人民新報 ・ 第1462号<統合555号(2026年10月15日)
目次
● 「私の大事なヤナちゃん」 大臣も議員もやめろ
高市政権による改憲・戦争国家化を阻止!
● 【提言】秋の臨時国会によせて(2026年10月4日)
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
● 戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク 東京行動
連帯して共同の闘いを進めよう
● さようなら原発全国集会
「原発にはもう未来はない」
● ピョンヤン宣言24周年集会
現在の朝鮮労働党の国際認識と政策
● 子どもたちに忍び寄る自衛隊と戦争(4)
―戦争を煽る「子ども防衛白書」の配布を許さない
● 9・19戦争反対 憲法守ろう大集会開催 (鹿児島)
● 9月29日 31回目の国会ピースサイクル
● 今月のコラム
歴史の機微・読書の悦楽 ㊦
-加藤陽子著「歴史の本棚」(毎日文庫)から-
● せんりゅう
● 複眼単眼 / 改憲模擬国民投票の欺まん
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「私の大事なヤナちゃん」 大臣も議員もやめろ
高市政権による改憲・戦争国家化を阻止!
第222回臨時国会が10月5日に召集された。会期69日間(12月12日まで)の予定だ。
所信表明演説の冒頭で高市首相は「演説に先立ち、申し上げます。沖縄県で発生した強盗殺人事件に関し、昨日、米海兵隊員が逮捕されました。お亡くなりになられた方に、謹んで哀悼の誠を捧げますとともに、ご遺族の皆様に、心からお悔やみを申し上げます。」と述べた。直前に起きた那覇市ホテル女性強盗殺人事件に関しての発言だ。沖縄県警の統計)によると、2025年には101件の刑法犯罪が起こっており、これは2003年以来22年ぶりに100件超えた。今年はそれをも上回ることになるとも言われている。米兵による女児連れ去り暴行や殺人、こうしたことが今なお続いている。高市は、日米同盟を「日本外交・安全保障の基軸」「インド太平洋の平和と繁栄の礎」「世界で最も偉大な同盟」と位置づけ、歴代政権の中でも最も強い言葉で「日米同盟中心主義」を強調している。高市は演説で「日本政府として米側に強く抗議するとともに、捜査への全面的な協力、米軍関係者の綱紀粛正と事件の再発防止の徹底を強く求めた」とつづけたが、日米軍事同盟の現実を変えるための具体的な方針・行動はなんら行っていない。沖縄そして日本のこうした現実の継続を断じて許すことは出来ない。
臨時国会では、飲食料品を対象とした消費税減税、衆議院の議員定数削減法案、経済・危機管理投資と「責任ある積極財政」、社会保障費・医療費負担の見直し、そして安保関連三文書(国家安全保障戦略・国家軍事戦略・軍事力整備計画)の「年内改定」に向けた議論、「スパイ防止法」など経済安全保障や情報保全に関する法整備、衆参両院の憲法審査会での超党派による活発な憲法議論と憲法改正案を国民投票にかけるための国会発議の早期実現など、高市は戦争国家体制づくりにむけた政策を強引に押し進めようとしている。しかし、諸政策の前提となる財源問題や無理な投資政策の実現可能性や解決できない円安問題など経済政策面、対中関係の完全な行き詰まりだけでなく対トランプ関係でも不安視されるなど外交面、くわえて「私の大事なヤナちゃん。私の知恵袋のヤナちゃん。いなかったら大変!」(高市の選挙応援演説)という高市最側近の簗和生農林水産相の前代未聞の報復的予算削減事件など政府与党のスキャンダルのもみ消しも必要になってきている。ちなみに簗和生農水相こそは高市内閣を象徴する人物だ。簗にたいする追及・批判は激しさを加えている。高い内閣支持率を誇り、強引な反動政策をすすめる高市も厳しい状況が生まれてきた。
弱点を露呈し始めた高市政権に対して断固たる対決の姿勢で、立憲野党、市民運動、労働運動の共闘を再建強化して闘い抜かなければならない。
また、この期間は、国際的にも大きな変動期にあたる。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃、ホルムズ海峡・バブエルマンデブ海峡をめぐるイランとイエメン・フーシ派の攻勢、イスラエルのパレスチナ虐殺、ウクライナ戦争の長期化、そして世界的なインフレの高進のなかで、10月27日のイスラエル総選挙、11月3日のアメリカ中間選挙、11月28日台湾の統一地方選挙などが予定されている。それ以外にも世界各地で流動化が加速している。とくに世界的右派勢力の策源地であるトランプ政権にはその悪政にたいする批判の声が広がり、共和党側は危機的状況に追い込まれているとの報道が多い。それらの結果は日本にも重大な影響を及ぼすことになる。
