労働者社会主義同盟・第三回大会決議

 
 労働者社会主義同盟第二回大会は二〇〇二年七月に開催された。第三回大会決議の要旨を掲載する。

   労働者・人民は団結して、改憲阻止・雇用の統一戦線を形成しよう!




 現在、内外情勢は激変を見せ、時代は大きな節目を迎えている。
 労働者社会主義同盟第二回全国大会(一九九九年一一月)は、情勢の特徴を「『戦後』から『新たな戦前』への転換であり、日本社会は経済、政治、文化のすべての面で劇的に変化した」と規定し、闘争方針を決定した。それ以来、全同盟の同志たちは大会決議にもとづき闘い抜いてきた。いま情勢は一段と進展し、小泉内閣によって戦後はじめて自衛隊(日本軍)の戦争への参加という事態にまでたちいたった。
 二〇〇一年9・11無差別テロ事件とアメリカの対アフガン「報復」戦争を契機に、これまで蓄積されてきた世界の諸矛盾が噴出している。国内的には失業者の増大・社会不安と憲法改悪に象徴される体制の反動的再編の動きが急である。 
 帝国主義による世界の一体化(グローバリゼーション)と技術革命は、世界的な失業・経済不況と格差・差別の拡大をもたらし、さまざまな社会的軋轢を生じさせ、局地戦争、階級闘争・各種の社会的闘争を激発させている。このことは究極的には生産力の飛躍的な拡大が、現在の資本主義的な外被と矛盾を来たしていること、現存の社会体制が多くの人びとに悲惨な状況をもたらしていることをしめしている。支配層は既得権益を守り、いっそう増大させるために、ひたすら人民に犠牲を強いる新自由主義的「改革」の強行で資本主義体制を延命させようとしているが、労働者・人民の中に、政府・資本と闘わずには生きることが出来なくなったこと、闘わねば平和も、権利も生活も、そして生命さえも奪われるという意識が形成されつつある。われわれはこうした状況を社会主義革命の条件の形成に転化させるために闘う。
 新しい時代は経済構造、政治体制、社会のすべての面でかつてない画期的な変化を生じさせている。
 われわれは労働者・人民の利益のために闘うとともに、マルクス主義の革命原則を堅持し、かつそれを現代的に発展させて社会主義運動の再生をかち取らなければならない。
 労働者社会主義同盟はその課題を断固として担うものである。



 二〇世紀末、ソ連・東欧などのいわゆる「社会主義」は崩壊し、湾岸戦争、コソボ戦争などを経て、また旧ソ連圏・中国その他の広大な地域が資本主義市場に本格的にくみこまれることによって、多国籍企業の世界的支配・アメリカの一極覇権主義の時代が出現した。このグローバリゼーションの嵐の中で資本の新自由主義攻勢が吹き荒れ、世界的に労働運動、社会主義運動は一時的に困難な状況に陥った。
 九〇年代はじめには、「『社会主義』が崩壊した後には資本主義に対抗するものはない。資本主義は永遠に繁栄する」という「歴史の終焉」論(F・フクヤマ)なるイデオロギーがもてはやされた。だが実現したのは、全世界的な規模での貧富の格差の増大であり、資本主義世界をおおう経済的困難であった。今日、資本主義の繁栄を謳歌する大合唱は聞こえず、逆に「世界同時不況」の到来への不安に満ちている。
 政治・経済・社会的諸矛盾が世界の各所で噴出している。ソ連の崩壊で唯一の超大国となったアメリカは世界的に支配網を広げようとして、ヨーロッパ・日本をはじめ世界各国を「対テロ戦争」体制にしばりつけ、またアフガンから中央アジアにまで影響力を拡大しようとしている。
しかしアメリカの勢力拡大そのものが矛盾を抱えている。そもそもテロの元凶とされるビン・ラディンはアメリカが反ソ戦争のために一手に育成したものであり、それが保護者の思惑を超えて動きだし、アメリカの世界支配に対抗するようになったものである。イラクのフセインもホメイニのイランに対抗するためにアメリカが育てたものだ。いま、アメリカはイスラエルのパレスチナ占領を支持し、核保有国となったインド・パキスタンなどの独裁政権と連携を強化している。だが、すべてを軍事力によって抑え込もうとする覇権主義・強権政治のやり方は、いたるところで破綻の兆しを見せはじめている。イスラエル・シャロン政権はアメリカの「思惑」をこえて「暴走」し、アメリカの覇権主義・強権政治の遂行にとって困難な問題を作りだした。覇権主義は侵略を拡大することの中に衰亡の根をはらんでいるのである。
 グローバリゼーション・技術革命の資本主義的適用は、アメリカ帝国主義と多国籍資本にたいするさまざまな抗議行動を巻き起こしている。WTOや各種の世界会議に対する連続した抗議行動をはじめ、グローバリゼーションの犠牲となった労働者・勤労人民大衆の解雇・賃下げ・労働条件の改悪に反対する闘いを頻発させている。
 われわれは、アメリカの覇権主義、多国籍企業そして日本帝国主義の支配と野望に抗して闘う全世界の労働者・人民と固く連帯して闘う。



