人民新報
 ・ 第1454統合547号(2026年2月15日)

                  目次


● 危険な本質を全面化する高市政権

        対抗軸を確立して極右政権と闘いぬこう

● 高市政権の改憲と戦争の道に反対する2・10官邸前緊急行動

        直ちに反撃の闘いを開始

● 浜岡原発の廃炉は必然だ!

● 日中友好こそ、日本の最大の安全保障の一つ

        村山首相談話の会が講演会

● 繰り返される歴史の愚行

         『昭和16年夏の敗戦』

● 「積極財政」=高市政権に立ちふさがるのは当面、為替・債権市場の反乱か ㊤

● 影響力を強める自衛隊幹部たち

        実戦準備の台湾有事シミュレーション

● 今月のコラム  / 本を読め!最低3冊は読め!
                 -斎藤美奈子著「絶望はしてません」を読む- ③

● せんりゅう

● 高市早苗って何者  (作 今川焼き)

● 複眼単眼  /  改憲と戦争準備の髙市暴走がはじまる





危険な本質を全面化する高市政権

        対抗軸を確立して極右政権と闘いぬこう

争点隠しの総選挙戦略

 国会などで議論が本格化すれば、内閣支持率が低下する。その前に「勝てる選挙」を強行する―それが高市の総選挙戦略だった。そして突然の衆院解散、解散から投票まで戦後最短の16日間だった衆議院選挙(2月8日投開票)は、単独で3分の2超の316議席獲得という自民党の歴史的大勝、中道改革連合など野党の大敗、ポピュリズム政党の台頭という結果となった。少子化人口減少、社会的格差の拡大、国際的緊張の高まりなどという時代の閉塞感がかつてなく高まる中での総選挙だった。
 高市は、「日本列島を、強く豊かに」という内容不明のスローガンをかかげ、「国論二分する政策を訴える選挙」だとしていた。だが、なんら「国論を二分する政策」の説明はなく、重要な政策をかくしたままのムード選挙だった。その手法は選挙期間中唯一の党首討論だったNHKの討論番組からも逃げ出す徹底ぶりだった。
 野党とりわけ中道改革連合に合流した野田立憲民主党は安保防衛政策や原発問題で大きく右に舵を切り、市民運動との連携からも遠ざかるということで、自民党が進める極右政策を加速させる政策を掲げ、多くの支持層を失い自滅することになった。自民党に対する対抗軸が失われ、日本政治の基軸が右ブレすることにより、今回の総選挙の結果が生まれたのである。

高市の危険な主要政策

 高市政権は右翼勢力の本命内閣である。この政権には安倍政治が積み残してきた対外戦争準備国内治安体制作りの総仕上げの任務を課せられている。総選挙後の2月9日、高市は記者会見で「今回の解散・総選挙は高市内閣が掲げる責任ある積極財政、安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化といった重要な政策転換を自民党と日本維新の会との連立政権で進めてよいのかどうか、そのことをこれから始まる長い国会で本格的にご審議いただく前に国民の皆様に問う選挙でもありました。」とし、「責任ある積極財政」「安全保障政策の抜本的強化」「政府のインテリジェンス機能の強化」といった高市内閣の政策方針は大きな信任をうけたとして、今後の特別国会(2月18日召集予定)から政策の具体化をスピードアップするとした。憲法改正に向けた環境整備についても進めていくと言った。
 だが、こうした政策は日本社会に大きな犠牲をもたらし、破綻可能性を内包する構造的難問をかかえている。
 高市政権の「責任ある積極財政」は、財政規律・緊縮路線からの大転換を意味し、積極的な財政支出を基礎に成長を目指すものだ。だが、日本の財政は政府債務残高が対GDP比で約250%と高水準で先進国でも極めて重い債務負担を抱え、金利上昇や国債利払い費の増加で財政負担が激化する可能性がある。物価上昇・輸入価格上昇などのリスクは依然残っており、飲食料品の消費税率をゼロにするだけでも、年間約5兆円規模の税収減となる。財政赤字の深刻化は必至だ。
 安全保障政策では、量的・質的な装備増強を視野に入れ、防衛費GDP比2%の25年度内実現、米国からの圧力も考え将来的には3~5%をめざす。防衛三文書の年内改訂で、統合的防衛体制やサイバー・宇宙・電子戦など新分野能力の位置づけを強化する。インテリジェンス機能の強化として、「国家情報局」や「対外情報庁」を設置し、「スパイ防止法」制定、外国からの対日投資を安全保障面で審査する「対日外国投資委員会」の設置で能動的な安全保障対応を強化する。高市政権の掲げる安全保障政策は、装備を増やすだけでなく、戦略そのものをアップデートするもので、台湾有事を念頭に軍事戦略を具体化し、無人機・ドローンの大量運用、弾薬備蓄や長期戦対応への備えなどで抑止・防衛の技術・運用強化をするとするものだ。くわえて日米同盟・多国間連携の深化をはかる。そして、それらの動きを憲法改正との連動させている。 憲法については、記者会見での「国民投票の賛否を問える環境を作っていく」との発言は、単なる改憲方針表明ではなく、国会で改正案を発議し、国民投票へ持ち込むという実装プロセスの始動を明言したものだ。そのため、憲法改正のための国民議論を活発化させ、同時に国民投票の環境整備を強行するというものである。与党の日本維新の会だけでなく、国民民主党、参政党、日本保守党、新党みらいなど改憲志向の野党を巻き込んで改憲論議の土台をつくることを狙って超党派での国民会議の設置・運営を目指している。中道改革連合の内部でもこれに同調する動きが出てくるだろう。