秋の闘いの課題は多い。人びとに生活苦をもたらしている消費税率を「ゼロ」まで引き下げること。その財源確保のために軍事費や大企業向け優遇措置を削減し、大企業の内部留保への課税や所得税・法人税の累進性強化で財源を確保すること。全国一律の最低賃金1500円以上への引き上げ、裁量労働制の拡大等の労働時間の規制緩和を許さない。憲法審査会での改憲条文起草など憲法改正手続きの阻止。少数意見・女性の排除・野党削減策である定数削減法案の阻止。選択的夫婦別姓や同性婚の法制化、包括的な差別禁止法の制定を推進し、介護報酬引き上げやマイナ保険証強制反対・健康保険証の存続、教育無償化の拡充などの実現。そして軍事費膨張・軍事国家化の阻止のために闘い抜こう。人権侵害につながる「スパイ防止法」など決して許さない。安保三文書の年内改定阻止・廃棄、軍事予算の拡大・「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の具体化に反対し、沖縄・九州などでの「南西シフト」やミサイル配備、辺野古新基地建設をはじめ米軍基地の強化に反対し、憲法に基づく平和外交を実現させよう。
高市は経済闘争と政治闘争がむすびつき大きな反対運動がおこるのを恐れている。高市を追い詰め、早期の退陣のために闘い抜こう。
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【提言】秋の臨時国会によせて
高市首相は、「第二次改造内閣」の組閣において、簗和生(農林水産大臣)や関芳弘(文部科学大臣)などのいわゆる「裏金議員」、また、官製談合に関与した中司宏(規制改革担当大臣)、そして選挙運動員の買収疑惑がある藤井比早之(総務大臣)らを平然と起用しました。中でも簗氏は、今年5月に栃木県で開かれた会合で、選挙で自身を支持しなかった地元自治体の道路予算を「大幅にカット」したと発言し、税金の私物化と権力の驕りを露わにしました。
明日から始まる臨時国会においては、飲食料品の消費税減税や衆院議員定数削減問題、安保三文書などが主要な争点になりますが、言うまでもなく、この「改造内閣」における首相の任命責任も厳しく問われなければなりません。首相自らが応答する開かれた論戦を通じ、政権の歪みや驕りについてもしっかりと追及がなされることを願います。
私たち市民連合はこれまでも、政権の平和外交なき戦争準備、社会保障や福祉を犠牲にする軍拡路線に異を唱え、それに代わる「信じられる未来」を構想するべく活動を続けてきました。その観点から、今国会で議論が予定されている下記の争点について、私たちの懸念と見解を明記しておきます。
「経済安全保障」の名の下に展開する日本経済全体の軍事化を懸念します。特に半導体や蓄電池など特定重要物資のサプライチェーンに関する機密情報管理、あるいは通信機器や電力設備などの重要インフラをめぐって、行き過ぎた規制、あるいは軍産官学の融合がもたらされることで、逆に隣国との間に「安全保障のジレンマ」や対立が生まれ、また日本経済が将来にわたって戦争経済への依存体質を深める危険性があります。
これに関連し、高市政権が進める、安全保障・情報保全分野における新たな法整備(特に「セキュリティ・クリアランス」および「能動的サイバー防御」)は、安全保障の名の下に、国民の経済的自由や人権、プライバシーが侵害される恐れがあります。
電力・通信・金融などの重要インフラに対するサイバー攻撃に対し、事前に攻撃の兆候を察知し、攻撃元のサーバーを特定して無効化する「能動的サイバー防御」に関しても、憲法第21条「通信の秘密」を侵害する恐れがあります。また、相手方のサーバーに侵入して無効化する措置も、これまでの「専守防衛」原則を損ね、「武力行使」や先制攻撃に該当する恐れがあります。
防衛装備移転三原則の見直し、すなわち武器輸出の拡大に反対します。殺傷能力を持つ防衛装備品の輸出緩和や、同志国との共同開発装備の移転ルール拡大(「5類型」の見直しなど)は、日本国憲法が謳う平和主義の形骸化と破壊に他なりません。
また高市政権は、防衛費をGDP比2%水準へ拡大する方針で、その不足する財源を補うための「軍拡増税」を計画していますが、物価高が市民生活を直撃している中で、防衛増税の前に国民生活の支援、すなわち「社会保障」や「生活安全保障」を最優先すべきです。
これに関連し、高市政権が掲げる飲食料品に限った2年間限定の消費税減税は、その効果の疑わしさや、2年後に確実に迎える増税問題に加え、何よりも数兆円規模に上る減税財源の裏付けが不明確なままです。減税の対象範囲の再検討や減税の期間をめぐる議論とともに、そもそも青天井で拡大される防衛費や、依然として温存される大企業や「持てるもの」優遇の税制をめぐる抜本的な議論が必要です。
高市政権は、維新と結束し、民主主義の根幹を脅かす衆議院の議員定数削減(現行465議席からの削減)を提起しています。維新発の「身を切る改革」というレトリックは欺瞞に満ちており、特に提起されている比例代表の定数削減は、得票率に応じた議席配分を減らすために大政党に有利となって、少数政党や少数者の排斥、すなわち民意の切り捨てにつながります。特に、国会議員における女性比率が国際的に見ても極めて低い日本において、小選挙区より明確に女性議員の割合が上回る比例代表を削減することは、ジェンダーギャップをさらに拡大することになります。また与党側が、一定期間で協議がまとまらなければ自動的に定数を削る条項を視野に入れて議論を展開していることは、国会での熟議や与野党合意を放棄する強硬手段に他なりません。