 ここ数年、日本はかつてない政治的経済的な変動に見舞われ、先行き「不透明感」は一段と強まっている。
 小泉政権はアメリカの「報復」戦争を契機に、戦後憲法体制の枠を踏み出して戦争に参加した。アフガン戦争では、実質的な集団的自衛権の行使と日米安保の攻守同盟化が現実化した。そして、日本支配階級は有事体制の確立を強行し、九条を中心に憲法の改悪攻撃を本格化させてきている。
 アフガン戦争への参戦は日本歴史の大きな転換点となった。小泉内閣の戦争と改憲の危険な政策は、広範な民衆に「平和憲法の危機」を実感させ、長い停滞状況にあった反戦・平和運動は昨年末以降、再び活性化の様相を示している。小泉内閣が絶対に成立させると宣言した有事関連三法案は、労働者・市民の反対運動の盛り上がり、全国の地方自治体の慎重審議要請などによって、継続審議となった。これは大衆運動の大きな勝利となった。
 経済状況は一段と深刻な段階に入り危機的様相を強めている。失業者(率)は急激に増加している(失業率は過去最悪記録を更新しつづけている)。国家財政赤字、不良債権、金融危機、株価の低迷、社会保障制度の崩壊など重大問題が山積し、しかもこれら問題のいっそうの悪化は必至である。
 こうしたことは政界・官界・財界(それに労働運動の労使協調主義潮流)の癒着という腐敗構造(本質的には資本主義制度そのもの)がつくりだしたものである。小泉内閣は、「倒産・失業が増えることは構造改革が実行されはじめたことを意味し良いことだ」などの暴言を吐きながら、国民に「痛み」を堪え忍べなどいっている。小泉改革が実際に行っているのは、金融をはじめ大資本の救済であり、それを大衆負担の増加によって「解決」するものだ。自民党政治によっては経済問題は悪化することはあっても解決できないことは明らかである。
 かつてない「高い人気」で出発した小泉内閣は、一年を経ずして、自民党内のさまざまなスキャンダル、閣内不一致、とりわけ経済不況を深化させたことによって、支持率を急落させている。
 こうした事態に直面して小泉内閣はいっそう危険な道を進もうとしている。有事法制・憲法改悪・自衛隊の海外派兵など反動政策を強引に推し進め、アジア・太平洋地域での覇権の確立、政治・軍事大国化の道を推し進めようとしている。
 日本の政局は混迷・流動の状況に入った。小泉「改革」が失敗し、混乱状況が深まれば、支配層は、より国粋主義潮流を前面に立ててくるだろう。それは小泉「改革」攻撃をいっそう極端化し、よりデマゴギッシュな石原慎太郎などの強権的な勢力である。
 現在、小泉「構造改革」攻撃に対決する勢力はいまだ分散状況にある。国会での勢力分布は、改憲派が圧倒的な多数派となっている。労働組合は各ナショナルセンターともに組合員数・労組組織率を減少させている。一部「左翼」党派は内ゲバをつづけている。そして支配層は、野党、労働組合、市民運動そして社会主義勢力などの弱体化と圧殺を狙って、デマ宣伝、謀略、デッチ上げなど陰険な攻撃を強化している。
 この状況を克服し、小泉改革攻撃・リストラ合理化攻撃に対する反撃の陣形を作り上げなければならない。広範な労働者・人民が求めるものは、戦争を阻止し平和を実現し、生活を安定・向上させることである。その実現のために労働者・人民の要求を闘いに組織し、さまざまな闘いを大きく合流させ、階級的社会的力関係を変えていかなければならない。この間の5・3憲法集会、テロにも報復戦争にも反対市民緊急行動などの成功は、政治的な大衆運動が復活の趨勢にあることを示した。これらの運動では、右(反動勢力)からの破壊攻撃を阻止するとともに、「左」(内ゲバ派など)による運動への介入・破壊にも反対して、大きな統一が実現し、運動の健全な発展がかちとられた。
われわれは、労働組合運動、生活協同組合、労働者生産協同組合、自治体・地域などの各戦線で闘う力量を形成し、支配階級の反動攻勢と断固闘う体制を下から形成していくためにいっそう努力しなければならない。
 アメリカ帝国主義の世界支配戦略に連動する日本支配階級の軍事大国化路線は、戦争の脅威を高めている。また資本主義の構造的危機の深化は、遠くない時期に失業率二桁台という事態をもたらす。社会的な対立・抗争の激発は必至である。自民党政権は、強権・弾圧体制によって労働者・人民の不満を抑え込む攻撃を強化してくる。
 現在、社民党、新社会党、共産党、その他の左翼、市民派それに民主党なども流動化と再編の局面を迎えている。これまでの反戦闘争、憲法改悪阻止闘争、労働法制運動などでの共同行動の積み重ねを基礎に、それを目的意識的に全国的全戦線的に押し広げていかなければならない。戦争と失業に反対する広範な全人的な対抗勢力が形成されなければならない。小泉「改革」政権(その亜流政権)と闘い、日本の右傾化と失業の流れを押しとどめる過渡的な政権をめざし、平和と雇用を軸にした諸政策での大きな統一と民衆政治勢力の形成をかちとろう。
 反戦運動の大衆化、改憲阻止運動の高揚、野党共闘の成功、労働組合運動の再活性化などを実現し、憲法改悪阻止、反戦、平和と雇用を政策の軸とする民衆的な連合政権を実現させなければならない。
 われわれの当面する大衆運動の環は……
 1)参戦国体制の強化と憲法改悪を阻止し、憲法を生かしていく。
 2)リストラ・失業に抗し、労働組合運動の前進をかちとる。国鉄闘争を防衛し勝利する。
 3)小泉「構造改革」に反対し、労働者・勤労人民の利益を守り抜く。
 4)国政・自治体政治において、小泉「改革」に対抗する議員を当選させる。
 それらの闘いを、小異を残して大合流させて、自民党政治と闘い、労働者・人民の政治を実現させる戦線を形成する。
 これらの闘いを軸に、労社同綱領の「当面の要求と課題」を実現し、社会主義革命の条件をつくり出す。