支持急落トランプの二の舞

 だが、総選挙で政策内容を具体的に述べずに、「白紙委任」受けたとして、極右・軍拡路線の全面化を強行すれば、その結果を経験することでおおくの人びとの意識も変らざるをえない。トランプは幻想的Make America Great Again (MAGA)で大勝したが、その政策実態がわかるにつれて支持率は急降下している。この道を高市は歩いて行くしかないだろう。今後、日本の抱える構造的弱点である財政制約、成長停滞、輸入依存、対中依存、人口減少などの難問を高市内閣が克服することは極めて難しい。そもそも現在の停滞し縮小化する現在の日本の閉塞情況を創り出したのは長きにわたる自民党政治そのものであった。そのことに口を閉ざし、小泉純一郎のように「自民党をぶっこわす」や安倍の「ニッポンを取り戻す」などのフレーズで、一瞬の幻想を与え、政権を維持してきたのが自民党だった。
 高市積極財政で今後予想されるのは、物価急騰、円急落、実質賃金の低落や失業増など生活不安が可視化されること、そして財政不安の顕在化である。軍事化路線強行では外交安全保障面の危機の到来がある。自民党のスキャンダルはとまらず、党内対立も解決されたわけではない。また米国の強硬な対日要求エスカレーションも反米反政府の機運の増大につながることになる。それらの複合的危機が到来する可能性もある。
 自民党政権打倒・政権交代のためには、はっきりとした対抗勢力の強化が必要である。野田立憲民主党・中道改革連合の右傾化すれば支持が広がるなどという路線は完全に破綻した。生活コスト増・税負担増・社会保障の不安は一段と深刻化するが、外交・安保・憲法や原発の面での反戦平和環境についての確固たる立場の鮮明化によって、対抗勢力の形成・強化をはからなければならない。
 対抗軸をはっきりと確立し、市民運動・労働運動を強化して、高市超反動政治に対抗する勢力の大合流でおおきな反戦平和民主の潮流を創り出していかなければならないときである。


高市政権の改憲と戦争の道に反対する2・10官邸前緊急行動

        直ちに反撃の闘いを開始

 2月8日の総選挙が終わって、新しい政治局面が現れた。高市政権は極右政策をごり押しに進めてくるだろう。市民・労働運動と立憲野党は直ちに反撃の闘いを開始した。
 憲法9条を壊すな!実行委員会は、「従来から『敵基地攻撃能力の保有』や『軍事力の強化のための安保3文書の改定』などを主張してきた高市首相が今回、このような多数議席を得たことは、改憲と戦争準備が最終段階に迫ったことを意味します。国会内での反戦・平和・改憲反対勢力が激減したいまこそ、国会外の市民・労働者が立ち上がる時です」と緊急行動をよびかけ、2月10日、「高市政権の改憲と戦争の道に反対する官邸前緊急行動」が行われた。前日の呼びかけにもかかわらず400名が結集した。
 司会を務めた菱山南帆子さん(同実行委)の発言。昨日、やっぱりなんかやらなくてはならないと思い、急遽、この官邸前行動を企画したが、すでにたくさんの多くの皆さんが集まっている。選挙の結果を見て本当に愕然とし、びっくりした。だけれども平和を諦めることはできない。憲法を実践する世の中を作っていくこと、この運動を諦めることはできない。
 社会民主党の福島みずほ参議院議員(党首)、山添拓参議院議員(党政策委員長)が高市改憲との闘いをアピールした。
 市民からの発言に続いて、高田健さん(同実行委)がまとめの発言をおこなった―昨日から丸1日で、たくさんの皆さんが官邸前に駆けつけてくれた。みんなこんなに怒ってる。改憲と戦争準備の高市政権の本格的な仕事が今から始まる。選挙の中で改憲も戦争準備もほとんど話題にならなかった。高市さんが言わないのだから争点にならない。しかし彼女は選挙で自分は信任を得たという。「国論を二分する」と高市さんは言うが、5の賛成があるにしても5が反対してる。私たちはその5の方に立って高市さんの行手を絶対に塞ぐ。そういう闘いを今日からやろう。これから一緒に協力して多くの人と連携を広げに広げて必ず高市改憲戦争準備を阻止するために頑張りたい。
 最後に、高市改憲絶対反対!、改憲発議必ず止めよう!、戦争反対!、戦争煽る首相はいらない!、軍事費増額勝手に決めるな!、暮らしを守れ!、原発いらない!、 再稼働反対!、核はいらない!、翼賛国会許さない!、高市政権今すぐ退陣!などのコールを官邸に向けておこなった。


浜岡原発の廃炉は必然だ!

前代未聞のデータ捏造の中部電力は、原発事業から全面撤退しろ!
 