今国会においても、民主主義や立憲主義、そして平和主義の根幹が問われています。憲法審査会の動向も、注視し続けなければなりません。引き続き声を挙げ、政権の暴走を食い止めましょう。
2026年10月4日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク 東京行動
連帯して共同の闘いを進めよう
市民団体「戦争止めよう!沖縄西日本ネットワーク」は、10月9日と10日に東京で政府交渉および全国連帯交流集会を行った。
高市政権の日本を対中国戦争最前線にさせようとする戦争国家作りは、日本各地で自衛隊や米軍の軍事拠点化や戦争準備として具体化されている。沖西ネットは、西日本や沖縄など各地の自衛隊基地における長射程ミサイル配備、弾薬庫の増設や基地機能の強化に反対し、沖縄・与那国島や京都府の陸上自衛隊祝園分屯地、熊本の健軍駐屯地、広島県呉市の日鉄跡地など各地で進む軍事化や基地の拡張・多機能化の中止をもとめ、各地の反対運動を全国的につなぎ市民の共同の力で戦争国家化を止めることをアピールし闘っている。
10月9日に参議院会館でおこなわれた政府交渉(140人参加、オンライン600人)では、沖西ネットが9月24日に、「①大規模な27年度防衛予算概算に反対し大幅縮減を求める。②25式誘導弾、25式高速滑空弾などの長射程ミサイルの開発・製造を行わないこと。配備された長射程ミサイルの撤去を求め、新たな配備に反対する。③全国の空港港湾の特定利用指定に反対し、指定撤回を求める。④ドローン・無人機の量産、南西諸島をはじめ全国の配備に反対する。⑤AIの軍事利用に反対する。⑥弾薬庫建設に反対する。⑦住民説明会の開催を要求する。⑧非核三原則の見直し、『核持ち込み』『共有』に反対する」という立場から、首相・総務相・法務相・文科相・経産相・国交相・防衛相あての質問・要請書を出した。これに対して各省職員からの回答があったが、はぐらかしと隠蔽の答弁が続いた。これに参加者からの怒りのこえがあがった。
翌10日には、全国連帯交流集会(250名参加、オンライン70名)は星稜会館で開かれ、沖縄や九州、広島などの軍事拠点化の現状や反対運動について報告・交流が行われ、急速にすすむ軍事強化に反対する運動を強め広げていこうと確認した。
集会のまとめで、沖西ネット共同代表で「ノーモア沖縄戦えひめの会」の代表の高井弘之さんはつぎのように述べた。各地の凄まじい軍事拠点化される状況が報告された。しかし全国で進んでる軍事拠点化はまだ一部だ。新たな戦争体制構築っていうのは2010年代に奄美・沖縄に始まり数年前から九州西日本そして全国各地に広がっている。当初それぞれ各地で孤立した闘いを強いられていたが、その闘いをつなげ連帯して共同の闘いを行うことによって戦争体制の構築を阻止していこうと2024年には沖縄西日本各地で 連帯交流集会を重ね、昨年の2月に戦争止めよう沖縄西日本ネットワークを結成した。 時間の関係で私の問題意識で2点だけ話したい。まず中国脅威論の克服解体がとても大事だ。中国には日本を攻撃する理由もメリットもないし、その兆しさえ見せていない状況だ。しかし中国の脅威を煽りながらこの大軍拡が進められている。この事実をもっと多くの人に伝えていければ、政府が大軍拡の理由にしている中国脅威論を解体しその推進力を削ぎ落としていくことができる。もう1つの課題と私が考えてるのは歴史的な展望あるいは歴史的な課題に関することだ。いま作られている新たな戦争体制というのは大日本帝国の歴史の軌道の延長上にあるということだ。
世界は大きな画期的な歴史的な転換点にある。私たちは共に闘うことによって国家による戦争を市民民衆の共同の力で必ず止めよう。
さようなら原発全国集会
「原発にはもう未来はない」
9月23日、代々木公園で「さようなら原発全国集会」(主催・「さようなら原発」一千万署名 市民の会」)が開かれ、冷たい雨が降る中で約4000人が参加し、脱原発の声を上げた。
呼びかけ人の鎌田慧さんは、頻発する電力会社の基準値振動の改ざんや増え続ける原発の建設予算など大きな問題が連続して起こっている、原発にはもう未来はないという声を広げていこうと述べた。
畠山澄子さん(ピースボート)のメインスピーチ――戦争、核兵器、自然災害のニュースを見るたびに必ず考えることは、もしその場所に原発があったらどうなるんだろうということで、そして戦争が始まれば原発や核施設だけを戦争の外に置いておくことはできない。今だからこそエネルギーの未来を自分たちの手に取り戻すことが大切だということだ。何かが起きてから後悔するのではなく起きる前に未来を変えていきましょう。
つづいて気候危機、核ごみ問題、再生可能エネルギー、甲状腺がん子ども支援などのテーマでの発言が行われ、集会終了後に、原宿コースと渋谷コースのパレードに出発した。
ピョンヤン宣言24周年集会
現在の朝鮮労働党の国際認識と政策
9月17日、文京区民センターで「朝鮮が今なにを考えているのか知ろう 対話と友好のために」をテーマに「日朝ピョンヤン宣言24周年集会~今なぜ国交正常化交渉を求めるのか」が開かれた。
李柄輝(リ・)ビョンフィさん(朝鮮大学校教授)が、「多極世界の朝鮮外交―朝鮮から見る世界と朝・日関係―」と題して講演した。
