能界のゴシップと切り捨てられたのだ」しかし、国連作業部会の報告とスポンサー企業の契約見直しを機にジャニーズ事件を見る目が変わった。
 では今なぜ大問題に発展したのか?重要な要因の一つはビジネス界の人権意識の変化だ。羽生田慶介「すべての企業人のためのビジネスと人権入門」は〈「ビジネスと人権」が指す領域は、従来とは全く違うものになっている―略―昔の感覚のままで「わが社は関係ない」と思っていたら痛い目に遭う〉と釘を刺す。作業部会調査報告が対象にしたのは「女性、LGBTQI+、障害者、先住民族、被差別部落、労働組合、さらに福島第一原発事故の被災者や原発労働者、技能実習生などで、朝鮮人、中国人差別への言及もある」なのにマスコミはジャニーズ事件の部分のみ取り上げ、人権意識の低さを露呈している。国連の度重なる人権勧告を無視した政府と相俟って。
 藤田早苗「武器としての国際人権」は〈日本には「人権は困っている人のためのもの」「弱い立場の人の問題」と考えている人が多い〉と嘆く。「日本の人権教育は、『道徳教育』の一環と理解され、心情的な〈優しさ、思いやりアプローチ〉が幅を利かせている。だが、人権は『道徳』ではない。国連人権高等弁務官事務所は〈生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力・可能性(potential)を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権〉だとし、政府に三つの義務を課している。①人がすることを尊重し、不当に制限しないこと(尊重義務)、②人を虐待から守ること(保護義務)、③人が能力を発揮できる条件を整えること(充足義務)。〈人権について思いやりを強調するときにおこる問題は、「政府の義務」の議論が抜け落ちることである〉と藤田は指摘する。

「虎に翼」が「攻めの朝ドラ」になった理由(⑤24年10月)
 24年4月にスタートした朝ドラ「虎に翼」が好評だ、「この連載でも朝ドラや大河ドラマは何度か取り上げ、特に朝ドラは政治的な要素を排し、史実をマイルドに改変する癖があると論じてきた。が、『虎に翼』は少し様子が違う。/ドラマは初回、ナレーション担当の尾野真知子による日本国憲法第十四条の朗読から始まる。〈すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない〉
 画面は河原に座り、憲法の条文が記された新聞を読む主人公の佐田(旧姓猪爪〉寅子。おお、ここから始まるのか、である」ドラマ化とともに出版された評伝に添ってモデルとなった三淵嘉子の経歴をたどるが、「なんだけど、評伝はドラマよりおもしろくないのだな。/理由はわりと単純。評伝はしょせん『成功した女性の一代記』でしかないからだ。逆にいうと、『虎に翼』は女性の一代記という朝ドラの定石を逸脱している。今日的な価値観や社会問題を積極的に取り込み、視聴者への問題提起すら行っているようだ」。学生時代「婚姻状態にある女性は無能力者」に楯突く主人公、朝鮮人虐殺を含む民族差別を描き、同性愛の悩みを取り上げ。結婚に当たり改姓を拒んで事実婚を選んだり「この『攻めの姿勢』は稀有なことといわなければならない」。NHK解説委員(司法担当)である清水聡の編著「三淵嘉子と家庭裁判所」は三淵の実子や弟への取材をはじめ他の評伝にはない新事実が盛り込まれている。最たるものが三淵が関わった「原爆裁判」だ。1955年、原爆投下は国際法違反だとして広島と長崎の被爆者が国家賠償を求めた裁判だ。八年後の判決は原爆投下を違法と断じ、被爆者への救済が必要としながらも〈それはもはや裁判所の職責ではなくて、立法府である国会及び行政府である内閣において果たさなければならない職責である〉として原告の請求を棄却したが、判決文には〈われわれは本訴訟をみるにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである〉という一文が入り、のちの法整備につながった。三淵は生前、この件について一言も語らなかったようだが、ドラマは判決文の読み上げまで堂々と取り上げている。清水は書いている、「女性目線あるいは庶民目線で見た憲法の問題であり、刑事司法の問題であり、民法の問題であり、家庭裁判所の問題であり、少年事件の問題であり」がわかるドラマにしたい、と。
 「『はて?』と口にし、いちいち疑問を呈しては憤慨する寅子に視聴者は共鳴する。そしてたぶん背中を押されるのだ、そうだ言ってもいいのだ、と」。(つづく)                (新)