 中部電力の林社長は、2026年1月5日、再稼働に向けて原子力規制委員会の適合性審査中である、浜岡原発3号機・4号機(静岡県)の申請書のデータの中で、「耐震設計に関わるデータ」に捏造行為があったことを公表した。
 現時点で捏造の経緯と発覚の経緯については、いまだ不透明の部分が多いことを前提にして、以下に分かる範囲での経過を書く。
この問題が規制委員会に公益通報されたのは2025年2月で、規制委員会による通報の調査は、遅くとも10月には始まっていたようだ。
 中部電力が不正を認めたのは12月18日で、規制委員会が浜岡原発3号機・4号機の審査を停止したのは12月19日。この時期に、国は泊原発と柏崎刈羽原発の再稼働を進めていた。規制委員会は、この不正を直ちに公表せず、1月5日にようやく中部電力が公表した。理由は、再稼働に影響が及ばないように、規制委員会と中部電力が共謀していたと考えるのが普通だろう。
 
データ捏造を見抜けない原子力規制委員会は、解散しろ!

 日本共産党の小池晃書記局長と辰巳孝太郎衆院議員は1月20日、国会内で記者会見し、中部電力が浜岡原発3号機・4号機の「基準地震動」のデータ捏造問題を巡り、データ算出の委託を受けた事業者が他の原発にも関与している疑いがあると指摘し、全ての原発の調査を行うよう主張した。
中部電力は、浜岡原発の再稼働にむけた原子力規制委員会の審査で、原発の耐震設計の基準となる「基準地震動」の評価が過小となるよう、データを意図的に操作していた資料として提出していたが、規制委員会は外部からの通報を受けるまで不正を見抜けなかった。
規制委員会は、再稼働中の原発にも「地震動の解析の基礎となる地質調査」の再調査をするべきだ!
 そして、中部電力からデータ算出の委託を受けた事業者が最終的に不正を認めたと指摘し、中部電力が規制委員会に提出した浜岡原発の「原子炉設置変更許可申請書」の資料の中に、地震動の解析の基礎となる地質調査を委託した会社として「総合地質調査」「阪神コンサルタンツ」「ダイヤコンサルタント」の3社があり、「阪神コンサルタンツ」「ダイヤコンサルタント」は、東京電力柏崎刈羽原発の設置変更許可申請書にも地質調査の委託先として名前があがっていると説明。四国電力伊方原発を除く11原発の全てで、この3社のいずれかが地質調査に関わっていると指摘した。小池氏は「この3社を代表とする、いわゆる『原発コンサルタント』は、電力会社の意をくんで、あるいは電力会社から求められて都合のよい計算結果を出していたのではないかとの疑いがある」と主張した。一方、規制委員会の山中委員長は今回の不正を巡り、「水平展開はしない」と他の原発の調査は行わない考えを示している。
 つまり、規制委員会は今回のデータ捏造問題を浜岡原発だけに限定しようとしているが、データ算出の委託を受けた事業者は、四国電力伊方原発を除く11原発の全てで、この3社のいずれかが地質調査に関わっていることから、規制委員会は再稼働中の原発にも「地震動の解析の基礎となる地質調査」の再調査をするべきだ。


日中友好こそ、日本の最大の安全保障の一つ

        村山首相談話の会が講演会

 1月29日、憲政記念館で「高市首相の台湾有事発言の撤回を求め、日本が再び中国に侵略戦争を仕掛ける事を許さない、緊急大集会 ―日中友好こそ、日本の最大の安全保障の一つだ―」が開かれた。
 来賓として鳩山由起夫元首相、田中優子法政大学元総長が発言。
 記念講演では、高野孟さん(インサイダー編集長)が『高市政権の「台湾有事」挑発を嗤う 11・7高市「台湾危機」発言のどこが問題なのか』と題して講演― 高市は11月7日、国会で次のように述べた。「例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。…だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断するということでございます。」台湾有事が発生し中国の「戦艦」(!)などが武力行使した場合、それが直ちに「存立危機事態」になる、即ち日本自衛隊が出撃・参戦することになる、と高市が宣言したと、中国だけではなく世界中に受け止められた。だが、「台湾有事は日本有事」というのは本当か。「台湾有事」はほとんど起きない。「台湾有事、台湾有事と騒いでいるのは、日本や米国のペンタゴン、軍産複合体の一部だけです。火星人襲来と同レベルのあり得ない話です」と評論家の佐藤優が言っている。台湾が「独立」を宣言すれば北京は武力発動するが、台湾はそれが分かっているからその挙には出ない。偶発戦争は防止メカニズムがすでに働いているのではないだろうか。それでも「台湾有事」が起きてしまった場合にも、米軍は介入しない。台湾有事は中国の内戦で、それに外国が介入すればウクライナ内戦にロシアが介入したのと同じ「侵略」になる。下手をすれば核戦争になりかねないから対中戦争には超慎重だ。にも関わらず米軍が参戦し「米中戦争」になった場合、その出撃基地を提供する日本は自動的に参戦国になり、中国の短中距離ミサイルによる攻撃に晒され、それに対して個別的自衛権を発動して防御・反撃するので「日中戦争」になる。その状況下で、台湾海峡に突入した米空母艦隊が中国軍の猛攻でピンチに陥り、同艦隊が敗れると日本の「存立危機事態」になりそうな場合、そこで初めて「事態対処法」に基づいて日本自衛隊は東シナ海から台湾海峡へと進出して米軍を救助することになるはずだ。だが、その時には恐らく首都圏の横田米空軍基地、厚木米海軍飛行基地、横須賀米海軍基地のみならず市谷の自衛隊中央指揮所などもボコボコに攻撃されて、とっくに首都炎上の「存立危機事態」に陥っていて、米軍を助けに行くどころの話ではないだろう。
 高市は、ありもしない「台湾有事」で国策を誤らせようとしているのだ。