現在の朝鮮の状況
ピョンヤン宣言からもう24年が経った。四半世紀の歳月が流れたにも関わらず、国交正常化は愚か、政府間交渉の糸口すら見えてこないというのが現状だ。
最近、トランプ大統領は、SNSなどで金正恩委員長との2019年の会談の際の写真をアップして秋波を送っている。そして今年中にも、4回目となる金正恩委員長との首脳会談を実現すると言っている。朝鮮側の発言を見ていると、トランプ大統領自身に対する批判は今のところはない。ただ朝鮮側の立場としては、大統領との関係と、朝鮮とアメリカという国家間の関係は別だと、つまり金正恩委員長とトランプ大統領との良い関係があるのならば、これをテコにアメリカは真摯に朝鮮と向き合うべきだというのが、朝鮮の立場である。そういった中で、朝米、朝日、南北の関係3つの関係性について話したい。ただ2018年や2019年、つまりシンガポールやハノイあるいはパムンジョムにおいて、朝米南北の指導者が首脳会談を行っていたあの頃の物差しで、今の情勢を見れば正しい結論は見出せない。この7年間で朝鮮は大きく変わった。私はこの夏、コロナ以来7年ぶりに訪朝してきた。今の朝鮮外交を理解するためには、まずこの朝鮮の今を見る必要がある。建設ラッシュがピョンヤンの現在の姿であり、また非常に車が増えている。そしてもう1つ驚いたのは、アメリカ側の発表では、朝鮮人口の4人に1人、およそ600万人がスマホを持っているということだ。ご存知の通りインターネットにはつがっていないが、国内のイントラネットがあり、それでデジタル経済圏というものが完全に形成されている。このような変化を支えている電力などエネルギー事情が改善されたという。600万人が携帯電話を充電し、EV車が走る、このような電力あるいはガソリンなどのエネルギー燃料、これらが十分充足されているという感覚を受けた。
経済封鎖の打破に向けて
そもそも2018年、19年に金正恩委員長がトランプ大統領との交渉で提案したのは、経済封鎖の解除だった。安全保障とともに経済重視をうたってきた金正恩委員長にとってはこの制裁解除というのが非常にネックだったわけだった。この間、核とミサイルの実験を高い頻度で繰り返し、その都度、制裁が上乗せされてきた。特に2017年には、海産物、鉱物の輸出が禁止され、そして医療製品も輸出することができなくなった。そして逆にガソリンを始めとする石油精製品の9割がカットされた。外貨は稼げない、石油は入ってこない、この封鎖に近い厳しい状況は変わらないのに、なぜ今、朝鮮において生活改善が見られるのか。西側の報道によれば朝鮮はここ数年間GDPが3・5%ずつ成長してる。朝鮮自身が認めているのは国家予算がここ数年で1・4倍ずつ膨れ上がっていることだ。
制裁の中でいかにして成長を保っているのか。その要因は言うまでもなく中国やロシアとの関係の緊密化であることは否めない。朝中貿易は、昨年の実績でコロナ以前のレベルをほぼ回復した。観光地は今国内の人々が利用してるが、狙いは海外からの観光客で、本来ならば韓国や日本からの旅行者が来ればいいのだが、当面は、中国、ロシアからの観光客を呼び込んで外貨を稼ぐ。観光地開発あるいは観光で得た収入というのは国連制裁決議に抵触しないので有効な外貨獲得の手段だ。
核と経済の並進路線
しかし今の朝鮮の経済成長を中ロとの関係のみに矮小化することもできない。やはりこの7年間、朝鮮は国内経済の再建に向けて努力をしてきた。金正恩が正式に補足したのは2012年で、その翌年に核と経済の並進路線というものを採択し、ハイピッチで核実験を4回行い、ミサイル実験はさらに高頻度で行い、2017年の11月には米本土に届くICBMの試験が成功した。金正恩委員長は米本土に届くミサイルとこれに搭載する小型核爆弾を背負ってアメリカとの交渉に挑んだ。そして2018年の4月の20日に、朝鮮労働党中央委員会において歴史的な決議があった。それは、核とミサイル実験は中止する、そして地下核実験施設は廃棄する、今後は国家の全ての資源を経済開発に集中させ、さらには経済成長に向ける、そして国際環境を醸成するために西側を含めた国際社会との対話と協力を推進するというものだ。この決議に従って会議の1週間後にムンジェイン韓国大統領との会談があり、さらにその2ヶ月後史上初となるシンガポールにおけるトランプ大統領との首脳会談があった。国際社会との関係を改善し、アメリカや韓国、さらには日本との経済協力の中で朝鮮経済を発展軌道にのせるという見通しがこの時点まではあった。しかしハノイでの2回目の首脳会談は決裂した。
対米交渉策消滅と自力更生