せんりゅう

     丁髷のあるタカイチ政治

          構造的暴力予算サナエ節

     ころしあいにくみあう予算計上

         怖さかくし働き働き軍需予算

     タカイチ軍国予算あかんべー 🤑

         統一×アベなんと×タカイチも

     弱肉を貧者を食うて奢り

         ベネズエラ禍トランプ独裁の幻

     胸に十字現実は魔物マンガ描く

                            ゝ  史

2026年1月


複眼単眼

        復活する天皇制の亡霊

 正月にはどうしても天皇家などについて考えさせられることが多くなる。

 宮内庁のポータルサイトでは、今年は特別に次のように言っている。「令和8年(2026年)に、昭和元年(1926年)から起算して満100年を迎えます。
 昭和の時代は、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代でした。『昭和100年』を契機に昭和を顧み、先人の躍動に学び、昭和の記憶を共有することは、平成以降の生まれの世代にとっても新たな発見のきっかけとなり、幸せや生きがいを実感でき、希望あふれる未来を切り拓く機会、平和の誓いを継承し、将来にわたる国際社会の安定と繁栄への貢献につなげていく機会になります。このような観点から、政府では、幅広い分野にわたり、『昭和100年』関連施策を推進します」と。
 これは裕仁天皇個人の在位期間全体を「昭和」と称することで、天皇制の下で憲法が否定する対外侵略と植民地支配の戦争の時代である「戦前」の20年と、現行憲法の支配する戦後の80年を一体のものとする史観を人びとに植え付けようとする立場に立つものであり、許されない。
 この「昭和100年」史観は憲法の理念に反する史観だ。いま髙市政権をはじめ、日本の極右支配勢力は「昭和」を礼賛することで、戦争する国、軍国主義を推進しようとしている。

 一方、高市首相は5日、安倍晋三・元首相の遺影を手に、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した。
 政府閣僚など野党幹部も含めた伊勢神宮参拝はこのところ恒例の行事化している。
 戦争神社である靖国参拝の問題は言うまでもないが、伊勢神宮はアマテラスという虚構にみちた神話にもとずいた皇室の「先祖」を祀ったところで、戦前の天皇崇拝の聖地だった。
 首相は参拝後の年頭記者会見では「橋の上で(安倍元首相の写真を)広げて両岸を見ていただいた。『再び一緒に来られました』という気持ちを感謝とともにお伝えしたかった」と語った。
 そして「日本列島を強く豊かにし、国民が将来に希望を持てる国にするため、経済・安保・防災の各分野で果敢な改革を実行する」という決意をのべた。例の作り笑いをしながら、親類縁者でもないのに遺影をかかげ参拝するというのは、ともするとその正統性をうたがわれている「安倍後継」者たる政治的演出だ。

 さらに驚くべきは、5日、東京証券取引所で行われた大発会の式典で片山さつき財務相兼金融担当相が「本日は令和8年、皇紀2686年、そして昭和から100年目。素晴らしい年の大発会にお招きいただき誠にありがとうございます」とあいさつしたことだ。
 「皇紀」とは、初代天皇と称する神武天皇が即位したとされる年を元年とした、戦前の日本の紀年法だ。「皇紀」などという言葉が飛びだすこと自体、この閣僚がとんでもない天皇制礼賛、皇国史観の持ち主であることの証明だ。

 正月早々、天皇制の亡霊が、戦争をもとめて蠢いている。 (T)

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