繰り返される歴史の愚行

         『昭和16年夏の敗戦』

 「昭和十六年十二月八日の開戦よりわずか四カ月前の八月十六日、平均年齢三十三歳の内閣総力戦研究所研究生で組織された模擬内閣は、日米戦争日本必敗の結論に至り、総辞職を目前にしていたのである。」
 
 これは猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』からの引用で、本書は1941年(昭和16年)、日米開戦直前の夏に当時の内閣総理大臣直轄機関「総力戦研究所」(1940年10月開設)が、対米戦争を机上演習し、「日本必敗」という結論に達していた事実をもとにしたものだ。模擬内閣のメンバーは、「民間企業からは日本銀行、日本製鐵、三菱鉱業、日本郵船、産業組合中央金庫(現、農林中金)、同盟通信(現、共同通信)からそれぞれ一名ずつ、わずか六名にすぎず、ほかはみな官僚であった。しかし、二十七名の官僚のうち軍人はわずか五名、文官優位の構成である点に特徴があった」そうだ。
 中国に侵略した日本帝国はすでに長期戦での消耗に陥っていたが、その解決をさらにアメリカ、イギリス、オランダなどとの戦争によって打開するという方針をかためつつあった。
 1941年8月27・28日頃に、日米戦争シミュレーションの結論は近衛文麿首相や東條英機陸軍大臣(10月18日に首相任命)ら政府・軍の上層部に報告された。
 総力戦研究所の「日本必敗」の根拠は、日米の石油・鉄鋼・食糧など工業生産力・物量・資源の総合力を比較した結果である。おもなものだけでも国民総生産(GNP)で米国は約11・12倍。鋼鉄生産は米国が約12倍。自国にほとんど産油地を持たない日本は石油供給は対外依存。研究所は、米国は経済力・物量が圧倒的であり、かつ、戦争が長引くほど日本は資源不足に陥ることを指摘している。
 だが東条ら高級軍人の対応は、聞きはしたが「演習は現実ではない」として政策判断には採用しなかった。そして、ヒトラー・ドイツやムッソリーニ・イタリアとの三国軍事同盟があり、その年の6月にソ連に侵攻したナチス・ドイツは初戦の優位を保っていたことに「虎の威を借る狐」の楽観論があり、そして「短期決戦なら可能」すなわち精神力・大和魂で勝つということだった。

 新版(2020年)などには、『昭和16年夏の敗戦』の教訓と題して、猪瀬と第一次小泉内閣で防衛庁長官をやっていたころに旧版を読んだという石破茂との対談がある。石破は言う「読み進めるうちに、恐怖心にかられたことをよく覚えています。『自分はこんな事実も知らずに長官をやっていたのか』と」。「歴史を言い当てたということは、それだけ緻密で、説得力のある中身だったはず。にもかかわらず、時の政府はそれを『無視』した。」「『軍の論理』が、正当な判断をねじ曲げた。もっと言えば、国の指導者たちは『この戦争は負ける』と分かっていて、開戦の決断を下したのですね。『文民統制』がきかなくなると、こんな悲劇が起こるのだということを、『総力戦研究所』の挫折は身をもって私たちに教えてくれています。」(いずれも石破の言葉だが、首相になった石破もそれを生かすことなく退陣した) 
 総力戦研究所の分析については、間違っていなかった、戦争の敗因は予測不能ではなく予測拒否だという評価が一般的だという。日本型意思決定は、不都合な合理性を組織的に無視する傾向があり、この構造は戦後も形を変えて存続しているとして、総力戦研究所は、「失敗した研究機関」ではなく「無視された研究機関」だという。

 事態は、今日ではもっと深刻になってきている。あるAIに質問したら、次のような返答があった。もし現在に総力戦研究所があったら、「やってはいけない政策(重要)」として、「①「台湾を守る」と断言する、②「価値観の戦争」と位置づける、③「中国は必ず攻めてくる」と煽る、④勝利・覚悟・犠牲を先に語るは、これを明確に書きます。」と回答してきた。
 また、新版の帯には、ホリエモン(堀江貴文)が「これは過去の歴史ではない。いまだ日本で起きていることだ」と推薦文を寄せている。また、中国が日本を軍事的に攻撃する可能性は低い、台湾有事を「直ちに戦争につながる決定的危機」とは見なさない、日本は中国と経済的な関係改善・協力を継続すべきという発言も繰り返している。
 猪瀬も石破もホリエモンも、こちらとは違う陣営にいるとしても、新たな戦前・戦争するくにづくり・空気には少し距離をおいていることはみておいて良いだろう。戦争遂行を前提にするのではなく、外交的平和解決のシミュレーション分析とその実行・具体化が優先されるべきなのはいうまでもない。高市の進もうとしている道は戦争への道であり、おなじ過ちは決して繰り返してはならない。