アメリカとの交渉を続けるのかやめるのか、この迷いが朝鮮国内で見られた。ハノイの決裂から数ヶ月経って6月30日に、パンムジョンにおいてトランプ大統領との3回目の面談があり、ムンジェインもたちあった。ここから再び勢いを回復するかと見られたが、3者会談の数ヶ月後に、トランプ大統領は米韓合同軍事演習を再開した。2019年の8月5日、金正恩委員長がトランプ大統領に送った最後の書簡には、「合同軍事演習は誰に対して行われ、誰を阻止し、誰を倒し、誰を攻撃することを目的としているのでしょうか。私は極めて不愉快であり、それを隠すつもりはない」とあり、この書簡を最後に朝米首脳間の意思疎通は途絶えたと見ていい。2019年の年末には、朝鮮側は決断を下した。アメリカとの交渉には期待を寄せない。制裁解除はされないということを既成事実として、経済制裁のネックを自力で突破していく正面突破方針というものを採択した。とはいえ制裁というのは非常に厳しいものであり、そこに自然災害とコロナ禍がかぶさってきた。2020年は朝鮮にとっては1990年代の「苦難の行軍」を彷彿とさせる厳しい状況にあった。その苦難の中から今後の先行きを労働党の首脳部は色々と研究し検討し、2021年1月に朝鮮労働党第8回大会が開催され、自力更生で国内の潜在力を最大限に引き出し、その力を持って難関を突破するという経済政策の方針を示した。これ以降、朝鮮は自力で経済を運営していく。そのような具体的な課題を盛り込んだ経済発展5ケ年計画というものが示され、今年の2月においてこの5ケ年計画が予定通り達成されたということが宣言された。朝鮮の国家計画経済が完全に達成されたというのは1980年代以来のことだ。90年代以降はこの計画が完遂できない、もしくは経済計画すら提示できないというような非正常な経済状況がついてきた。今年の2月の第9回党大会において金正恩委員長は、2021年の当時は自らを保存することすら力に余るほど厳しいものであったと回顧した。「苦難の行軍」によって朝鮮の社会主義経済の規律が乱れ、国家が計画的に経済運営し、そして国家が人民に対して平等に分配をする配給制度が90年代に機能不全に陥いり、エネルギー不足で工場の稼働もストップしたと指摘し、自力更生のスローガンを掲げた。国家経済は内閣が担当することになっているが、この国家経済とは別の経済経済圏が国内に形成されていった。いわゆる市場経済だ。この数十年間朝鮮国内には国家経済圏と市場経済圏という2つの経済圏が平存してきた。しかし外との経済交流が途絶え、そして自然災害という窮地の中、金正恩委員長は市場経済圏に流れ込んだ人を再び国家経済圏へと戻そうとこの5年間やってきたわけで、これを朝鮮では、自社・自組織の利益だけを追い求め国家全体の利益を損なう行為である「本位主義」との闘いと表現し、それに党と国家、軍の全ての権限を用いて内部の戦争を行うとまで宣言している。
もう1つ注目すべきはこの人民経済計画法が2021年に改定されたことだ。この法律の中身は、国家経済は計画経済である、計画経済は内閣が指揮する、全ての事業所は国家から与えられた計画の枠外での生産は実績と見なさない、とこうなっている。国家経済で消費すべき資材を私利私欲のために用いた場合、それを内閣ではなく検察が取り締まる。このように内部統制を非常に強めるような法改正も行ってきた。市場経済圏から国家経済圏へとゆり戻し、人も金を地盤が最も脆弱な地方や農村へと還流させていくという政策を取っている。金正恩委員長は、社会主義の全面発展という表現で、ピョンヤンに比べて地方の人々が非常に苦境に置かれている現実を皆が知りながらも、党も政府も誰もここに対策を講じようとしなかったが、今後は私の時代にピョンヤンの人に劣らぬような生活を地方の人民にも与える地方振興策というものを行っていくとした。
非核化政策の放棄
金正恩委員長は、この5年間の歩みが正しかった、よって向こう10年間この軌動の上で経済を成長させていくということ、つまり8回大会以後の政策的な連続性を確認した。そして2021年までの、もしくは2019年までの非核化を通じて西側と関係改善し、そして外の資本を引き入れながら経済成長に向かうというその第8回党大会以前の国策を完全に放棄した。つまり朝鮮は、核を放棄するのではなく、非核化を放棄し、そして西側にアクセスするのではなく、西側とは断絶していく。このような決断をこの第9回大会において決定したわけである。2018年や19年に比べてアメリカや日本や韓国の関係改善に対する朝鮮のモチベーションは極めて低下していることを西側は理解すべきである。今でも日本のメディアもしくは一部専門家の方と話をすると、日本との経済協力約1兆円、2兆円をピョンヤンは喉から手が出るほど欲しいであろうと言う。その人参をぶら下げるかのようなスタンスでピョンヤンとの交渉を模索するというような考え方が日本の官僚や政治家の中にあるわけだが、しかし今は中ロとの関係強化そして内部潜在力の活用の中で朝鮮は変わってきていることが理解できていない。
多極化世界への展望
今日のタイトルにもある多極世界というのは、元々中国やロシアが言い出した言葉だが、朝鮮の論調に最近よく出てくる。バイデンの時代には朝鮮では新冷戦という言葉をよく使った。そして朝鮮はこの新冷戦において多極化を目指す勢力の中に自ら位置づけ、中ロと共に多極化の流れについていく。2024年12月の朝鮮労働党中央委員会第8期第11回総会で金正恩委員長は、正義に満ちた多極世界建設を力強く起因する代表的で強力な自主的勢力としての国際的地位を確固として確保していくという外交を示した。