 労社同の結成は、分裂ではなく団結・統一をもたらす意義をもつものとして歓迎された。わが同盟はさまざまな大衆運動のなかで先進的役割を果たし、日本の階級闘争の重要な一翼を担うようになった。
 わが同志たちは反戦、憲法、日韓連帯など運動において積極的な役割をはたし、労働戦線の各分野においても政治的影響力をひろげてきた。
 同志たちの苦闘の成果はこれから訪れるであろう闘争の高揚期に大きな力を発揮するであろう。われわれは、互いの奮闘を確認しあうとともに、よりいっそう団結を固め、同盟を質量の両面で強化していかなければならない。
 小泉の「構造改革」攻撃は、労働者・勤労大衆を自ら組織し闘わざるをえない状況に追い込んでいる。われわれは、大衆の高まる不平・不満とエネルギーを断固として組織し、その闘いの中で同盟建設の面での前進をかち取らなければならない。
 同盟建設の要は、第一に、時代と闘いの任務について認識を一致させ、積極的に行動をおこすこと、第二に、原則的な組織活動(定期的な会議、政治主張の統一、財政建設)を行うこと、第三に、さまざまな政治勢力との協力関係を強めて大衆運動を推進すること、第四に、社会主義勢力の連携・団結・統合の事業を進めることである。

  ・・・ (略) ・・・

 最後に、われわれの出発の原点を再確認するために、「私たちのよびかけ・日本労働者党と建党同盟の統合にあたって」(労働者社会主義同盟結成大会・一九九八年二月)を引用する。
 「……歴史に少しでも立ち遅れることはできない。そのことに責任を担える主体の実現に今こそ果敢な挑戦と前進をしなければならない。革命の前進と勝利のために、運動の分散ではなく協同と統一へ。二一世紀を切りひらくべく決意する共産主義者は、いま有効なあらゆるレベルでそれが実現するよう、自ら努力しようではないか。私たちは自らの実践と決意をもって、共産主義者を自覚する多くの人びとに新しい協同の努力を呼びかける。同時に私たちは、これと主旨を同じくするいかなるイニシャティブをも支持し、それに誠実に対応することを表明する」。 
 事態は、われわれの予想をはるかに上回るピッチで進んでいる。
  全同盟は、革命への決意を新たに力を結集して、大衆の生活の苦しみに心を寄せ、大衆運動を前進させ、反動攻撃を跳ね返し、社会主義革命運動の飛躍をかちとるために奮闘しよう!

               

労働者社会主義同盟第3回大会、2002年7月)