「積極財政」=高市政権に立ちふさがるのは当面、為替・債権市場の反乱か ㊤

         関 孝一

①高市首相の「行き過ぎた緊縮財政」論の内実

 高市早苗首相は、1月19日の衆議院解散を表明した記者会見で「行き過ぎた緊縮志向を終わらせる。責任ある積極財政が改革の本丸だ」と強調した。しかし現実は全く異なる。国の借金に当たる総債務残高は1,415兆円を超え国内総生産(GDP)の約240%に膨らみG7の中でも突出して増加している。歳出に占める元本返済と利払い費を合わせた「国債費」は金利上昇の影響で大幅に増え、2026年度予算案では31・3兆円(前年度当初プラス3・3兆円)と過去最大を更新し歳出全体の約24%を占め、社会保障関係費に次ぐ巨大な支出項目になっている。しかも近年は円安とインフレの影響で金利の上昇の影響が大きく利払い費の増大に直結している。膨大な借金が積み上がり金利上昇が重圧となっている中、痛みを強いる増税を小出しにしつつ大軍拡を進めるために国債を増発し財政拡大を実現するための看板が「責任ある積極財政」なのである。

②高市首相の円安容認のホクホク発言 Ⅰ

 このホクホク発言には多くの批判が起きたが2月2日、3メガバンクの一つであるみずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏が「高市演説を受けてー危うい現状認識」とのレポートを発表した。選挙期間中での金融界から現職首相への批判は極めて異例である。衆議選の応援演説で高市首相は「今円安だから悪いって言われるけれども、輸出産業にとっては大チャンス。食べ物を売るにも、自動車産業も、アメリカの関税があったけれども、円安がバッファー(緩衝材)になった。ものすごくこれは助かりました。円安でもっと助かっているのが、外為特会っていうのがあるんですが、この運用、今ホクホク状態です。」と発言した。これは円安が日本経済にとって二つの面でメリットとしておりその一つは円安で国内投資が戻り国内で生産した製品が海外に輸出した方が儲かるとしていることだ。しかしアベノミクス以来、日本企業は円安と共に海外企業買収・投資を増加させており、その背景には日本の貿易黒字は、米国などから「不当な安売り」や「失業の輸出」として猛批判を浴びてきたことがある。日本へのトランプ関税15%はその典型である。円安が大幅になったことを理由にこうした企業が日本に戻ってくる保証はない。

③「外為特会の運用がホクホク状態」発言 Ⅱ

 外為特会は「外国為替資金特別会計」を指す。これは政府が管理する外貨建ての資産で為替介入の「弾薬」となり、運用益の一部は余剰金として一般会計に組み入れられている。その原資は政府短期証券であり仮に以前為替相場が、100円=1ドルの米国債を購入・運用していたとして、現在は1ドル=157円に円安になってたいるから差額の57円が儲かったわけではない。円安・通貨防衛の際にドル売り・円買いの有限な原資ゆえ、「ドル換算でいくら保有しているか」が重要なのである。「ホクホク発言」は「儲かっているから流用してよい」という発想がある。円安による物価高に苦しむ家計や中小企業などはその眼中にはない。現にその運用益は25年度予算では約1兆円が防衛力強化資金に充てられており高市政権は流用を拡大すると思われる。外為特会は通貨防衛に特化した特別会計であり、その「目的外利用は禁忌(タブー)」(唐鎌氏)なのである。

④高市首相の「食料品消費減税」の甚大な影響

 高市首相は新党「中道改革」の打ち出した「食料品消費税ゼロの恒久化」に対抗するため2年間停止の「食料品消費減税」を持ち出したが実行には極めて高いハードルがある。それは日本国債の価格が暴落し金利が高騰しているからである。財政が悪化するとの懸念を背景に、長期金利の急騰が止まらず1月20日には一時2.380%に上昇し、27年ぶりの高水準となった。25年度当初予算では利払い費のみで10.5兆円を占め防衛関連費8.7兆円を上回っている。26年度は利払い費を13兆円と想定しているが増加する可能性が高い。円安・インフレを抑えるために金利を上げれば、債務コストが急増する。一方で金利を低く据え置いてインフレを高止まりさせれば円の価値は下落する。アベノミクス以来政府・日銀は後者を続けてきたが高市政権が更なる財政拡張を公言した中、金利上昇の影響は米市場まで波及している。

⑤「現実は、いずれ理論に追い付く」米通信社bloomberg

 2月6日のブルームバーグのコラムは「金利がゼロ近くにある限り、政府の債務は問題にならない。」「債務が増え、警鐘を鳴らしたエコノミスト(私たちのことだ)は変わり者扱いされた。私たちを批判した多くの向きが引き合いに出したのが日本だ。」「だが、現実は、いずれ理論に追い付く。日本で今、それが起きている。円安が進む中で長期国債の利回りが上昇しているのだ。結局のところ日本の経験は、債務を積み上げる言い訳にはならない。むしろ警告の物語だ。」とし、また「日本は国債市場でしばしば日本銀行という巨大な買い手を確保することで…債務コストを低く保ってきた。これは新興国がよく試みる手法だが、たいてい早期に立ち行かなくなる(中略)(日本は)例外だと考えられていた。だが、そうではなかった。ほころびが生じるまで時間がかかっただけだ」「巨額の債務は、今必要とされている財政拡張の余地を狭めている。債務が多すぎることの問題はここにある。最も必要なときでもマーケットは寛容になってくれない」と厳しい批判を行っている。 (つづく)