アメリカの一極支配と言われるような時代がここ数十年つづいてきたが、ここに来て旧社会主義圏や第3世界において、最近の言葉で言うグローバルサウスなどが無視しえないインパクトを持った存在感のある勢力として台頭してきている。 つまり、第二次世界大戦以降のアメリカを中心とする西側中心の世界、もしくは冷戦集結後のアメリカ一極支配という時代へのオルタナティブとして、世界にたくさんの極が存在するという世界の動き、これこそが未来であるという考え方を持ってきている。この多極化と言われる動きに変わる他の選択肢はないということだ。
子どもたちに忍び寄る自衛隊と戦争(4)
―戦争を煽る「子ども防衛白書」の配布を許さない
学校では様々な通信やプリント類が児童・生徒に毎日のように配布されています。しかし、営業目的のチラシや教育に無関係なものの配布は許されていません。まして、命と平和・人権の大切さを教えている学校に戦争を煽るようなものの配布は論外です。この原則を踏みにじる攻撃が起こりつつあります。
◆「子ども防衛白書」の配布を強行する小泉防衛大臣
防衛省が発行している「まるわかり日本の防衛」(子ども防衛白書)が再び学校を通じて子供たちへ配布されようとしています。最初に配布されたのは2025年6月頃で、防衛省の配布要請に応じたのは9県に留まり、県によっては職員室や校長室に保管されたままになったと報道されています。 防衛費が際限なく拡大する一方で自衛隊員の確保が思うようにならない焦りなのか、小泉防衛大臣は若者を自衛隊に勧誘することを狙ったと思われる記者会見を6月19日と8月4日に行いました。看過しがたいことは「今後は文科省とも協議の上、都道府県の教育委員会からより多くの協力を得て、小学校だけでなく中学校・高校にも配布を拡大していきたい」と文科省に圧力をかけて配布を強行しようとしている点です。詳しい経過については「戦争教科書はいらない」大阪連絡会ブログ8月31日付に掲載されています。
子ども防衛白書は2021年から発行されていますが、最初の3年間は内容に大きな変化はありませんでした。配布を試みた2024年版は自衛隊が憲法によって制約されている関係を薄め、2026年版は自衛隊の階級や職種、隊員の食事、戦車・戦闘機・護衛艦などの紹介、5ページを使って災害救助活動の説明に重点を置き、まるで就職案内パンフレットのようです。表紙も一見すると自衛隊とはつながりのないアニメ風の高校生を描いています。なんとか若者を勧誘したいとする意図が随所に見られます。しかし、自衛隊の本質は暴力性です。自衛隊は人の命を奪うことも自分や仲間の命が奪われることもある集団なのです。子供たちを戦場に導くようなものを配布することは許されません。
◆地域の市区町村教育委員会に「子ども防衛白書」の配布反対の声を伝えよう
私の周りの地域ではまだ配布されていませんが、配布される可能性があります。高市政権は安保三文書の改訂を進めており、今まで以上に自衛隊を地域の中に、子どもたちの中に浸透させようと目論んでいることは透けて見えます。また、文科省が今年度末に告示を予定している新学習指導要領には自衛隊の記述がさらに増加することが危惧されています。自衛隊の教科書記述は前回の学習指導要領の改訂から始まり、災害救助を行う一面を取り上げ自衛隊への親密さを強調した表現になっています。自衛隊の暴力性については覆い隠されており内容には大きな問題があります。学習指導要領の改訂を背景に「子ども防衛白書」が配布される危険性があるので注視しなければなりません。
教育委員会などの末端行政組織と市民の関係は、市民の声によって行政の姿勢が変わる可能性があります。真っ当な教育委員会であれば市民の声を聴く姿勢を持っており、要望書や要請書などは教育委員会各部局及び教育長まで回覧され検討の対象となる場合があります。もちろん、電話での要請も効果がありますので反対の声を届けましょう。学校を軍事化させる子ども防衛白書の配布は許してはなりません。 (元教育労働者)
9・19戦争反対 憲法守ろう大集会開催 (鹿児島)
高市政権による中国敵視政策や軍備強化に加え、九州でも熊本健軍への長距離射程ロケットの配備や南西諸島での基地強化や軍事演習の動きが加速していることに県民は強い危機感を持ってきたのであった。
9月19日、鹿児島県各地で高市政権の「改憲・軍備強化」に抗する集会が開催された。九州、沖縄において日米共同軍事演習や基地強化が進められているさなかでの戦争反対・憲法守ろう集会であった。4月より毎月19日を中心に鹿児島県の反戦団体、政党、労働団体、宗教団体、市民、県民によって実行委員会がもたれてきた。2015年9月19日、安保関連保障法が強行採決されたことに抗議する意味で19日を実行委員会の開催日としたのであった。そこでは集会の性格、名称、などについて議論がなされていった。それを通じて県下の各団体個人の問題意識のすり合わせが行われていった。また8月の集まりでは非武装を国是とするコスタリカの民衆の闘いを描いた映像が映し出された。非武装中立に至る民衆と活動家、政治家の粘り強い取り組みが印象的であった。各月ごとの実行委員会は天文館通りでの憲法9条を守ろうとの街宣と並行して行われていた。この日、鹿児島市役所前みなと大通公園での集会と同時開催で鹿児島県下各地でも同趣旨の集会が持たれた(南薩では笠田市民会館前、志布志では志布志アピア前、鹿屋では鹿屋リナシテイ、西之表では市民会館前、奄美では名瀬永田橋)。
集会場で流される県下各所から同時中継される音声は臨場感と連帯感にあふれていた。集会当日は横断幕張りからテント張りに加えての料水場の設置は昨年から続く酷暑対策に必須であった。共同作業は着々と進められていった。参加者は徐々に増えていったがやはり人びとは影を求めていた。主催者側としては公園内から埋めていって欲しかったが道路を挟んでの向かいのビルの影に向かわれるのは致し方ないことでった。
集会がはじまり、共同代表からこの集会を機に鹿児島県での高市政権の戦争する国づくりを阻止する運動をもりあげていこうとの提起がなされ、戦争体験者や各分野で運動している県民の発言がつづいた。注視の中で中学生と高校生からの戦争反対、平和への思いが述べられた。中学生からは祖父母の体験を聞き考えた戦争反対、平和への思いが語られた。高校生からは戦争反対や憲法を守るということが実際にはどのような構え方から可能かといった問題提起まであった。集会ではポスターを掲げたり歌を歌った。
基調として、戦争反対・憲法を守ろう!武力で平和は作れない!軍拡よりも暮らしをまもれ!自衛隊員を兵士として戦場に送るな!が締めくくりに宣言された。 この日、鹿児島での集会には炎天下にも関わらず700人あまりが参加し、県下各所合わせて千人に及ぶことが主催者側より発表された。 K・K(鹿児島在住)
9月29日
31回目の国会ピースサイクル
9月29日(火)に行われた国会ピースは今回で31回目になります。参加者は例年より減少しましたが、自転車は雨が降る中、4台で走行しました。今年は東京電力の都合で午前の交渉となりました。午前10時から1時間の交渉では「汚染水」(猛毒水)問題を含め廃炉に向かっての対策」をはじめとした質問5項目で行われました。東電からの回答は「15年前の事故は申し訳ない」としつつも「安全対策をしつつ国の方針に従って進めたい」と企業努力、誠意を見せず、国の後ろ盾にした「方針」に逃げを打つ態度に終始しました。
午後1時からは市ヶ谷駅前公園で出発式を行い、防衛省到着後、門前で集会を行い各地からの報告発言ののち、2時20分より防衛省正門前で申し入れを行いました。申し入れは「沖縄・普天間基地の県内移設を撤回し、オスプレイの配備・訓練に反対する」要請書として要請8項目を読み上げて申し入れを行いました。この後、永田町に移動して、参議院会館会議室において4時より1時間の農水省交渉を行いました。会議室確保に当たり、参議院議員小西洋之さんにお世話になりました。申し入れに当たっては、質問事項4項目として「石破政権と比べて、高市政権は農政に消極的になったのではないか。世界中が食料危機的状況の中で、積極的な農業政策をなぜうちだせないのでしょうか」などをはじめ、市民提言では「若い就農者を継続的に送り出せるよう農業系大学などの入学金、授業料の免除、学費援助などの優遇措置の仕組みづくり求めます」、「諸外国と比べて自給率45%目標は低く過ぎではないか。FEC自給圏の形成を進める地域づくりが重要」、「有機農産物や特別栽培農産物の生産拡大、有機野菜給食と無償化のとりくみ」など、市民提言3項目を提示しました。質問や提言が多岐にわたることから農政官僚はのべ16人の出席がありました。この後別室に移り、今日の行動の反省会を行いました。福島原発事故から15年目となりましたが、環境省は「汚染土の拡散」を8月に仙台、埼玉へ搬入を抜き打ち的、住民説明会なしの強行をしました。8000ベクレルの汚染土を「復興再生土」と言い換え、人、環境に影響がないと全国に拡散しています。無理やり放射能や核のアレルギーに慣れさせ、非核3原則のなしくずしや原子力潜水艦の製造など遂行しやすい仕組みを作っているのではないでしょうか。
今月のコラム
歴史の機微・読書の悦楽 ㊦
-加藤陽子著「歴史の本棚」(毎日文庫)から-
奈倉哲三・保谷徹・箱石大編「戊辰戦争の新視点上・下」
2018年は「明治150年」でもあれば「戊辰戦争150年」でもあった。本書では18人の論客が「当時の社会と地域に生きる人々に内戦が刻印した深い影響を、国際関係・政治・軍隊・民衆の観点から」明解に論じている。内戦が列強注視のもとに戦われた緊迫感が伝わる。「会津・庄内両藩は、日本駐在北ドイツ連邦の外交官に、軍備・借款供与と引き替えに、蝦夷地99カ年租借の提案まで試みていた。一方の薩摩藩は、1867年のパリ万博に、『琉球王国』と称し、幕府とは別の独立国の体裁で出展してもいた」「内戦を戦う資金調達のため、幕府側にも新政府側にも為替を組んだ三井」のしたたかさ。三井は貸金を厳密に記録し続け今に残している。
著者が18人を代表して「その面白さを称え」ている「奈倉哲三氏は、錦絵の分析から当該期の人々の感情を見せてくれた。朝廷に露ほどの親しみも感じていなかった江戸の民衆は、新政府の行いを諧謔溢れる判じ物の錦絵でからかっていた。徳川家の恩沢に長らく浴してきた江戸の町名主らは、徳川家や輪王寺宮をかばい、全員加判の嘆願書まで新政府に出していた。戊辰戦争は志士たちの専有物などではなかったのだ」。ちなみに奈倉哲三はロシア文学研究者奈倉有里・「同志少女よ敵を撃て」の逢坂冬馬姉弟の父親です。
柳宗悦(やなぎむねよし)「民芸四十年」