影響力を強める自衛隊幹部たち

        実戦準備の台湾有事シミュレーション

元自衛隊幹部の提言通りに

 『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(新潮新書 2022)は数年前に出版された本だが、その主張が政策化してきている。著者は、岩田清文(元陸上幕僚長)、武居智久(元海上幕僚長)、尾上定正(元空将)、兼原信克(元国家安全保障局次長)など自衛隊の元トップ級幹部と国家安全保障の中枢経験者。本書の第一部は「日本戦略研究フォーラム(JFSS)による「台湾有事シミュレーション」で、第二部が4人による「座談会―台湾有事の備えに、必要なものはなにか」で、元陸海空の最高幹部が、台湾有事の「あり得る形」を現実的にシミュレーションしたとのことで、政治工作→サイバー攻撃→海上封鎖→軍事侵攻と段階的に進む構造で、台湾有事で「戦争に直面する日本」がどうすべきかを政治・軍事・外交・経済・世論の多層構造で分析したものだという。4人の主戦場は軍事(陸・海・空)政治(外交)で、それぞれの得意分野の主張を展開する。台湾有事が発生した際、状況が「平時」から「有事」へとエスカレートしていく過程で、「平和安全法制」という名の戦争法制(岸田政権下で2015年9月成立「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」)がいかに自衛隊の活動を支えるか、なにが不十分かを主張している。それらは、2022年12月に策定された日本の外交・安全保障政策の最上位指針の安保三文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)に反映され、「能動的サイバー防御」や「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有、燃料・弾薬の「継戦能力」、防衛予算の大幅増額など戦争する国家体制作りに具体化された。そして、安保三文書は高市政権の下で2026年中にいっそう改定・強化されようとしている。
 4人があげていた主な改正・改善なるものは、①有事の予兆がある段階で、相手の通信ネットワークを監視・無害化できる能動的サイバー防御の導入、②「平時」でも「有事」でもない「グレーゾーン事態」への対処能力の強化、警察・海上保安庁・自衛隊がよりシームレスに連携、③内閣法制局論議の簡略化とより政治主導で柔軟かつ迅速に判断できる枠組みへの転換、④自衛隊が邦人輸送を行う際の安全確保基準の緩和や、民間船舶・航空機を迅速に動員できるような国民保護法のアップデートなどであるが、その動きはこうした方向で進んでいる。

JFSSの危険な役割

 「日本戦略研究フォーラム」(JFSS)は、1999年に設立された「政治家と元自衛隊幹部の橋渡し役」を担う保守系シンクタンクで、単なる研究機関に留まらず、具体的な有事シナリオを検証し、それを直接政策へ反映させようとしている。有事・戦時の際、日本の法律や政治判断がどこで止まってしまうかを明らかにするという課題を追っているとしているが、「台湾海峡危機政策シミュレーション」を毎年開催していることが有名だ。それには、自衛隊の元最高幹部たちが「知恵」を出し、保守系政治家たちがそれを政策に変えるための訓練場という評価がなされている。なお安倍晋三は「永久最高顧問」とされる。

「台湾軍完敗」で中止か?

 JFSSは「徹底検証:新戦略3文書と台湾海峡危機―2027年に向けた課題」をテーマに、2023年に初めて日本で米台日による机上演習を実施し、2024年も行った。しかし昨年のシミュレーションには異変が起こった。
 シミュレーションの内容が「中国による封鎖や侵攻に対して、台湾が持ち堪えられない」という、台湾国防当局にとって「敗北という受け入れがたい結果を突きつける可能性が高まったため、土壇場で台湾側が難色を示した」との報道がある。台湾のメディア「風傳媒」(Storm Media)2025・9・5は、「《舞台裏》台湾、日本主導の机上演習を土壇場で中止 背景に『敗北を見せられない』国防当局の判断か」は伝えている。…地政学的緊張を背景に、「台湾有事は日本有事」との認識が広がり、台湾と日本の交流は一層緊密になっている。日本政界に強い影響力を持つシンクタンク「日本戦略研究フォーラム」は、2023年と2024年に続き、台湾を招いて机上演習を実施してきた。2025年8月28日と29日には、舞台を台湾に移し、台湾国防部支持の国防安全研究院と共催する計画が整っていたが、直前になって中止となった。しかも中止を決断したのは日本ではなく、台湾側であったとされる。…関係者によれば、台湾側が土壇場で撤退を決め、日本側を大きく落胆させたという。…国家安全会議と国防部が恐れたのは、もし台湾チームが再び精彩を欠き、漢光演習のような『無敵ぶり』を示せなければ、国内外で『面子を失う』という事態であった。結果として台湾側は、体面を保つため日本方に対して演習中止を申し入れたのである。…
 なお、漢光演習(Han Kuang)とは、中国人民解放軍による台湾侵攻を想定し、台湾が1984年から毎年実施している、防空、海上反抗、上陸阻止などの最大規模の実動統合軍事演習である。
 日本のメディアはほとんど報道しなく、あっても「日米台の調整がつかなかった」「スケジュールの都合」といった、主催者側の発表をそのままなぞるような短報だけだった。
 米国メディアは背景説明をふくめて伝えた。例えば保守系シンクタンク『ヘリテージ財団』は、日米台が共同で戦ったとしても、数週間以内に弾薬が底をつき、10兆ドル規模の世界経済ショックが発生するという「最悪の結果」を強調した。

 高市政権は「安保三文書」を、GDP比のさらなる引き上げを視野に防衛費の「前倒し達成」と「さらなる増額」、核兵器持ち込ませずの見直しからの「非核三原則」の再定義、インテリジェンスとサイバー防衛の「能動化」などを軸に、さらに能動的・攻撃的かつスピード重視で変えようとするものだ。
 2026年の米国家防衛戦略(NDS)で米国は「自国だけで世界中の紛争に対処することは不可能」とした。トランプ政権が日本などの同盟国に対し、防衛費増額を求める動きは、中国や北朝鮮との軍事バランスを維持するために「実質的な戦力」を日本に肩代わりさせるという「同盟関係の根本的な作り直し」という意図がある。米国は本土防衛や対中国ハイテク戦に集中し、日本などの同盟国には「第一列島線の防衛」という最も過酷で現場的なコストを引き受けさせようとして、そのために3・5%を直接的な軍事力(兵器・兵員)に、残りの1・5%をサイバー防衛、インフラ、弾薬の備蓄などの「レジリエンス(復元力)」に充てるよう求めている。石破首相(当時)などが「日本は自国の防衛費を他国に指図されたくない」と反発したように、米国の要求に応じることは、日本の国家戦略の独立性を放棄することだ。
米国からの「GDP比5%」という要求を実行に移す場合、積極財政(借金)でインフレを覚悟し、生活の利便性を大幅に削るかということになり、「日本人の生活水準を維持しながら防衛を強化する」という「信じたい嘘」を捨てなければならない。


今月のコラム

        本を読め!最低3冊は読め!
                 -斎藤美奈子著「絶望はしてません」を読む- ③

資本主義を問い直す、二十一世紀のマルクス(⑥21年3月)

 「いまさらマルクス?という人もいるだろうけど、最近またマルクスが『来ている』という感触はあった。格差が極限にまで広がり、労働者は最悪の状態に置かれ、にもかかわらず出口が見えない社会の打開策として、マルクスが呼び戻されているともいえる」。白井聡「武器としての『資本論』」で白井は、今「資本論」を読む理由は〈「生き延びるためにです〉と断言する。環境破壊、経済危機、戦争…100年後に人類が存続しているかどうかも分からない。〈「では、その原因は」と考えると、間違いなく資本主義なのです〉。「本書の八割以上は『資本論』第一巻をベースにした資本主義の仕組みの解説で、ここは画期的にわかりやすい。物足りない部分があるとしたら『資本論』を武器に、私たちはどんな方法で社会変革を起こし、どんな社会を目指すのかが曖昧な点だろう」。〈かつて期待がかけられた階級闘争の戦略は悉く無効化してしまった〉しかし、階級闘争の原点は〈生活レベルの低下に耐えられるのか、それとも耐えられないのか〉だと白井はいう。〈本書は「資本論」の入門書ではありますが、裏にあるテーマは「新自由主義の打倒」です〉。「これが本書の要諦だろう」。〈新自由主義とは実は「上から下へ」の階級闘争〉だと白井はいう。
 松尾匡「左翼の逆襲」は「レフト3・0」を提唱する。「1・0」の労働者意識も「2・0」の多様性も保持しつつその先の思想という。具体的な政策の一つが「グリーンニューディール」だ。欧米の3・0勢力の共通した政策になっている。「この三〇年で状況は変わった。ソ連型の共産主義というモデル幻想から脱却すれば、マルクスの読み方は変わるのだ」
 斎藤幸平「人新世の『資本論』」の表題にいう「人新世」とは〈人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代〉の謂である。「この本が他のマルクス解釈本と大きく異なるのは、地球環境の危機を前面に押し出していることだ。国連が推進するSDGs(持続可能な開発目標)は「資本主義の現実から目をそらせるアヘンにすぎない。資本主義社会が続く限り、根本的解決はないからだ」。「大量生産・大量消費をベースとする『帝国主義的生産様式』は魅力的であり、先進国を豊かにはした。しかし、その裏で―略―グローバル・サウスを生み出した。資本主義による収奪の対象はしかも、周辺地域の労働力だけではなく地球全体に及んでいる」〈資源、エネルギー、食料も先進国との「不等価交換」によってグローバル・サウスから奪われていくのである。人間を資本蓄積のための道具として扱う資本主義は、自然もまた単なる略奪の対象とみなす〉「新自由主義が倒れても、資本主義が続く限り『本源的蓄積』は継続するし、グリーンニューディールを推し進めても、経済成長を続ける限り二酸化炭素は削減できず、環境危機は回避できない」〈私的所有や階級といった問題に触れることなく、資本主義にブレーキをかけ、持続可能なものに修正できるとでもいうのだろうか〉〈労働を抜本的に変革し、搾取と支配の階級的対立を乗り越え、自由、平等で、公正かつ持続可能な社会を打ち立てる。これこそが、新世代の脱成長論である〉
 「本書の目玉は、一九世紀のマルクスがじつは環境危機による資本主義の限界に気づき、右のような認識に達していたという指摘だろう」「資本論」「第一巻の刊行後、マルクスは思想的な大転換を遂げていた。最新の研究から見えてくるのは、晩年のマルクスが進歩史観(史的唯物論)を超えた『脱成長コミュニズム』に到達していたことだった」〈マルクスが求めていたのは、無限の経済成長ではなく、大地=地球を《コモン》として持続可能に管理することだった〉コモンとは共同体の富のこと。〈要するに、マルクスが最晩年に目指したコミュニズムとは、平等で持続可能な脱成長型経済なのだ〉「脱成長コミュニズムの柱は五つ、①「交換価値」ではなく「使用価値」に重きを置いた経済に転換して大量生産・大量消費から脱却する。②労働時間を削減して生活の質を向上させる。③画一的な労働をもたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる。④生産のプロセスの民主化を進めて経済を減速させる。⑤使用価値重視の観点から、労働集約型のエッセンシャル・ワークを重視する」。斎藤はアジる、「三・五%の人の非暴力的な行動で、世の中は変わる。ワーカーズ・コープでも学校ストライキでも、有機農業でもいい、アクションを起こせ、と」(おわり)   (新)