1919年朝鮮3・1独立運動に際し「朝鮮人を想う」、翌20年「朝鮮の友に贈る書」、22年には総督府増築のため京福宮光化門を取り壊すとの報に接し「失われんとする一朝鮮建築のために」を発表した柳宗悦。「仮に今朝鮮が勃興し日本が衰頽し、ついに朝鮮に併合せられ、宮城が廃墟となり、代わってその位置に厖大な洋風な日本総督府の建築が建てられ、あの碧の堀を越えて遥かに仰がれた白壁の江戸城が毀されるその光景を想像してください」と。沖縄本島北部の里・喜如嘉(きじょか)で織られる芭蕉布を紹介する豪華な私家本「芭蕉布物語」を戦時下に作成した柳(澤地久枝「琉球布紀行」)。著者は語る、「その際、朝鮮や沖縄が、その弱さゆえに柳の注意を惹いたのではなかった点に注意したい。『藝術に現れた朝鮮の生命』が『無限でありまた絶対』だから柳は動いた。『織物における沖縄の位置は羨望に堪えぬほど素晴らしい』から柳は書いた」と。
読書の悦楽
「氷を入れたグラスに、とっておきのウィスキーを注いでベッドへゴー-略-思わずグラスを置き、居ずまいを正し、巻頭から読み直した」「評者は日本近代史を専門としているので、その種の仕事本に囲まれて日々生活している。だが書痴としての本性はむしろ、糊を効かせたシーツのベッドで読む寝床本の領域で発揮され、『池の水全部抜く』ではないが、好きな作家の著作は全部揃えて全部読む。中勘助、椎名誠、開高健、山田風太郎、大岡昇平がそうだった。近年そこに角幡唯介が加わった」「評者は武田泰淳と田中小実昌は再録の新版が出れば必ず買う。現役の作家でいえば、澤地久枝、姫野カオルコ、そして今回取り上げる本の著者・梯久美子の本は全て買う」。推測するに著者にとって「仕事本」と「寝床本」との間の截然とした違いはないのではなかろうか。(おわり) (新)
せんりゅう
プロタガンダの所信表明を切る
ブルジョアの成長守る軍隊強化
富豪たちへ希望信任タカイチ
同調圧力も自由民主党是
タカイチの間パンダ見れないね
凶悪米兵いる基地の沖縄
インディオ狩り気分トランプ戦争
MAGAさしてトランプ熱冷
80年憲法ありて平和日本
ゝ 史
2026年10月
複眼単眼
改憲模擬国民投票の欺まん
新聞の報道を見て、「またか」と思った。
今井一氏らが名乗る「〈非戦・交戦〉対話プロジェクト」というグループが新しい憲法9条の草案をまとめ、1月にネットで模擬国民投票を実施する計画だという。発起人は法哲学者の井上達夫、ジャーナリストの今井一、政治経済評論家の古賀茂明、映画作家の想田和弘、弁護士の水上貴央、楊井人文の6人。記者会見には今井、水上、楊井各氏と、呼びかけ人の一人で「辺野古」県民投票の元山仁士郎氏が出席したという。
改憲論者が並んでいる。元山君は騙された恰好だ。
今井一氏は現在、市民グループ[国民投票/住民投票]情報室の代表を名乗り、「大事なことは国民投票で決めよう」という主張が売りで、原発問題では被災現地を無視して、電力を大量消費する東京都民に問う主旨で「原発都民投票」などを提唱して顰蹙をかったことがある。
このところは一貫して「憲法9条国民投票」などを提唱してきた。それでも同調する人が少ないせいか、なりを潜めていたが、高市政権の下で「改憲国民投票」がしばしば話題になってくる情勢をみてか、またも憲法9条模擬国民投票などを語り始めた。
今井氏の主張は「解釈改憲」批判だ。
たとえばこういう。「日本国憲法は、いまや死にかけている。たび重なる『解釈改憲』によって、本来持っていたはずの『非戦・平和』の理念は、崩壊の危機に瀕している。憲法の条文をこのままにしてなし崩し的にその内実を変えていく手法は、果たして許されるものなのか」と。
これだけ読むと、今井氏は憲法9条が自民党などの解釈改憲でゆがめられ、軍備増強が進んでいる戦後政治に対する怒りを表明しているように見える。そして、それを阻止し、9条がもつ不戦非武装の理念を取り戻したいかのようだ。
しかし、今井氏はそうではない。原発都民投票の時には、「容認」が多かったらしたがうと言っていた。投票の結果がどうであれ、福島は都民投票の果の原発容認には従えない。そんなことなら都民投票などすべきでないのは当然だ。
今井氏の今回の「解釈改憲批判も同じだ。勝手に解釈されないように条文を作って、改憲案と比較して国民投票をやる、改憲が多かったら それに従う」という模擬投票だ。要するに今井氏は「国民投票をやってみたい」という自分の趣味のために、「解釈改憲反対」などといっているだけだ。
高市自民党など改憲派が9条改憲、緊急事態条項改憲など改憲草案を準備して「改憲国民投票」をねらって策動している時に、「模擬」などといって「国民投票」への期待を振りまくことがどういう役割を果たすのか。高市自民党など国会の多数派がいま企てている改憲国民投票は、現行国民投票法にもとづいて実施されるときは、9条などを変えて、日本を戦争ができる国にする「改憲案」に賛成か、反対かを選ばせるだけだ。今井氏らの「新しい9条案」などの対案の選択肢はもともとない。
高市政権が改憲国民投票を狙っている時に、改憲国民投票への期待を振りまくのは、自民党の9改憲、緊急事態条項改憲などへの側面からの支援の役割りを果たすだけだ。 (T)
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