せんりゅう

   軍国をいわぬで勝つた腹のうち

        折伏され中道の声挫折

   3分2許した!中道の意味

        虐殺用ドローンへいき買いました

   核核しかじかちらちらサナエ節

        武器スパイ外人国旗サナエの天下御免

   トランプを習っちゃ駄目と言っておく 

                  ゝ  史

 2026年2月


高市早苗って何者

      かいのはプライド
   か   ねは税金ムダ使い
   い   ち度も本音言わず
     いさな批判に怒り
   さ   えない政治センス
   な   めては国民蔑ろ
   え   え加減な首相ですんマヘン     
 
             作 今川焼き


複眼単眼

        改憲と戦争準備の髙市暴走がはじまる

 高市首相の自民党が衆院で戦後最多の議席を獲得した。
 もともと今回の総選挙は首相の「台湾有事=存立危機事態発言」で、進退窮まった事態を打開しようとする自己都合解散だった。
 選挙戦で首相は「国論を二分するような政策で審判をあおぐ」といいながら、肝心の政策を明示しないまま、「高市首相でいいのか、判断していただく」と有権者に白紙委任を迫まった。国会での議論を解散によって封印して、有権者に真の争点を隠し、人気投票をやった。
 高市首相はアジアでの覇権を確保するため、①「敵基地攻撃能力の保有」や、②継戦能強化のための全国各地にミサイル弾薬庫を建設、③トランプの要求に従い、軍事費倍増めざし「安保3文書の改定」などを主張し、戦争する能力を強化してきた。インテリジェンス機能の強化と9条改憲も「戦争する国」建設のためには不可欠だった。
 高市首相が今回、このような多数議席を得たことは、これら改憲と戦争準備が最終段階に迫ったことを意味する。
 一方、野党「中道改革連合」は改憲派に移行した。総選挙での「基本政策」には「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という項があり、その中に「立憲主義、憲法の基本原理を堅持した上で、国民の権利保障、自衛隊の憲法上の位置付けなどの国会での議論を踏まえ、責任ある憲法改正論議を深化(する)」とある。
 この意味はわかりにくい。しかし、「中道」新党が1月20日に発行した「部外秘」「Q&A」をみると、「自衛隊はわが国最大の実力組織である。自衛隊法などの法律だけでなく、憲法において、内閣や国会による自衛隊の民主的統制の仕組みを明確にすることは国民主権の原理からも重要という考えも踏まえつつ、議論を深化していく……」との解説があった。
 ここは従来の公明党の主張そのままだ。立憲民主党内にあった「護憲」の主張は何処へ行ったのか。これを飲み込んで、のどが焼けなかったか。
 公明党の衆院憲法審査会の代表格だった北側一雄氏(元副代表・現在は引退)は、かなり以前から「9条に自衛隊を書き込むのではなく、9条1項、2項はそのままにしておく」、そして、「内閣総理大臣が内閣を代表して(自衛隊を)指揮監督権を有する、これを憲法価値に高めていくという意味は十分理解できる」。「憲法の72条とか73条に内閣総理大臣の権限とか内閣の職務について規定されている。ここに(自衛隊を)書き込んでいくことも考えられる」と主張していた。
 これは世論に根強い「9条守れ!」の声に配慮し、自衛隊を憲法9条以外のところに書きこむという珍論だ。
 安倍晋三元首相は、2017年に憲法9条1項2項を残し、3項として自衛隊の存在を憲法上明記する憲法9条改正案を提言した。
この北川・安倍両者の違いは、憲法のどこに「自衛隊を書き込むか」だけであり、憲法で自衛隊を規定する点では同一だ。
 維新は9条2項削除論で、国防軍規定導入論だ。国民、参政もほぼ同一だ。
 今回の選挙で、憲法審査会会長は自民党の手に戻る。赤嶺委員も大石委員も落ちた。参議院では福島委員も、山本委員もいなくなる。自・維政策合意にある条文起草委員会が設置されれば、改憲、改憲の声が大きくなる。これは国会の改憲総翼賛体制にほかならない。
 高市首相の改憲と戦争準備に「NO!」を対置する国会外の市民運動、労働運動などによる反撃が求められている。(T)

新報 2026年2月号 .pdf へのリンク